アジャイル人事とは
アジャイル(agile)は「機敏な」という意味です。
アジャイル人事とは具体的には、柔軟で適応力に優れた人事体制を意味し、対話をベースに部門メンバーと協働しながら激しい変化に対応していく人事機能や組織施策を指します。
また、アジャイル人事では権限が社員に分散され意思決定のスピードが早く、環境の変化に素早く対応できるため業務を効率的に進められることが期待できます。VUCA時代と呼ばれる昨今はビジネス環境の変化が激しいため、このような姿勢が求められるようになりました。
アジャイル人事を行うメリット

アジャイル人事を行うメリットは4つ挙げられます。
- ■意思決定までの時間が短くなる
- ■ビジネスチャンスをつかみやすくなる
- ■自立型組織を構築できる
- ■生産性の向上を期待できる
従来の一般的な組織は、専門性・事業ごとに複数の組織を分けて連携しているため、影響範囲が大きく意思決定は上へと起案されていくことが常です。この手法は起案用のネゴシエーションやドキュメントの作成、施策効果の洗い出しなど多くの時間を取られてしまいます。
しかし、アジャイル人事を行うことでこれらの多くの時間が短縮でき、俊敏な意思決定で業務を進めることが可能になります。意思決定の時間が早くなるため環境の変化に素早く対応でき、ビジネスチャンスをつかみやすくなることもメリットです。
また、このような働き方が組織内に浸透すれば、有機的に意思決定ができる組織・チームが増え自立分散型の組織の構築に繋げられます。その結果として生産性の向上が期待できます。

アジャイル人事による人事評価を進める際のポイント
アジャイル人事による人事評価を適切に行うには、どのようなポイントに留意すればよいのでしょうか。
制度構築はウォーターフォールモデルを採用する
アジャイルと対比されるのが、ウォーターフォール型と呼ばれる手法です。ウォーターフォール型の手法は、全体の設計からスケジュール通りに工程を進めていくやりかたです。アジャイル人事による人事評価体制を構築する際、その制度構築もアジャイル手法で行おうと考えるかもしれません。しかし、ここではウォーターフォールモデルを採用することを推奨します。なぜなら、人事制度の構築は迅速であることよりも丁寧であることのほうが重要なためです。
試行錯誤で失敗を重ねても良い場合は、アジャイル手法のほうが効率的でしょう。しかし、人事評価体制の構築では基本的に失敗が許されません。そのため、初めから綿密に計画を立てて実行するウォーターフォールモデルのほうが適しています。
具体的には、設計した制度の導入により従業員の意欲は高まるのか、コストはかかりすぎないかなどをシミュレーションしましょう。また、新しい人事評価体制で不公平を生じさせないための工夫や、従業員からの反発への対応を事前によく考えることも大切です。
人事評価システムの活用を検討する
人事評価システムとは、その名のとおり人事評価を効率化するためのITツールです。これを活用することで、以下のメリットを得られます。
- 効率化
- 人事評価は思いのほか時間がかかる業務です。Excelなどで管理していると、シートの作成や配布、保管だけでも多くの人手や時間が必要です。しかし、人事評価システムであればそれらの負担を削減できます。たとえば、設定した目標をシステム上で共有する機能や、データを集計・分析する機能を備えています。
- 質の向上
- 煩雑な作業が効率化することで、より重要なフィードバックに多くの時間や手間を割けるようになります。結果的に人事評価の質が向上するでしょう。また、人事評価システムにはMBO評価や360度評価といった評価機能が備わっています。これらを有効活用することで、より高度な評価が実現するでしょう。
アジャイル人事による人事評価の変化
従来の人事評価では年初に目標を設定し、中間レビューを挟んで年度末に最終的な評価を下す年次評価が一般的でした。ところが、この方法には以下の問題点があります。
- ■多様な人材に対して画一的な評価を行うのが難しい
- ■フィードバックをこまめに行えず、従業員の成長につながらない
- ■中間層のモチベーションが上がらない
上記の3点のうち、特に上の2つは近年大きな問題となっています。ビジネス環境の変動が著しい以上、人材の入れ替わりや求められるアドバイスの変化も激しいためです。
こうした問題点を解決するため、アジャイル人事では年次評価を行いません。その代わり、こまめなフィードバックを重視します。こうすることで、従業員はリアルタイムなアドバイスを受けられます。成長につながると同時に、モチベーションを高めることもできるでしょう。
アジャイル人事に適応し、人事評価方法を改善しよう!
アジャイル人事とは機敏で柔軟性が高い人事のことです。変動が激しいビジネス環境の変化に対応するために注目されるようになりました。アジャイル人事では人事評価も柔軟な体制が求められます。その体制での人事評価を適切に進めるには、以下の点に留意しましょう。
- ■制度構築はウォーターフォールモデルを採用する
- ■人事評価システムを活用する
以上を踏まえ、より良い人事評価体制を目指しましょう。
