プロジェクト管理で必要となる基本用語
プロジェクト管理に必要な基本用語を解説します。
PMBOK
Project Management Body Of Knowledgeの略称で「ピンボック」と呼びます。アメリカの非営利団体PMIが策定した、プロジェクトマネジメントの国際的な標準となる知識体系です。
PMBOKでは「手順」と「手法」の側面からプロジェクトマネジメントを提唱。あらゆる分野のプロジェクトに適用でき、マネジメントの基盤を提供します。
P2M
Project & Program Managementの略称で日本発祥のプロジェクト管理手法。PMBOKのプロジェクトマネジメントにプログラム管理をプラスしたものです。プログラム管理は複数のプロジェクトを連携・統括する仕組みを指します。
P2Mでは「プロジェクト」と「プログラム」という2つのPをマネジメント。単体のプロジェクトだけではなく、複数のプロジェクトで構成される大規模プロジェクトを対象にした管理手法です。
PPM
Project Portfolio Managementの略称。組織全体の効率化を図る管理手法です。この管理手法では、組織レベルで複数のプロジェクトを横断的に管理・分析して監視を行います。PPMでは、さまざまなリスクを回避しながらプロジェクトの収益性も考慮する管理手法です。
CCPM
Critical Chain Project Managementの略称です。プロジェクトのタスクの予算や期限をギリギリに設定。「プロジェクトバッファ」と呼ばれる余裕を残し、プロジェクトの最適化を図る管理手法です。
人は余裕をもたせて期限を設定しても、期限ギリギリに完了させがち。この習性を利用した管理方法がCCPMです。
タスクに含まれる「余裕」を省いてチェーンのようにつなげ、タスクの最後にバッファと呼ばれる余裕を設定。たとえ各タスクに遅れが生じてもバッファが吸収するため、計画に影響を与えません。
プロジェクトを成功に導くため、予算や計画をギリギリに設定し余裕を残しておくことが大切です。
CMMI
Capability Maturity Model Integrationの略称。組織のプロジェクトマネジメント力をレベル1から5までの5段階で評価するものです。
- レベル1
- プロジェクトマネジメントが属人的でありプロセスが定まっていない状態
- レベル2
- 初歩的な管理プロセスを確立し、反復して成功できる状態
- レベル3
- プロジェクトマネジメントで標準的なプロセスを確立。また必要に応じてプロセスの手直しができる状態
- レベル4
- 品質などデータを数値化し、データに基づきプロセスを管理・実行できる状態
- レベル5
- 継続的な改善活動を行い、改善を図ることができる状態
WBS
Work Breakdown Structureの略称。プロジェクトを細かい作業に分解し、ツリー状の構成図で表したもの。スケジュール管理に活用されます。
プロジェクトの成果物を中心に作業工程を分解。ツリーの最下層にはより細分化された詳細な作業を、ツリーの最上部はプロジェクトの成果物を表示します。
WBSはガントチャート(作業工程を分解し、担当者と期限を表示した工程図)と共に利用されます。
ガントチャート
スケジュール管理の1つで、プロジェクト管理の工程管理に利用される「表」です。プロジェクトを進める段取りを項目別にまとめています。ガントチャートは左側に「ツリー構造」、右側に「チャート(横棒)」を表示。
ツリー構造側に表示する項目は以下のとおりです。
チャート側は、開始日・完了日などの情報を表示します。ガントチャートは進捗状況を見える化でき、プロジェクト全体を把握しやすくなります。
スコープ
プロジェクト管理における管理要素であり、プロジェクト内容の範囲を定義したものです。
PMBOKでは「プロジェクト(作業)スコープ」と「プロダクト(成果物)スコープ」の2つの指標で管理します。それぞれの指標で定義するものは以下のとおりです。
- プロジェクトスコープ
- 成果物を生み出すための作業を明確化
- プロダクトスコープ
- 成果物を明確化
マイルストーン
リリース日や工程完了時チェックなど、プロジェクトにおける節目やチェックポイントのこと。プロジェクトのゴールに向けマイルストーンを設定すると、円滑にプロジェクトが進んでいるかを把握しやすくなります。
ガントチャート上にマイルストーンを設定すると、プロジェクトの主要ポイントが一目でわかるため便利です。マイルストーンが順調に進んでいなければ適宜工程の修正を行い、計画の再立案が必要となるでしょう。
バッファ
バッファは、モノとモノの間に立って衝撃を和らげるものです。ビジネスでは「余裕」や「余力」という意味で使用されます。
人と業務の間に余裕や余力をもたせると、さまざまなトラブルに対応できます。そこで「タスクにバッファをもたせる」「バッファを確保する」といった使い方をすることが多いでしょう。
ボトルネック
ビジネス用語の1種。プロジェクト全体の中で処理能力や容量が一番低い部分を指します。つまり、プロジェクトの成果に問題を与えてしまう要因や制約のこと。
ボトルネックはワインボトルなど、ボトルの首(ネック)の1番細い部分を表す言葉。ネックが細いほど、液体は瓶から出にくくなります。この現象に由来して、目的を達成する際に障害となる「要因」をボトルネックと呼ぶようになったのです。
ステークホルダー
ビジネス用語で「利害関係者」を意味し、プロジェクトに関わるあらゆる人や組織をステークホルダーと呼びます。すべてのステークホルダーの関係は平等ではありません。プロジェクトとステークホルダーの位置関係を把握し、関係に応じた適切な対応を心がけることが重要です。
プロジェクトの役割を示す基本用語
プロジェクト内の役割を表す基本用語を解説します。
PM
プロジェクトマネージャーのことであり、プロジェクトの運営責任者です。プロジェクトの運営や成果物の品質・納期を管理して円滑に計画が進むようマネジメントします。PMの具体的な業務は以下のとおりです。
- ■メンバー選定
- ■顧客折衝
- ■要件定義
- ■品質・納期・進捗管理
- ■コスト・リスク管理 など
PMO
Project Management Officeの略称。組織内に設置され、プロジェクトマネジメントの支援を専門的に行う部門・構造システムのこと。PMOの役割は以下のとおりです。
- ■プロジェクトマネジメントの標準化
- ■プロジェクトマネジメントに関する人材開発
- ■プロジェクト環境の整備
- ■プロジェクトに係る管理業務
など
PL
プロジェクトリーダーのこと。PMの下に数名配置され、プロジェクトのサブチームのリーダーとしてチームを統括・管理します。
PLの役割は、メンバーの工数・品質・進捗管理です。しかし、プロジェクトの規模によってPLの役割が異なることも。PMと役割分担してプロジェクトマネジメントを行う場合もあります。
PLとPMがそれぞれ状況に応じた役割を担うことがプロジェクトの成功につながるでしょう。
用語の意味を理解してプロジェクト管理を円滑に進めましょう
プロジェクト管理で重要な用語、役割を表す用語を解説しました。
基本的にプロジェクトは専門的な用語が多く、意味を正確に理解しないと業務に支障をきたす可能性があります。用語を正しく理解するとメンバーと適切な意思疎通が図れ、認識の違いやズレによるミスを防げるでしょう。
用語の基本的な意味を理解して、プロジェクト管理の円滑化を図りましょう。