サービスデスクにおけるKPIとは
KPIは「Key Performance Indicator」の略で、目的達成の程度を定義するための指標です。日本語に訳すと「重要業績評価指標」になります。具体的には、何らかの割合「率」や「件数」「リードタイム」「回数」「金額」などを設定し、達成の度合いを図ります。
サービスデスクでは電話応答率や平均処理時間(AHT)が該当するでしょう。
サポートデスクの目標は、サービスの質や顧客満足度の向上など、成果が把握しづらいものが多く、数値指標であるKPIを導入することで、より的確な対応が可能になります。
サービスデスク管理者が重視すべきKPI
サービスデスク管理者が重視すべき項目には、以下のようなものがあります。
- ■顧客満足度
- ■サービスレベル
- ■サポートセッションの精査
- ■現場の状況(チームの意欲・サポートの質)
- ■チームの長所と短所
これらのことを数値化して把握することが大切です。この中でも特に重要な、顧客満足度とサービスレベルを示すKPIについて見ていきましょう。
顧客満足度を示すKPI
顧客満足度は一概に定義するのが難しい概念です。そこで、サービスデスクの顧客満足度を示すKPIとして応答率やASA、サービスレベルが採用されます。その中でも特に重要なのは応答率です。
- 応答率
-
どれほどスムーズに電話がつながるかは、顧客満足度にとって重要な要素です。
ただし、本当に有効活用できる形で応答率を測定できている企業は多くありません。たとえば、1日の平均応答率が高い企業でも、時刻によって大きなばらつきがある場合があります。
平均値が高くても、ピーク時の応答率が低いのであれば、顧客満足度が上がったことにはなりません。本当の顧客満足度を示すKPIになるように、時間別に設定するなどよく精査しましょう。
サービスレベルを示すKPI
サービスレベルのKPIには、一定秒数以内の応答率が用いられます。
一般的な目標:着信から30~40秒以内に80%のコールに応答すること
他に、サービスレベルを示すKPIとしては、「放棄呼率」が用いられがちです。しかし、これはKPIとしてふさわしくありません。どれほど顧客を待たせても、応答さえすればよいことになってしまうからです。
放棄呼率は参考値とし、KPIは応答率と応答までの時間の達成を目標として定めることがおすすめです。
サービスデスクにおいてKPIを活用するコツ
サービスデスクでKPIを活用するには、どのような点に注意すればよいのでしょうか。
プロセス指標を改善する
KPIは、成果指標とプロセス指標に大別されます。たとえば、顧客満足度と応対率の関係は以下のようになります.
- 成果指標ー「顧客満足度の向上」
- プロセス指標ー「応答率の向上」
最終的に目指すのは成果指標の達成ですが、いきなりそれを目指してもうまくいきません。また、1つのプロセス指標を改善しても、それが成果指標に直結するとは限りません。複数のプロセス指標をチームで共有し、その達成を通して最終的な成果を目指しましょう。
定量的KPIと定性的KPIを使い分ける
KPIは定量的KPIと定性的KPIにも分類されます。基本的にKPIは数値指標であるため、多くは定量的KPIです。しかし、顧客満足度のように、定量化が難しいKPIも存在します。このような定性的KPIは、ブレイクダウンして定量的KPIにしましょう。
たとえば、先述した顧客満足度と応答率も、定性的KPIと定量的KPIの関係に当てはまります。顧客満足度という要素を、応答率や待ち時間などの定量的KPIに分解しましょう。ほかにも、顧客対応研修の回数も顧客満足度を向上させる定量的KPIとなり得ます。
ただし、ブレイクダウンしてKPIの数を増やしすぎないように注意が必要です。多いほど測定や改善が難しくなるため、本当に効果的なKPIを洗い出しましょう。
サービスデスクツールを導入する
サービスデスクツールとは、顧客対応や情報管理を円滑化するITツールです。近年、煩雑化の傾向にあるサービスデスクの業務をサポートする存在として普及しつつあります。
対応の優先順位付けや、AIチャットボットによる自動対応など、製品によって備えている機能はさまざまです。KPIも簡単に測定・可視化できるようになり、業務改善に役立てられるでしょう。
KPIを活用するには、サービスデスクツールの導入検討を!
KPIとは、目標達成の程度を定義する指標で、サービスデスクでは顧客満足度やサービスレベルなどが該当します。サービスデスクでKPIを有効活用するには、プロセス指標を適切に設定し、定量的KPIと定性的KPIを使い分けることが重要です。
KPIを適切に設定したい、見直したいという悩みには、サービスデスクツールの導入が役立つことがあります。ツールの導入も視野にいれ、サービスデスクの業務改善を目指しましょう。