サービスデスク見直しの背景
ITシステムはビジネス遂行の基盤として、企業の経営戦略の実現を支援する重要な位置付けにあります。そのITシステムの機能を最大限に引き出す役割がサービスデスクにはあります。しかし、ドッグイヤーといわれるスピートでITシステムは進化しています。業務システムの数が増加し規模が拡大しています。スマートフォンやタブレットPCなど、管理するべき端末の数も一気に増えました。
仮想化技術が発達し、社内には物理機器と仮想機器が入り乱れています。さらにサービスデスク担当を悩ましているのが、クラウドの導入です。SaaSは専門技術を必要とせず、低コスト・短期間で導入できるため、事業部門が単独で導入するケースが増加しています。オンプレミスとクラウドが混在するようになったのです。
このような拡大や複雑化により、ITシステムの一元管理は困難となり、サービスデスクの現場ではインシデントが増加しています。サービスデスクにおけるインシデントとは「障害」を意味します。
たとえば、「パソコンが操作できない」「業務システムにアクセスできない」「帳票を印刷できない」などがインシデントです。このインシデントを効率的に処理できず、ITサービスのレベルの維持に課題を抱えるようになりました。
サービスデスクの役割
サービスデスクは、顧客や社員など内外からの問い合わせに対応する窓口です。製品の使用方法やトラブル時の対処法、苦情への対応、検知されたアラートへの対応や新しいサービスの情報発信など、さまざまな役割を担っています。サービスデスクは社内に設置するだけではなく、アウトソーシングとして専門業者に外注するケースもあります。
通常、ユーザからの問い合わせは、電話やメール、さらには専用のツールを経由して届きます。スタッフは操作方法など、簡単な問い合せに対してはその場で対応し、システムのトラブル、変更依頼、調査を必要とする内容に関しては、担当する部門に引き渡します。
問い合わせを受け付けるスタッフの数は限られており、対応を効率化するために、サービスデスク用のツールが用意されています。ツールの機能により、問い合わせ内容を記録・共有したり、上司に報告したり、関連部門へ連絡したりします。Excelなどによる管理が限界となった際に導入します。
サービスデスクの見直しには、ツールの導入や刷新、サービスデスクの体制変更、ワークフローの改善、アウトソーシングへの切り替えなどがあります。サービスデスクと似たような役割にヘルプデスクがあります。ヘルプデスクはユーザをヘルプするという受け身の姿勢ですが、サービスデスクはユーザへの情報発信やシステムの改善提案など、能動的な役割を持ちます。
サービスデスク改善のメリット
サービスデスクの改善には次のメリットがあります。
- ■障害の削減、サービスレベルの向上
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インシデントへの迅速な対処により、障害の範囲を最小限に抑え復旧できます。また、再発を防止し、ITシステムのサービスレベルを向上できます。
- ■ナレッジの蓄積
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問い合わせに関する情報をデータとして蓄積し、ナレッジとして活用できるようになります。ナレッジをマニュアルやFAQとして公開し利用者が参照することで、問題を現場で解決できることも期待できます。ナレッジはマーケティングにも活用できます。
- ■コアコンピタンスへの人材集中
- サービスデスクをアウトソーシングすることで、情報システム部門はサポート業務から解放され、本来の業務に専念できます。人材の有効活用が可能となります。
サービスデスクに課題を抱えていませんか。今一度確認して、見直しを図ってみましょう。