サービスデスクの形態を理解する
サービスデスクはツールとして提供されているほか、アウトソーシングサービスとして提供する事業者もあります。ツールには、オンプレミス(自社内にサーバを設置する)とクラウドサービスがあります。
オンプレミスで構築する
サービスデスクには多くの専用パッケージが用意されています。パッケージの利点は、自社の要求に即したサービスデスクを構築できることにあります。現場の要求や、企業規模、拠点数などにマッチしたサービスデスク体制を支援できます。自社でデータを管理できるのでセキュアな環境での運用が可能なことも重要なポイントです。
一方、構築のための期間と設備、ノウハウのある人員が必要となり、初期導入コストが大きくなります。比較的大人数が利用する大規模の企業のほうが適している提供形態です。
クラウドサービスを利用する
SaaSとして、サービスデスクを提供する事業者も多くなっています。SaaSですから既存のサービスのアカウントを取得するだけで短期間での利用開始が可能です。新たに設備や人員の投資の必要がないため、手軽に導入できることが利点です。
料金は初期費用は定額で、月額の課金制であることが多いです。利用人数が増えた場合や長期的に利用する場合は、オンプレミス型よりも高額になることもあります。小規模で運用したい企業や、スモールスタートで利用したい機能を徐々に増やしたい場合などはクラウドタイプがお薦めです。
クラウドサービスの場合には、無料のトライアルが提供されている場合があるので、気軽に試してみるのもいいでしょう。
アウトソーシングサービスを利用する
サービスデスクを専門業者にアウトソーシングすることもできます。アウトソーシング事業者は要求に応じて、全サービスデスクを担ったり、一部を代行したりします。
情報についての定期報告の内容や、コールセンターの有無など業者によって異なるのでよく確認しましょう。
サービスデスクの機能で絞る
提供形態のイメージがついた後は、サービスデスクのシステムの機能も確認しましょう。
■ITILへの準拠
サービスデスクツール選択のポイントに「ITILに準拠している機能かどうか」があります。
ITILは、ITシステムの運用・管理業務に関する体系的なガイドラインで、ITサービス運用分野のデファクトスタンダードとなっています。ITILの概念を前提に開発されているサービスであれば、自社での運用もスムーズになるでしょう。
基本的な機能
サービスデスクシステムの基本的な機能は以下の通りです。必要な機能、重視したい機能の優先度を考慮しながらシステムを比較しましょう
- ■インシデント管理
- インシデントとは、ITサービスの中断(障害)を意味します。発生したインシデントに対して、対策、解決までの一連の流れを管理します。
- ■問題管理
- インシデントの発生に対して問題点を認め、原因の調査と対策を実施し、再発防止に努めます。
- ■変更管理
- ITシステムに変更を加える場合、人為ミスによるインシデントの発生や潜在的なエラー表面化などのリスクを検討し、リリース管理に受け渡します。
- ■リリース管理
- 変更管理で承認された変更作業を実施し、リリースまでの工程を管理します。
- ■ナレッジ管理
- サービスデスクで得られた情報を記録・蓄積します。マニュアルやFAQとして公開できます。
- ■構成管理
- IT資産や契約条件などの情報を一元管理します。
サービスデスクの提供形態と利用できる機能に着目して、ツールやサービスを絞っていきましょう。
導入実績ついても確認を
サービスデスクについては、導入の実績も重要なポイントになるでしょう。サービデスクの運用には、様々な部署の間での情報の伝達が必要です。そのため、システム連携がスムーズにできることがポイントになります。
システムの連携は非常に複雑なため、予期せぬ障害が発生する可能性があります。想定されるあらゆるケースに対応するために、予め実績のある製品を選べば心強いでしょう。
導入実績が少ないサービスについては、システム連携がスムーズに行えるかの確認を行い、万一の障害時にすぐにサポートしてもらえる体制があるものを選ぶと安心です。
複数部署で検討して失敗しないサービスデスクを選ぼう
サービスデスクは、複数部署で利用するシステムです。検討の際には、提供形態、機能、導入実績のポイントを確認してみましょう。
そして、いくつかの製品やサービスをピックアップした後は、実際に利用する部署に関わるメンバーで意見を出し合い、選定を進めることで、導入がスムーズになるでしょう。