インシデント管理ツールとは
インシデント管理ツールとは、ITシステムやサービスで発生した障害や問題を記録・管理し、解決に導くソフトウェアです。主にIT部門やサービスデスクで使用され、顧客からの問い合わせやシステム障害に対応します。迅速で効率的な処理をサポートし、サービスの安定稼働を維持します。
また、セキュリティインシデントや技術的なトラブルシューティングにも有効で、組織全体の信頼性向上にも寄与するでしょう。
インシデントとは
インシデントとは、ITやセキュリティの分野でシステムやサービスに予期せず発生する障害や問題のことです。例えば、セキュリティ違反やシステムの不具合、サービスの中断や機能制限が該当します。インシデントが発生すると、サービスの停止やデータ損失を引き起こし、企業やユーザーに多大な損害をもたらす可能性があります。そのため、迅速な対応と根本原因の特定が重要です。
インシデント管理ツール導入がおすすめの企業
インシデント管理ツールは、以下のような課題をもつ企業に特におすすめです。
- ●Excelや手作業でのインシデント管理に限界を感じている
(情報共有の遅延、対応の遅れ、業務の非効率化、属人化など)
- ●多様なシステムが複雑に連携しており、障害時の原因究明が困難
- ●問い合わせ対応の負担が増大している
- ●セキュリティリスクが増加し、迅速な対応が求められている
インシデント管理ツールをお探しの方へ
この記事では、おすすめのインシデント管理ツールをタイプごとにわけて紹介します。以下のタイプ名をクリックすると、製品詳細にジャンプできます。各製品の違いを比べやすい比較表もあるので、製品選びの参考にしてください。
▼おすすめのインシデント管理ツールを一覧表からチェックしたい方はこちら
【比較表】おすすめのインシデント管理ツールの見出しへジャンプ!
インシデント管理ツールのメリット
インシデント管理ツールの導入には多くのメリットがあります。
現状の可視化と対応漏れの防止
現在の状況を視覚的に把握しやすくすることで、問題領域を特定し、優先順位をつけるのに役立ちます。また、担当者ごとのインシデント対応状況が可視化され、情報共有がスムーズになるため、対応漏れの防止にも有効です。
インシデント対応の効率化と標準化
管理フローの標準化により、プロセスの誤りや遅延を削減します。また、過去のインシデント情報や対応履歴の蓄積により、初動対応のスピード化や問題解決の効率化にもつながります。ナレッジ共有も容易になるため、属人化を防ぎ、対応品質の安定にも貢献するでしょう。
なお、インシデント管理だけでなく、問題の予防にも注力したいという場合には、サービスデスクツールも選択肢に含めるとよいでしょう。ぜひ、以下の記事も参考にしてください。サービスデスクのアウトソーシングを検討する場合にもおすすめです。
インシデント管理ツールの2つのタイプと主な機能
インシデント管理ツールを特徴や機能により、2つのタイプに分類しました。違いを理解し、目的や用途にあった製品の絞り込みに役立ててください。
問い合わせ管理システム型
インシデント管理に特化したツールというよりも、主にサービスデスクツールやヘルプデスクツールの一機能として利用されます。カスタマーサポートや問い合わせ窓口での活用が多く、問い合わせ管理機能が充実しているのが特徴です。
複数チャネルからの問い合わせを一元管理でき、優先度付けや担当者の割り当て、対応状況のリアルタイム把握なども可能です。問い合わせ履歴の蓄積と分析機能を備えた製品もあり、インシデント発生時のスムーズな対応を支援します。
▶おすすめのインシデント管理ツール(問い合わせ管理型)の見出しへジャンプ
プロジェクト管理ツール型
このタイプは、プロジェクト管理やタスク管理に強みをもち、インシデント対応も可能です。一般的にスケジュールやタスク管理機能、ワークフロー機能などを備えています。
インシデント対応を一つのプロジェクトとして捉え、タスクの割り当てや進捗管理をチーム全体で効率的に進めます。特に、大規模で複雑なインシデントに対して、迅速かつ組織的に対応できる点が特徴です。
複数のチームが連携して取り組む場合や、システム障害、セキュリティインシデントなど緊急性の高い問題にも柔軟に対応できます。
▶おすすめのインシデント管理ツール(プロジェクト管理型)の見出しへジャンプ
インシデント管理ツールの比較ポイント・選び方
インシデント管理ツールを選ぶ際には、以下のポイントを確認しましょう。
メンテナンスやカスタマイズの容易さ
メンテナンスが容易なインシデント管理ツールであれば、定期的なアップデートや不具合対応がスムーズに行えます。ベンダーのサポートが受けられるかも確認しておくと安心です。また、現行業務フローの維持や、新たなニーズへの迅速対応を希望するのであれば、カスタマイズの柔軟性も重要な要素になるでしょう。
自動化機能の有無
インシデント管理ツールの導入目的として、対応や処理のスピード向上、業務負担の軽減をあげる企業は多いでしょう。そのため、自動化機能が十分に備わっているかを確認することが重要です。自動振り分け機能、AIやテンプレートによる回答補助機能、レポート機能などもチェックポイントです。
コストの適正さ
予算内での選定が必要であり、ライセンス料や保守費用、カスタマイズ費用などを算出したうえで検討を進めましょう。一般的に、多機能なツールは価格が高くなる傾向があります。そのため、自社に必要な機能を見極め、機能とコストのバランスが適切かを確認することが大切です。
ITIL準拠の確認
ITILとは、サービスマネジメントの品質・効率性向上のためのガイドラインです。ITIL準拠のツールは、プロセスの最適化に役立ちます。サービス品質の向上や規律的な運用をサポートし、インシデント対応のベストプラクティスを実現します。特に、大規模な企業が導入を検討する際に、このポイントは重要です。
【比較表】おすすめのインシデント管理ツール
ITトレンドでおすすめのインシデント管理ツールを比較表にまとめました。また、この記事で紹介している主要な製品を細かく調査して見えてきた、インシデント管理ツールの特徴や傾向を以下にまとめています。ぜひ製品の比較検討にお役立てください。
- ●料金体系は、月額固定制よりも従量課金制が主流の印象。
- ●初期費用無料の製品も多く、小規模な組織・チームであれば月額3,000円前後で利用できるものもある。
- ●無料プランを提供する製品やオープンソースタイプの製品は少なく、3割に満たない。
- ●問い合わせ管理型のインシデント管理ツールの半数ほどが、ITILに準拠している。
サービスデスクツールの最新ランキングは以下のボタンから確認できます。人気製品から導入を検討したい方は、ぜひチェックしてみてください。
▶おすすめのインシデント管理ツール(問い合わせ管理型)
サポートデスクやヘルプデスクでの活用を検討している場合に適した、おすすめのインシデント管理ツールを紹介します。
《SmartStage ServiceDesk》のPOINT
- ITILに準拠したITSMプロセスと管理データベースを標準搭載
- ノーコードによる設定変更および柔軟なシステム構築が可能
- 様々な外部システム連携機能に優れ、システム運用の自動化を実現
「SmartStage ServiceDesk」は、ITサービスマネジメントを効率的におこなうためのクラウド管理ツールです。ヘルプデスクやITサービスデスク業務における、業務プロセスの可視化・標準化・統制・自動化を促進します。インシデント管理からスモールスタートしたいといったニーズにも応えます。
参考価格:月額2,000円~※25ユーザーから
《Senju/SM》のPOINT
- 効率的なITILプロセスを実現
- ナレッジの活用で情報共有をホワイトボックス化
- 日本特有の精緻な運用にも柔軟に対応
「Senju/SM」はNRI(野村総合研究所)の運用現場から生まれたサービスデスクツールです。国内で高いシェア率を誇り、日本特有の精緻な運用にも柔軟に対応可能です。重大インシデントの予防や、インシデントの改ざん検知による統制強化が実現します。自社開発のため、要件の変化にも迅速に対応します。
参考価格:150,000円~※SaaS版月額
《Re:lation》のPOINT
- 一画面で複数チャネルのお問い合わせを対応・管理できる
- さまざまなツールと連携で、問い合わせ対応業務の効率化を実現
- 対応状況が自動で可視化されます
「Re:lation」は、複数チャネルでの問い合わせ対応にありがちな「対応漏れ」「二重返信」「属人化」を解消するサービスです。メール・電話・チャットからの問い合わせを一画面で管理します。CTIやEC向けサービス、CRM、SFAなど、さまざまなシステムとの連携が可能です。
参考価格:月額18,000円~※無料プランあり
製品・サービスのPOINT
- 問い合わせ対応や資産管理など 、情シス日常業務からの解放
- ITツールの活用による効率的な運用
- 国際認定資格者による業務設計・運用改善
「社内ヘルプデスク・LCMサービス」は、情報システム部門の日常運用業務を手助けするアウトソーシングサービスです。ヘルプデスク業務やIT資産管理、アカウント管理、報告・アドミニストレーションなどを支援します。HDI国際認定資格者による業務設計・改善提案が受けられる点も強みです。
参考価格:お問い合わせください
《SolutionDesk》のPOINT
- チケットとチャットですべてのエスカレーションを一元管理
- 関連部門、取引先とのシームレスな連携で問題解決を加速
- 業務の中で、ノウハウが自然に蓄積・共有できる仕組みを実現
「SolutionDesk」は、ナレッジを活用した問題解決システムです。チケットとチャットを活用し、製品開発や営業などの関連部門へスムーズにエスカレーションできます。さらに、ナレッジベースやナレッジ駆動型AIチャットボットが、問題解決力の強化をサポートします。
参考価格:月額2,000円~/ユーザー
《PKSHA FAQ》のPOINT
- お問い合わせ前の自己解決を促すFAQスーパーアシスタント機能
- 問い合わせ対応のレベル平準化/1件あたり対応時間の短縮を実現
- 運用や操作性に合わせた画面設計がノンプログラミングで実装可能
「PKSHA FAQ」は、業種・業界を問わず活用可能なヘルプデスクソリューションです。FAQスーパーアシスタント機能や回答作成支援機能、AI Helper機能など、効率化や時短に貢献する多彩な機能を搭載しています。また、ノンプログラミングで画面カスタマイズが可能なため、使い勝手の向上も期待できます。
参考価格:お問い合わせください
ベニックソリューション株式会社のITサービスマネジメントソリューション
製品・サービスのPOINT
- Enterprise企業向け高い拡張性を有する業務横断プラットフォーム
- 川崎重工業のリアルフィールドで培った構築/運用ノウハウ
- 要件定義から設計/実装、その後の運用伴走まで支援可能
「ベニックソリューション株式会社のITサービスマネジメントソリューション」は、ベストプラクティスを標準実装し、運用の見える化と確実なプロセス実行を後押しします。「ServiceNow ITOMソリューション」との連携により、障害対応の自動化や構成情報の自動収集も可能です。
参考価格:お問い合わせください
《LMIS》のPOINT
- クラウド型ITサービス管理市場でトップクラスの実績
- 金融機関も採用する安心のクラウド環境
- ITIL準拠により、高品質な運用を実現
「LMIS」は、サービスデスク業務からインシデント対応、構成管理まで支援するクラウド型サービスマネジメントプラットフォームです。設定変更の範囲内で、管理項目の追加や削除、ワークフローの変更が容易に行えるため、現行業務に無理なく対応できます。無料体験版も提供しており、機能や操作感を試せます。
参考価格:初期費用300,000円、月額100,000円~/25ユーザー
《Freshservice》のPOINT
- メール、電話、フォーム、Slack、Teams等社内問合せを一元管理。
- PC/SaaS管理を自動化。
- FAQやチャットボットで従業員が自己解決。
「Freshservice」は、ITIL準拠のITSMのプロセス全般を装備した問い合わせツールです。世界的なITレビュー機関のG2crowdで最優秀ソフトウェア賞を受賞しており、導入・設定の容易さや操作性が評価されています。社内問い合わせやインシデントを一元管理するほか、PCやSaaS管理を自動化します。
参考価格:初期費用無料、月額2,800円~/ユーザー
《Jira Service Management》のPOINT
- リックソフトはAtlassian Platinum Solution Partnerです
- ITIL準拠のITサービスマネジメントツール
- 問い合わせ受付者数に基づくライセンス形態
「Jira Service Management」は、国内外35,000社以上で導入されているサービスデスクツールです。変更管理、インシデント管理、サービスリクエスト管理、問題管理などのプロセスは、ITILにもとづいて運用されます。導入・運用に不安がある場合でも、Atlassian社のパートナーであるリックソフト株式会社の手厚いサポートが受けられるため安心です。
参考価格:クラウドプラン月額2,400円※無料プランあり
《Freshdesk》のPOINT
- メール、電話、フォーム、LINEやSlack、Teamsなどを一元管理。
- チームや組織で対応するための機能が充実
- 分析機能が充実しているから、問合せ業務工数が75%削減できる
「Freshdesk」は、分析機能に強みをもつヘルプデスクツールで、自社のビジネス環境にあったカスタマイズ分析が可能です。マルチチャネルに対応し、さまざまな問い合わせを自動で一元管理します。重複対応を防ぐアラート機能やチャット機能により、対応の円滑化やスピード向上などが見込まれます。
参考価格:初期費用無料、月額2,200円~/ユーザー※無料プランあり
《CTstage》のPOINT
- ボイス・ノンボイスのシステムの統合を実現!
- オペレーター拠点の分散化・在宅化にも対応!
- 運用サポートサービスをはじめとする安心のサポート体制!
「CTstage」は、電話応対やチャットをひとつのアプリケーションで管理できるコンタクトセンター統合プラットフォームです。WFM、SMS、音声認識などの機能を搭載しています。オンプレミス版とクラウド版があり、クラウド版においては、コンタクトセンターが必要とする機能を網羅しています。
参考価格:お問い合わせください
以下のボタンから一括請求(無料)が可能です。資料請求した製品は、価格・機能・特徴・口コミをまとめた比較表をエクセルで作成できます。稟議資料や社内検討時の資料としてぜひ活用ください。
\ サービスデスクツール の製品を調べて比較 /
製品をまとめて資料請求!
資料請求フォームはこちら
▶おすすめのインシデント管理ツール(プロジェクト管理型)
大規模で複雑なインシデントに対応したい場合や、チームで取り組む場合におすすめのインシデント管理ツールを紹介します。
《Backlog》のPOINT
- タスク・プロジェクト管理に必要な機能がオールインワン
- ガントチャートやカンバンボードで直感的にタスク管理
- シンプルで直感的に使えるデザインだからすぐに使いこなせる
「Backlog」は、エンジニアやデザイナー、営業やバックオフィスなど、職種を問わず活用されているプロジェクト管理ツールです。プロジェクト管理に加え、タスク管理やチームコラボレーション機能を備えています。インシデントを課題として登録し、進捗を確認しながらメンバー間でコミュニケーションがとれます。
参考価格:月額2,970円~(税込み)/30ユーザー
《Asana》のPOINT
- 「誰が、いつまでに、何をするのか」を明確にし生産性を向上
- 会話やファイルを仕事単位で束ね、進捗状況を常に可視化
- シンプルで可愛らしいUIで利用者から愛されるツール
「Asana」は、日々の業務からプロジェクトまで幅広く管理するワークマネジメントプラットフォームです。プロジェクト内の重要な期限やマイルストーンを追跡し、チームの業務バランスをポートフォリオで確認できます。さまざまなテンプレートが提供されており、セキュリティインシデントへの対応などにも活用可能です。
参考価格:月額1,200円~/ユーザー
《Redmine》のPOINT
- Rubyの使用環境下で機能が充実
- 40か国以上の言語に対応したサービス体制
- 豊富なタスク管理機能で連携体制を強化
「Redmine」は、40か国以上の言語に対応するオープンソースのプロジェクト管理ツールです。チケットでのタスク管理、ニュース機能を使った情報共有など、円滑なプロジェクト遂行に欠かせない機能を備えています。課題管理機能により、インシデント発生から解決までの活動を一元管理できます。
参考価格:インストール無料
まとめ
インシデント管理ツールの導入で、インシデント発生時にも迅速な対応が可能になります。対応業務の効率化や担当者の負担削減、対応品質の標準化などの効果も期待できるでしょう。
最適なインシデント管理ツールを選ぶためには、導入目的や解決したい課題を明らかにしたうえで、製品ごとの機能性や拡張性、コストなどを比較検討することが重要です。以下のボタンより一括資料請求が可能なため、製品の導入を検討したい方はぜひご利用ください。