従業員がタイムカードを押し忘れたときの対処法
従業員がタイムカードを押し忘れたとき、どのように対処していますか。勝手にみなし労働として処理したり、本人の記憶を頼りに手書きで記入したりしてよいのでしょうか。 厚生労働省は、正しい打刻方法として以下の2つを提示しています。
- 使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること
- タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること
上記を踏まえ、タイムカードを押し忘れた際の適切な対応方法について見ていきましょう。
本人に状況を確認し、あらためて記載してもらう
「使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること」とあるとおり、使用者側が従業員に確認を取り、後から本人に手書きで記載してもらいましょう。 ただし、本来はタイムカードなどを用いた客観的な記録を基礎とするのが原則です。したがって、後から本人に確認する場合、申告された出勤・退勤時刻が適正であると考えられる状況でなければなりません。 つまり、記憶が薄れる前に本人から確認を取ることが大切です。可能な限り、次の日には確認を取りましょう。
周囲の事実確認を取ることも重要
本人に確認を取ることも大切ですが、周囲からも事実確認を取りましょう。なぜなら、虚偽の申告をするなど、不正を働いている可能性があるからです。 同じオフィスで働いている人であれば、タイムカードを押し忘れた人が何時ごろに出勤・退勤したのかわかるでしょう。また、パソコンのログイン記録や、オフィスの入退室記録を参照するのも有効です。

従業員がタイムカードを押し忘れた際の欠勤扱いは可能?
従業員による、タイムカードの押し忘れを理由にした欠勤扱いは許されません。労働基準法第二十四条の「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。」に抵触するためです。 さらに、タイムカードの押し忘れに対する罰金や損害賠償の請求も基本的には不可能です。ただし、一定の条件を満たせば減給処分にできます。こちらについて詳しくは後述します。
タイムカードの押し忘れを未然に防ぐ4つの対策方法!
タイムカードの押し忘れを防ぐのは使用者の責任です。では、具体的にどのような対策を講じればよいのでしょうか。
1.押し忘れに対する罰則規定を設ける
以下の条件を満たせば、押し忘れに対する罰則規定を設けられます。
- 就業規則により事前に周知しておく
- 1回の押し忘れに対する減額は「1日の賃金÷2」を上限とする
- 複数回の押し忘れに対する減額は「賃金支払い期における賃金÷10」を上限とする
上記の金額については労働基準法第九十一条で定められており、上限を超えると違法行為になります。 ただし、一度の押し忘れで減給の罰則を与えることは推奨されません。押し忘れの理由に対し、処分が重すぎると判断されれば、無効になる可能性もあります。 通常は報告書の提出を義務づけるだけにし、常習性がある場合は厳重注意します。それでも改善が見られない場合のみ、減給などの強い処分に踏み切るのが一般的です。
2.押し忘れ時の申請フローを煩雑にする
可能であれば、罰則という強制力で戒めるのではなく、従業員が自発的にタイムカードを押すような対策を施したいものですよね。そこで有効なのが、押し忘れ時の申請フローをあえて煩雑にすることです。 たとえば、報告書を提出する際に上長の確認印を必須にするといった方法がおすすめです。押し忘れると後で自分が面倒な手間をかけなければいけないとわかると、多くの従業員は自発的に気を付けてくれるはずでしょう。
3.打刻環境を改善する
どれほど注意しても、人間である以上うっかり押し忘れることがあるかもしれません。このようなミスを防ぐには、打刻を忘れにくい環境を作るのが有効です。 もっとも簡単なのは、タイムレコーダーの置き場所を見なおすことです。出勤・退勤時に必ず目に入るような場所への設置をおすすめします。具体的には、オフィスの出入り口や更衣室付近に設置しておくとよいでしょう。同様に、従業員がよく通る場所にリマインドとして張り紙やポスターを貼りつけるのも有効です。
4.勤怠管理システムを導入する
ここまでは、タイムカードの使用を前提に押し忘れへの対策を解説してきました。しかし、近年はタイムカードではなく勤怠管理システムを用いる企業も増えています。 勤怠管理システムはパソコンやスマートフォンで利用します。打刻忘れがあればアラートが鳴ったり、チャットアプリと連携したりと、便利な機能が豊富です。GPS機能によって出勤・退勤を自動的に検知し、打刻してくれるものもあります。従業員が押し忘れの不安に苛まれることも、使用者側が打刻忘れへの対処に追われることもありません。 システムの導入には費用がかかりますが、それはタイムカードでも同等です。むしろ、煩雑な作業が減ることで、間接的に人件費が安くなるメリットのほうが大きくなるかもしれません。
対策を行い、タイムカードの押し忘れを防ごう
タイムカードの押し忘れが発生した場合、本人や周囲に十分な事実確認を取れば、後から手書きで対応することも可能です。また、適切な金額であれば、就業規則に定めておくことで罰金も科せます。 しかし、最初から押し忘れを生じさせない工夫も必要です。この機会に勤怠管理システムを導入し、抜本的な改善を図ってみてはいかがでしょうか。
