EDIとは?
EDI(Electronic Data Interchange)とは、電子データ交換を意味します。主に企業間の商取引で生じる帳票類のやり取りを効率化するために利用され、物流関連の企業には不可欠なシステムです。ここからはEDIについて説明します。
企業間における商取引情報の送受信を自動化すること
企業間の取引では、契約書や発注書、受注書、納品書、請求書などさまざま帳票がやり取りされます。取引で用いられる書類を送る方法は主にメール・FAX・郵送ですが、送付方法によって保管方法にも違いが生じるため、一括で検索できないなど管理面の煩雑さが発生します。
EDIを使うと、専用の回線やインターネットを介して取引情報のやりとりを自動化できるので、帳票類の一括管理も可能になります。
「データ通信と変換」により情報のやり取りが可能
EDIの仕組みを解説します。まず各企業の基幹システムに入力されているデータを利用して帳票類を発行し、EDIの専用回線を介して取引先へ送ります。逆に、取引先から送られてきた取引データは自社で取り込めるように変換することで、企業間のやり取りを実現します。
企業で保持しているデータの形式はそれぞれ異なるのが一般的です。EDIでデータをやり取りする場合は、データの通信形式やデータを取り込む変換機能の識別コードをあわせる必要があります。
EDIの仕組みについてより詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください
EDIの大分類と通信プロトコルの種類
EDIは通信手段によって大きく3つに分類できます。レガシーEDIとインターネットEDI、そしてWeb-EDIです。各EDIの詳細と主な通信プロトコルについて説明します。
レガシーEDI
固定電話回線を用いてやり取りするEDIを指し、従来型EDIと呼ばれることもあります。2024年1月より固定電話網のIP化が予定されているため、今後は後述するインターネットEDIやWeb-EDIへの切り替えが求められるでしょう。
通信プロトコルには、JCA手順や全銀協標準通信プロトコル(ベーシック手順・TCP/IP)などが用いられています。
インターネットEDI
インターネット回線を用いてやり取りするEDIであり、レガシーEDIと比べて伝送速度が早いのが特長です。通信プロトコルには、JX手順やebXML MS、EDIINT AS2などが用いられます。
Web-EDI
Web-EDIは、ウェブサーバ上にシステムを構築し、ウェブブラウザを通じてデータの送受信を行うEDIです。インターネットを活用したクラウド型のシステムで提供されることが大半です。標準化されていないため、取引先の仕様を確認する必要があり、特に通信プロトコルの選定は重要でしょう。
EDIINT AS2やOFTP2、ebXML MSなどが代表的な通信プロトコルです。
EDIの種類と具体例
EDIは、コードやフォーマットなどルール設定の仕方でも種類分けできます。それぞれの特徴や違いを参考に、自社に最適なEDIを見極めましょう。
個別EDI:取引先ごとにルールを策定
取引先ごとに通信を行う形式や識別コードを個別に決めるEDIです。そのため、取引先ごとにルールを設定し、各EDIの仕様に対応するデータ変換システムが必要になるため、EDIの活用を広げにくいデメリットがあります。取引先が多い場合には不向きです。
標準EDI:フォーマットが標準化
ルールやデータフォーマットを標準化したEDIを指します。異なる企業間でのデータ交換では共通した形式や規格が重要となり、標準化するという考え方が一般的です。標準規格のEDIを用意することで、同じ規格を利用する複数企業とのやり取りが容易になるでしょう。
標準EDIの例を以下で紹介します。
流通BMS(流通ビジネスメッセージ標準)
小売業や卸・メーカー業など、流通業界で用いられる標準EDIです。従来のJCA手順と比較して、伝送速度が早く、漢字表記や画像データの送受信も可能です。通信の円滑化により、発注から納品に要する時間が短縮します。余剰時間が生まれ、ほかの主業務へ集中できるでしょう。
以下の記事では、流通BMSについて詳しく解説しています。興味のある方は一読ください。
全銀EDI
企業間の振込時に、振込元に関する支払通知番号・請求書番号などのさまざまな情報を受取企業に送信できるシステムです。XML電文形式を採用しているため柔軟性が高く、多くの情報の添付が可能になります。受取企業側の売掛金消込などの事務作業の効率化にもつながるでしょう。
全銀EDIについて詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
業界VAN:特定の業界に特化した標準EDIの一種
標準EDIの一種として、業界VANというネットワークサービスがあります。特定の業界に特化しているため、取引できる企業数は減りますが、業界共通の商品コードや取引先コードが標準化され使いやすいでしょう。同じ業界の多くの企業と接続できます。
業界VANの一例として、日用品・化粧品業界の業界VAN「プラネット」や、家庭用品業界・食品軽包装業界の業界VAN「ハウネット」などがあります。
EDI導入のメリット
紙でやり取りしていた帳票類の電子化や、既存データから帳票を自動作成できるなど、業務効率化にもつながるEDIですが、他にもメリットがあります。
EDIの導入により期待できる効果の代表例です。
- ・ペーパーレス化や自動化によるコスト削減
- ・人的ミスの軽減や正確性の向上
- ・サプライヤーとの取引管理が効率化
EDIのメリット・デメリットについて詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
EDIツールを利用し業務改善をしよう
EDI導入により、帳票作成業務の自動化・業務効率の向上が見込まれるため、インターネットEDIやWeb-EDIの導入がまだの企業は、ぜひこの機会に検討してください。
EDIは通信手段や、コード・フォーマットなどルールの設定方法により分類できます。業界ごとにやり取りする方法が決まっている場合もあるため、EDIの種類やそれぞれの特徴を理解したうえで、自社に最適なEDIツールを選定しましょう。
人気製品や製品の口コミを知りたい方は、以下の記事がおすすめです。