
Web-EDIで採用される通信プロトコルの種類
Web-EDIでは主に以下6つの通信プロトコルが利用されています。それぞれの特徴や採用業界・業種について説明します。
1.販売業や流通業で利用が進む「EDIINT AS2」
EDIINT AS2は、インターネット技術の標準化団体IETFによって策定された国際標準規格のひとつです。「Electronic Data Interchange-Internet Integration Applicability Statement 2」の略で、単にAS2手順とも呼ばれます。
EDIINT AS2は海外の大手販売業において普及しています。大量のデータをリアルタイムに送受信したい企業に向いているプロトコルです。また、セキュリティには電子署名と暗号化が使われています。
2.自動車業界で利用が進む「OFTP2」
OFTP2は欧州の自動車標準化団体Odetteによって開発されたプロトコルです。「Odette File Transfer Protocol 2」を略してOFTP2と呼ばれています。欧州の自動車業界を中心に使われてきましたが、もともとは国や地域を問わない使用を目指して開発されました。そのため、徐々に日本の自動車業界でも普及しつつあります。
OFTP2はSSL・データ暗号化・デジタル署名を利用してデータ通信のセキュリティ性を高めています。また、ファイル圧縮技術とチェックポイントリスタート機能により、大容量ファイルを迅速に送受信できるのも特徴です。
3.さまざまな業界で利用される「ebXML MS」
ebXML MSは国連のEDI標準機関UN/CEFACTと、Webサービス標準化組織OASISによって策定された国際標準規格です。「ebXML Message Service」を略してebXML MSと呼ばれています。
ebXML MSは主にアジアで使われているプロトコルです。日本でも流通業界や日本医療機器ネットワーク協会、産業環境管理業界などで利用されています。また、ebXML MSのセキュリティにはHTTPベーシック認証やXML暗号、SSL認証、電子署名が使われています。
4.日本独自の規格である「JX手順」
JX手順は従来使われていたJCA手順の後継プロトコルとして誕生した、日本独自のプロトコルです。電話回線を使っていたJCA手順と異なり、インターネット回線を用いるJX手順は高速なやり取りが可能です。利用のコストが低いため、中小企業を中心に使われています。主な利用業界は小売業や流通業です。
5.ファイル送受信時によく利用される「SFTP」
SFTPは「SSH File Transfer Protocol」の略で、企業間でのやり取りに限らずファイルの送受信に広く使われているプロトコルです。SSHによって暗号化した通信路を用いて安全にデータを送受信します。
6.全国銀行協会が策定した「全銀協標準通信プロトコル」
全銀協標準通信プロトコルは、企業・銀行間での通信に使われるプロトコルです。「ベーシック手順」・「TCP/IP手順」・「TCP/IP手順・広域IP網」の3種類があります。最も新しいのが平成29年5月に制定された「TCP/IP手順・広域IP網」です。固定電話のIP網移行を受け、広域IP網での利用を前提として作られました。
Web-EDIを導入するメリット
固定電話回線を利用する従来のEDIは、伝送速度や通信コストに課題があるほか、IP網への移行によりいずれ利用できなくなります。そのため必然的に、Web-EDIやインターネットEDIへ切り替えなければなりません。
ここからはWeb-EDIの導入メリットについて解説します。
- コストカット
- Web-EDIの多くがクラウド型サービスです。自社で設備を整える必要がないため初期コストは低く、運用の負担も大きくありません。また、注文書や請求書などを紙で扱う必要がなくなるため、ペーパーレス化によるコストカットも期待できます。
- 伝送速度が速い
- 最新の技術で作られているため、従来のシステムよりも快適で迅速な通信が実現します。ブラウザで利用できるためインストールの手間はなく、動作確認にかかる負担も軽いです。
- セキュリティ性が高い
- 暗号化技術の発達に伴い、昨今のWeb-EDIは高度なセキュリティ性を保っています。
Web-EDIのメリットについては、以下の記事でより詳しく解説しています。興味がある方は一読ください。
Web-EDIの通信プロトコルを理解し、最適な製品を導入
- Web-EDIの主な通信プロトコル
- EDIINT AS2(販売・流通業で普及)
- OFTP2(自動車業界で利用、日本でも普及しつつある)
- ebXML MS(主にアジアで普及)
- JX手順(日本独自の規格でコストが低く中小企業を中心に普及)
- SFTP(企業間にかぎらず広く使われる)
- 全銀協標準通信プロトコル(企業・銀行間の通信で利用)
Web-EDIツールを選定する際は、上記特徴を踏まえたうえで、複数の通信プロトコルに対応可能な製品を選びましょう。以下の記事では、Web-EDIに対応した製品が確認できるほか、対応可能な通信プロトコルも一覧で記載しています。Web-EDI導入を検討している方は参考にしてください。
