Web-EDIとは?インターネットEDIとの違い
Web-EDIとは、企業間の商取引業務をブラウザ上で行い、業務の効率化を図るシステムです。インターネット回線を用いてやり取りするEDIの一種です。EDIとは、受発注業務など企業間の商取引業務を電子化し、業務効率化やコスト削減を可能にする仕組みを指します。
Web-EDIはウェブサーバ上にシステムを構築し、ブラウザ上で取引データを送受信するブラウザ型と、ウェブサーバを介してファイルをやり取りするファイル転送型の2種類があります。
- ■ブラウザ(伝票表示)型
- 取引で使用される伝票の形式で画面表示され、注文内容の確認や発注情報を入力する。
- ■ファイル転送型
- 発注側がファイルをアップロードし、受注側がダウンロードすることで、データをやり取りする形式。
Web-EDIは、専用ソフトをインストールする必要があった従来のEDIとは異なり、ブラウザ上でシステムを操作するための専用ソフトはインストール不要です。パソコンとインターネット回線があればすぐにWeb-EDIを利用できるため、低コストでの導入が可能です。
ただし、標準化はされていないため、企業ごとにEDIシステムの仕様を確認しなければなりません。また、ログインや条件の入力、ファイルのアップ・ダウンロードなど手作業も発生します。
インターネットEDIは、Web-EDI同様インターネット回線を利用するEDIです。しかしインターネットに対応した通信プロトコルを利用し標準化されている点で、Web-EDIとは一線を画します。
EDIの仕組み、標準EDIや個別EDIなどについて知りたい方は、ぜひ以下の記事も一読ください。
Web-EDIの特徴
Web-EDIには、ブラウザ画面から操作する、クラウドサービスによる提供が主流などの特徴があります。
企業間の商取引業務をブラウザ操作だけで自動化
Web-EDIの通信手段はインターネット回線です。PCのブラウザからシステムにアクセスし、企業間の商取引に関するやり取りを、自動化します。
以前の企業間におけるビジネス文書のやり取りは、FAXや郵送が主な手段でした。送付後、取引先に文書が届いているか電話で確認をとる企業が多く、手間のかかる作業のひとつでした。
しかし、Web-EDIの活用により受発注業務などで生じるビジネス文書などのやり取りが自動化されるため、文書の到着確認も必要ありません。業務スピードの向上や、負担の削減が期待できるでしょう。
クラウドベースでの提供
Web-EDIはブラウザベースでシステムを操作するため、現在提供されているWeb-EDIシステムの多くがクラウドを利用したソリューションとなっています。
従来のEDIはPCに専用ソフトをインストールしていたため、定期的なアップデートや、PC入替え時の稼働確認などが必要でした。しかしクラウドで提供されるWeb-EDIでは、システムの運用は提供元がすべて行うため、企業側に手間がかかりません。
Web-EDIの導入メリット
Web-EDIを導入する主なメリットとして、コスト削減や業務効率化などが挙げられます。期待できる効果について、以下で詳しく解説します。
請求書のペーパーレス化
Web-EDIでは企業間の商取引に必要なビジネス文書のやり取りを自動化できるため、請求書などのペーパーレス化が可能です。
これまで受発注業務における注文書などは、FAXを使用した紙ベースのやり取りが主でした。しかし、書類紛失のリスクや、FAXや紙の経費が発生していました。Web-EDIの活用でペーパーレス化が実現し、経費削減が可能です。請求書を郵送している企業の場合は、郵送費の削減にもつながるでしょう。
またペーパーレス化により、文書保管のスペースを確保する必要もなくなります。
導入が容易で低コスト運用
Web-EDIは主にクラウドで提供されているソリューションであるため、専用システムを構築する必要がなく、導入が比較的容易です。従来のEDIからの乗り換えやスモールスタートにも適しているでしょう。
インターネット回線のため電話回線と違って通信コストも抑えられます。運用・保守をベンダーに一任できるなど管理の手間が少ない点もメリットです。
回線速度が早く業務の効率化
従来のEDIは一般の電話回線を利用しているため、データの送受信が遅くなりがちでした。大量のデータをやり取りする場合、受発注だけでも1時間以上の時間を要するケースもあります。また、画像や漢字などのデータに対応していないことで入力作業にミスが発生しやすく、処理の遅延につながっていました。
しかし最新の通信回線を利用したWeb-EDIは、従来のEDIよりも通信速度が速いため、データのやり取りもスムーズです。
さらに画像や漢字などのデータも送受信できるためミスの軽減につながり、処理のスピードアップが見込めるでしょう。
高度なセキュリティ対策
暗号化技術の発達により、現在のインターネット回線は非常に安全性の高いものになっています。企業間の商取引業務もセキュリティ性の高い回線を利用するため、従来のEDIと比べても安心して利用できるといえるでしょう。
また、企業間の商取引でやり取りされる文書は機密性の高い情報が多いため、安全性が保たれた環境下で行われるデータのやり取りは、企業の信頼性確保にもつながります。
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Web-EDIの導入デメリット
メリットだけでなくデメリットも理解したうえで、自社へのWeb-EDI導入が適切かどうかの判断をしましょう。
費用対効果が低いケースもある
すべてのEDIに共通していえることですが、企業間の取引量や取引先が多くない企業の場合、思ったような費用対効果が得られない可能性があります。またWeb-EDIの場合、受注企業は発注企業やIDごとに利用料金がかかります。あらかじめ導入・運用コストを算出し、Web-EDIの導入により得られる効果と比較をしましょう。Web-EDIサービスのベンダーに相談するのもひとつの手段です。
取引先の同意や仕様確認が必要
Web-EDIを導入する際には、取引先の同意を得る必要があります。自社と取引先の両者がWeb-EDIを導入しないと、十分に活用できないためです。導入にはコストも発生するため、一方的に進めることはできません。事前に導入状況を確認のうえ、話し合いの場を設けましょう。
また、取引先がすでにWeb-EDIを導入している場合、システムの仕様を確認する必要があります。Web-EDIは標準化されていないため、仕様が異なると企業間取引の電子化は進められません。通信プロトコルのチェックが必要です。
業務が煩雑になる可能性
Web-EDIはウェブブラウザでシステムを操作します。前述したとおり、ログインやアップロードなどの手入力が生じるほか、社内の基幹システムへのデータ取り込みが難しいため、再入力の手間が発生します。
さらに、取引先ごとに画面を切り替えたり、フォーマットにばらつきがあったりと、かえって管理運用が煩雑化する恐れもあるでしょう。
Web-EDIの選定ポイント
Web-EDIを導入する際には、取引先企業のシステム仕様の確認が必須です。ほかにも機能や操作性などを確認しておくとよいでしょう。ここからはWeb-EDIの選び方について説明します。
通信プロトコルや導入実績
Web-EDIのシステムは標準化されていないため、取引先企業とEDIシステムの仕様が異なる場合、商取引の電子化はできません。企業ごとにEDIシステムの仕様を確認する必要があります。
Web-EDIの仕様を選定する際は、最初に通信プロトコルについてチェックしましょう。Web-EDIで利用される主な通信プロトコルは5種類あります。導入する際は、複数の通信プロトコルをサポートするWeb-EDIサービスの選定が望ましいでしょう。
- 代表的な通信プロトコル
-
- ●EDIINT AS2
- ●OFTP2
- ●JX手順
- ●SFTP
- ●ebXML MS など
また、同業界における導入実績の有無も確認すべき項目です。適切なノウハウや必要な機能を有しているかの判断材料にもなるためです。
無料トライアルやデモ
機能性や操作性を確認できる無料トライアル・デモはぜひ活用しましょう。Web-EDIはブラウザ画面でシステムを運用するため、操作性は特に重要です。操作手順の確認に加え、処理速度や処理能力も実際に体感しましょう。また、ベンダーのサポート品質を確認できるなどの利点もあります。
クラウド型のEDIやWeb-EDIの導入を検討している方には、以下の記事がおすすめです。導入ユーザーのレビュー(口コミ)などもぜひ参考にしてください。
Web-EDIを利用して業務を効率的に行おう
Web-EDIは、企業間の煩雑化した商取引業務を効率化できるシステムです。現在、Web-EDIはクラウドベースで提供されている製品がほとんどであり、低コストで導入でき、運用までも時間を要しません。
導入時に注意すべきポイントは、システムが標準化されていないため、取引先のシステムの仕様が異なる場合、導入自体が難くなる点です。導入の際は取引先のシステムの仕様を確認し、対応可能なサービス・ツールを取り入れましょう。できるだけ多くの製品から最適な製品を選びたい方は、以下の記事を参考にしてください。