EDI2024年問題とは
EDI2024年問題とは、NTT東西が固定電話網をIP網に移行することで生じる業務遅延や停滞の恐れ、新たなシステム構築等の問題を指します。固定電話網を利用している企業やEDI取引に大きな影響を与えるでしょう。問題点については、以下で詳しく解説します。
固定電話網のIP化によってEDI取引に影響がでること
NTT東西は2024年に固定電話網のIP化を予定しています。従来の交換機を利用した電話網の維持が困難になったためです。本来は2020年に移行される予定で「2020年問題」と呼ばれていましたが、反発が多かったため2024年にもち越されました。
基本的な音声通話サービスは維持されますが、EDI取引は多大な影響を受けます。検証の結果、データ伝送に遅延が生じることが確認されています。
参考:固定電話(加入電話・INSネット)のIP網移行|NTT東日本
参考:固定電話のIP網への移行に伴う「切替後の加入電話・INSネット」に係る検証結果について|NTT東日本
加入電話やINSネットを利用したEDI通信が遅延する
2024年問題は、2024年1月から発生します。固定電話網のIP化が順次進められ、2025年1月には移行が完了する予定です。加入電話あるいはINSネットを利用したEDIは順次影響を受けるでしょう。
ただし、すぐに従来のEDIが使えなくなるわけではありません。INSネット ディジタル通信モードのサービスは終了しますが、代替サービスとなるメタルIP電話上のデータ通信が提供されるためです。
しかし、あくまで経過措置として提供されるサービスに過ぎません。メタルIP電話上のデータ通信は2027年には提供が終了する予定です。これにより、音声系を除くEDIは利用できなくなります。
また、代替サービスを利用する場合、従来の通信速度には至らず、遅延が生じます。そのため、早めに新たな方法に切り替えるのが得策です。

EDI2024年問題による企業への影響
EDI2024年問題により、企業はどのような影響を受けるのでしょうか。リスクを2つ紹介します。
取引やプロジェクトの遅延リスク
経過措置として提供されるメタルIP電話上のデータ通信では、送信するデータは途中でIPパケットに変換されます。従来の方法にはなかった処理がデータ送信過程で発生するため通信に遅延が発生し、受発注にかかる時間が大幅に増大する可能性があるでしょう。
引続き利用可能な音声系のEDIでも、同じ理由による遅延が発生すると考えられます。遅延問題の解決に有効なのが、次世代EDIへの切り替えです。
しかし、システムの切り替えには一定の時間も手間も要します。特に2024年間近に取り組みはじめると、対応できるベンダーが不足する恐れがあります。システム移行が遅れれば、プロジェクトなどに悪影響を及ぼすでしょう。
取引先との問題発生リスク
リスク回避のためには、できるだけ早い段階で次世代EDIへの切り替えが望ましいものの、自社の都合だけで進められないのも難点です。自社だけが勝手にシステムを変えると、取引先に迷惑をかける可能性が高いためです。
取引相手とよく話し合ったうえで、互いに問題がないタイミングで切り替えなければなりません。
EDI2024年問題に対応する方法
EDIをWeb-EDIあるいはインターネットEDIに切り替えることで、EDI2024年問題に対応できるでしょう。固定電話網ではなくインターネット回線を利用しているため、固定電話網IP化の影響を受けません。
Web-EDIとは基本的にブラウザで使うもので、パソコンのみならずスマホやタブレットからも利用できるのが特徴です。快適に使えるため業務の効率化を図れるでしょう。しかし、標準化されたシステムではないため、異なるシステム間ではデータをやり取りしにくい点が弱みといえるでしょう。
一方、インターネットEDIには難点がありません。インターネット回線を利用する点はWeb-EDIと同じですが、世界共通のインフラを使用するため、どの企業とも取引可能です。専用機器も必要なく標準的な機器でシステムを構築できることから、今後急速に普及すると考えられています。
Web-EDIやインターネットEDIに興味がある方には、以下の記事がおすすめです。EDI2024年問題に対応可能な最新の人気製品を多数紹介しています。
EDI2024年問題に素早く対処し、取引を継続させよう!
EDI2024年問題とは、固定電話のIP化によってEDIが影響を受けることです。加入電話やINSネットを用いるEDIは、2024年1月以降に通信の遅延が発生します。結果、受発注などに要する時間が増大し、業務が遅延するリスクがあります。
EDI2024年問題に対応するには、EDIをWeb-EDIやインターネットEDIに切り替えなければなりません。早めに対応しリスクを最小限に抑えましょう。
