製造業におけるEDI導入の現状
製造業におけるEDIの利用率は、年々増大しています。経済産業省の「平成 26 年度我が国情報経済社会における基盤整備」によると、製造業でEDIを導入していない企業は、平成25年度時点で2割未満です。その普及率は、他産業と比べてもトップクラスです。
ただし年間売り上げ1,000億円未満の中小企業においては、その実態が異なり、事業規模が小さくなるにつれEDIの利用率が下がります。年間売り上げ1億円~20億円規模になると、販売先と5割以上EDIを介して取引している企業は、全体の14%程度しかいません。仕入れ先と5割以上EDIを介して取引している企業はさらに低く、全体の5%ほどです。
このことから中小規模の製造業におけるEDIの普及率は、まったく十分ではありません。
参照:平成26年度我が国情報経済社会における基盤整備(情報処理実態調査の分析及び調査設計等事業)調査報告書|経済産業省
(※29年度で調査自体が廃止され、令和5年2月現在、データの更新はありません)

製造業がEDIを導入するメリット
製造業がEDIを導入することに、どのようなメリットがあるのでしょうか。
業務の効率化
製造業がEDIを導入すると、これまで手作業で行っていた注文書や伝票類の作成・送付が自動化され、作業工程を省略できます。受発注データの共有がスムーズになり、業務効率が向上するでしょう。人手が必要な業務は、最初に行うデータ入力のみです。
コストの削減
取引データを電子化し企業間でやり取りするEDIの導入により、注文書や出荷指示書の作成など人の手で行っていた作業を自動化できます。紙で書類を作成したり、保管スペースを確保したりする必要もありません。ペーパーレス化の実現が可能となるため、人件費や保管コストの削減につながります。
EDI導入後は、より重要な仕入れ先との交渉や製造工程にコストを集中できます。納期や料金について交渉できる時間が増えるため、購買担当者の負担も減るでしょう。
サービス品質の向上
EDIを導入すれば、人為的なミスを防止でき、サービス品質が向上します。紙を用いて業務を行うと、仕入れ先や発注先もしくは自社内で、入力ミスを起こしかねません。EDIで受注から納期確定までを自動化することは、ミスの削減に効果的です。
事業活動への応用
EDIに登録されたデータは、さまざまな事業活動に応用できます。例えばESG投資を有利にするには、取引実績を証明できる受発注のデータが有効です。EDIを活用すれば、どのような企業と付き合いがあるのかを客観的に証明でき、投資先としての信頼を与えられます。ほかにも注文データは、融資を受けるときの担保にもなりえます。
例えばPOファイナンスというサービスは、注文情報を電子記録債権化することで、納品前であっても、受注データを担保として利用可能です。電子記録債権は、発注者や納入者そして金融機関が順番に請求や承認を行うため、改ざんの余地がなく、担保として使えるのです。
製造業がEDIを導入する際のポイント
製造業がEDIを導入する際は、Web-EDIを中心に検討してみましょう。
EDIは便利な反面、買い手有利となりやすく、公正な商取引という観点では不便です。また固定電話回線を利用しているため、固定電話回線の随時廃止が決定している国内ではいずれ利用できなくなります。
Web-EDIは、クラウドベースで運用するため、買い手が変わっても柔軟にシステムを変更できます。よって、買い手主導になる心配もありません。ブラウザから利用できるため、専用のソフトウェアをセットアップする手間からも解放されます。また、インターネット回線を用いるため、今後利用できなくなる可能性も低いです。
製造業がEDIを導入する際は、Web-EDIを念頭に置いたシステムを構築しましょう。
EDIの導入を前向きに検討したい方は、ぜひ以下の記事も参考にしてください。Web-EDIを含め、おすすめEDIツールを紹介しています。
製造業でEDIを導入し、業務改革を実践しよう!
製造業におけるEDIは、年々利用率を伸ばしており、今後も普及すると考えられます。「業務効率化」「コスト削減」「サービス品質向上」「事業活動への応用」など、導入メリットも多いので、積極的に活用しましょう。
中小規模の企業がEDIを導入する際は、今後主流になるであろうWeb-EDIを選択肢のひとつとして検討してはいかがでしょうか。
EDIを導入し、製造業における業務改革を実践しましょう。
