人事評価制度の作り方を解説
人事評価制度を作る際は、あらかじめ作り方について知っておく必要があります。作り方の手順を誤ると、評価制度そのものが機能しなくなってしまいます。
ここでは具体的な作り方を7つのステップに分けてまとめました。
- ●現状把握
- ●目的の整理
- ●評価手法の決定
- ●評価項目の設定
- ●評価基準と待遇の整理
- ●社内への説明
- ●運用開始
現状把握
人事評価制度を設ける際は、まず自社の現状を把握しましょう。現状を知らずに評価制度を設けても、うまく運用できません。
自社の課題や経営の方向性などを確認して、どのような指標で人事評価すべきかを決定しましょう。
目的の整理
人事評価制度を導入する方向となったら、次は制度を導入する目的を整理し、明文化しましょう。目的を整理すべき理由として、以下の3つがあげられます。
- ●従業員へ制度導入を理解してもらうため
- ●なぜ制度を導入するのかを知ってもらうため
- ●制度導入の目的をぶらさず、適切に運用していくため
人事評価制度は企業の方針や求める社員像を示すものです。従業員がどのような行動をすべきかを明確にするためにも、導入目的はしっかりと整理しましょう。経営陣にとっても求める人材を育成しやすくなるため、双方にメリットが生まれます。
評価手法の決定
目的の整理ができたら、評価手法を決めます。人事評価の手法は大きく「能力評価」「業績評価」「情意評価」の3つに分かれ、それぞれ評価する項目が異なります。
評価手法については、企業として求める人物像をもとに決定するのがおすすめです。経営方針や現場の課題を踏まえ、どのような人物を求めているのかを分析、言語化すれば、評価手法も決定しやすいでしょう。
いずれの手法を採用する場合でも、偏った評価にならないよう注意が必要です。評価者の主観によって特定の人が優遇されるような手法だけを採用すると、社員からの不満が生まれる可能性があります。また、一律の基準で評価項目を設けるのではなく、役職や部署など評価者によって評価項目を変え、多角的な視点を取り入れることも大切です。
評価項目の設定
評価手法を決定したら、その手法に基づいた評価項目を設定しましょう。評価項目については、短期・中期・長期と、期間ごとに設定するとわかりやすくなり、企業の目標達成にもつながりやすくなります。
評価基準と待遇の整理
評価手法に基づいた評価項目を決めたら、評価基準と待遇を整理しましょう。評価基準とは、各評価項目を誰がどのような基準で、何を参考に評価するのか定めるものです。形式としては5段階で評価するのが一般的です。
また、評価の変動をどれくらい待遇に反映させるかも決めておく必要があります。5段階で評価する場合はどこからが給与・ボーナスアップにつながるのかも整理しておきましょう。
特に給与面は従業員のモチベーションアップにも直結し、逆に適切な評価がされないと従業員の不満につながりやすいため、慎重に検討する必要があります。なお、評価基準は部署ごとに設定しておくとよいでしょう。営業の場合は成約数、事務や技術職の場合は資格保有数などが代表的な例としてあげられます。
社内への説明
新しい人事評価制度を導入する場合、必ず社内へ説明を行います。周知をせずに運用を開始してしまうことは、従業員の不満につながる場合があります。
周知方法はメールや掲示板・社内チャットが一般的ですが、説明会として場を設けるのもおすすめです。従業員の理解を深めるために実施すれば、納得してもらったうえで運用を開始できるでしょう。
周知する際は開始時期だけでなく、評価基準についても開示しておくのがおすすめです。遅くても運用開始の1か月前には従業員が把握しておけるようにしましょう。
運用の開始
社内へ説明ができたら、事前に通達している開始日から運用をはじめましょう。なお、新しい人事評価制度の運用をスタートする際は、年度のはじまりなど区切りの良いタイミングがおすすめです。
中途半端な時期にはじめると、評価する側・される側の双方で問題が生じる可能性があります。運用開始までに評価担当者や関係者もしっかりと準備して、スムーズな運用開始を目指してください。
人事評価制度の評価手法
人事評価制度は、主に3つの評価手法を用いて実施されます。具体的な手法については、以下のとおりです。
- ■能力評価
- 仕事に必要な「知識」と「技術・技能」、「業務遂行能力」への評価。
- ■業績評価
- 成果や業績に対する評価。
- ■行動評価
- チーム内の役割達成や業務への取り組む姿勢などの行動を評価。
なお、企業によってどの項目を優先して評価するかは異なります。まずは自社にとってどのような評価が適切かを慎重に判断しましょう。
評価手法については以下の記事で解説しているので、あわせて参考にしてください。
人事評価制度を導入した際の失敗例
ここでは人事評価制度を導入した際の失敗例として、以下の2つを紹介します。
- ●人事評価制度がうまく運用されていない
- ●公平な評価が行われていない
人事評価制度がうまく運用されていない
人事評価制度がうまく運用されていない状況は、導入した際の失敗につながります。
部下を評価する管理者は、人事評価だけでなく、さまざまな業務を抱えているため負担になってしまうでしょう。評価される側の従業員と評価者には、それぞれ次のような手間がかかります。
- ■従業員
- 目標設定・面談など。
- ■評価者
- 目標設定の確認・進捗確認・面談など。
これらを現業とプラスして行う必要があるため、少しでも負担を減らせるようにシステム化するとよいでしょう。
公平な評価が行われていない
人事評価制度を導入した際の失敗例として、公平な評価が行われないことがあげられます。公平性の欠如は、従業員のモチベーションの低下を招きます。
評価が主観的であったり、一貫性がなかったりすると、従業員は自分の努力が適切に評価されていないと感じてしまうでしょう。人事評価制度を運用する際、評価者を適切に指導し、公平かつ客観的な評価を実施できる体制を整えなければなりません。
導入を決定した際は評価担当者を集め、研修や会議を実施しましょう。研修・会議では、従業員のどういったところに注目して評価するべきかを明確にし、評価基準をしっかりと設定することが大切です。複数回の研修・会議を経て、評価のバラつきがなくなるようにすることが、うまく運用するためのポイントです。
人事評価制度の管理に人事評価システムを活用しよう
人事評価制度は、従業員を適材適所に配置したり適正に評価したりするのに効果的です。ただし、しっかりと管理しなければ運用はうまくいきません。
評価制度の管理を適切に行うのであれば、人事評価システムを活用しましょう。システムを導入すれば、シートの作成・配布・回収・集計を一連の流れで管理できます。人事評価システムにはさまざまなサービスがあるため、まずは資料請求して自社に適したものを見つけましょう。