人事評価における「ハロー効果」とは?
ハロー効果とは、人事評価を行う場合に、その人の特徴や取得資格、他者からの評価などによって評価が一方向に偏ってしまう事を言います。
例えば取得することが難しい資格を持っていた場合には、知識ばかりでなく人格さえもいいものとして評価するようなことです。
ハロー効果が誕生した背景
ハロー効果のハローとは、キリストや聖人などの絵画で、頭の後ろやその人の背景などに書かれている光の環のような物の事です。この光の環によって、その人物を特別な人と認識されやすくしています。このことから、人の評価をするときに目立つ特徴によって、その人の全体的な評価としてしまうことをハロー効果と言われるようになりました。
ポジティブハロー効果について
ハロー効果の1つにポジティブハロー効果があります。これは、ある一定の評価項目が良い評価になっている時に他の評価項目も高く評価してしまうことです。ある一定の評価項目は評価者によって変わってきますが、学歴や資格などが例に挙げられます。学歴が高い人は優秀だからという無意識が他の項目にも影響を及ぼし評価を高めてしまうということです。
ポジティブハロー効果の例
ポジティブハロー効果の代表的な例としては、以下のようなものがあります。
- 高価な装飾品を身に着けていると経済的に裕福な人だと思う
- 清潔な身なりをしていて話し方も丁寧なら信頼できる人だと思う
- 高い語学力があり留学もしていると仕事ができる人だと思う
- 有名大学卒業者なら学力だけではなく人格的にも優れている人だと思う
- 良い表情をしている人は協調性がある人だと思う
ネガティブハロー効果について
ハロー効果の一つにネガティブハロー効果があります。これはある一定の評価項目が低い評価になっている場合には、その他の評価も低く評価してしまうことです。
主な評価項目は学歴や体形、服装などがあります。
ネガティブハロー効果の例
ネガティブハロー効果の代表的な例としては以下のようなものがあります。
- 言葉遣いが乱暴だと素行も悪く暴力的な人だと思う
- くたびれたスーツを着ていると信用ができない人だと思う
- 接客態度が悪いセールスマンから勧められた商品は良くない商品だと思う
- 太っている人は運動ができない自己管理ができていないと思う
ハロー効果が人事評価に与える4つの影響
ハロー効果が表れることによって、人事評価に影響を及ぼすことがあります。
スキルの拡大評価
業務を遂行する上で営業など対外交渉などがある場合には、見た目の第一印象が重要な要素となります。見た目が良いからと言って人間性や協調性が高く評価される場合があります。実際には言葉遣いや立ち振る舞いも大きな評価ポイントとなります。
その逆に身だしなみが整っていないとマイナス評価になりますが、それには計画性があり業務遂行能力に長けた人も、もちろんいます。
過去経歴をもとに判断する
職歴や過去に携わったプロジェクトによって、その人の能力を誤って評価することもあります。職歴や学歴が良い評価でも、実際に業務が遂行できるかどうかはわかりません。過去に関わったプロジェクトが失敗したものでも、優れた知識と実行力を持っている場合もあります。
日々の目立ち具合で能力を判断してしまう
人の目立ち方が評価に影響を与えることがあります。例えば、声が大きくはっきりとした意見を言ったり、外見が良いなどの場合には良い評価がされることが多いです。
ただ、当たり前ですがしっかりとした考え方を持っていたとしてもはっきりと発言できない人もいます。そのことを意識することが重要です。
特定の能力や経歴を他のものに当てはめてしまう
ある能力や経験があることでその人の能力を決めつけてしまうことがあります。例えば、携わったプロジェクトが多いと業務遂行能力が高いとか、何度も資格試験に不合格が続いていると最後までやり遂げる能力が低いという評価をすることです。実際にはプロジェクト内での役割によっても変わりますし、資格勉強ができる時間的余裕によっても変わってきます。
ピグマリオン効果
ハロー効果と似たものにピグマリオン効果があります。ピグマリオン効果とは、相手への期待によって、相手が変化するというものになります。ハロー効果は、相手の特徴を知ることによって、相手への評価が変化するものになります。
元は教育心理学用語で、教師の期待によって学習者の成績が改善するというものです。上司、部下の間柄でも使用できる効果になるので、ぜひ意識して使用してみてください。
ホーン効果
ハロー効果、ピグマリオン効果と似たもので「ホーン効果」もあります。ホーン効果とは、何かを評価する際に、それに関連するネガティブな情報に影響されて評価を下げてしまうという心理現象のことです。
ネガティブハロー効果と同じような現象で、ホーン(horn)は悪魔の角を意味しています。
人事評価でハロー効果の誤差を防止する方法
戦術の通りハロー効果によって、その人自身への正しい評価ができないということが起こりえます。人事評価を行う上で、ハロー効果に惑わされずに評価するためにはどのような点に気をつけたほうが良いのでしょうか。
客観的な行動や発言に着目して評価する
書類上に書かれた内容だけではなく、面接や普段接している人からの評価を参考にして多角的な評価を取り入れます。多角的な評価を取り入れることで、一つの評価の影響を少なくすることができますので、評価自体に客観性を持たせることができます。
評価項目や基準を明確にする
人事評価をするときに、評価者と非評価者の関係や他の人との比較などを元にしてしまうとハロー効果の影響が大きく出てしまいます。それをなくすために、人事評価をする項目を定めて、評価する基準も明確にするようにします。これによって評価者による評価のずれなどを無くすことができます。
複数の評価項目の元行う
評価する項目を1つに絞るのではなく、出来るだけ多くの項目で評価する、もしくは順不同の項目を作って全体を評価するようにします。多くの評価項目があると、評価の誤差をなくすことができます。また評価する項目の順番を変えることで評価の揺れを防止することができます。
この記事ではハロー効果が及ぼす人事評価のブレについて触れてきましたが、その他にも人事評価に影響のある心理的なバイアスが存在します。
ハロー効果以外の人事評価エラーにも注意
人事評価エラーにはハロー効果以外にもさまざまな項目があります。
- ・中心化傾向
- ・極端化傾向
- ・寛大化傾向
- ・厳格化傾向
- ・逆算化傾向
- ・論理誤差
- ・対比誤差
- ・親近効果
- ・期末誤差
- ・アンカリング
どのような場合にそれらが起こってしまうのか把握しておくことで、被評価者の不満を軽減することができます。人事評価エラーについての詳細は、こちらの記事を参考にしてください。評価者の方は合わせてご確認されることをおすすめします。
ハロー効果によって起こる不適切な評価をなくそう
人事評価は部下のやる気に大きく影響を与えます。できるだけハロー効果の影響を受けないように人事評価を行いましょう。適切な人事評価は部下のやる気だけでなく、会社の業績にもいい効果があります。ハロー効果の本質を知り、人事評価に活かしましょう。