タイムカードの保管期間はどれくらい?
タイムカードはどれくらい保管するのが望ましいのでしょうか。タイムカードの保管期間について解説します。
最低5年以上の保管が望ましい
タイムカードの保管期間はもともと3年でしたが、2020年4月1日の法改正によって5年に変更されました。そのため法改正前のタイムカードであれば、5年間保管しなくても違法にはなりません。ただし法改正に伴い賃金請求権の消滅時効も5年に変更されたため、法改正前のタイムカードであっても最低5年以上保管することをおすすめします。
賃金台帳が源泉徴収簿を兼ねている場合のタイムカードは、7年間の保管が必要です。
起算日を正確に把握することが重要
タイムカード保管の起算日は、法改正によって「タイムカードを利用して賃金を計算し支払いが終わった日」と明確になりました。そのため6月30日にタイムカードへの記録が完結し、7月15日に6月分の支払期日が到来した場合は、「7月15日」が起算日となります。
法改正前である2020年3月 31 日以前に記録したタイムカードについても、法改正後に賃金支払期日が到来していれば、当該賃金支払期日が起算日となります。派遣社員については、「派遣契約の解除日」が起算日となるため、間違えないようにしましょう。
労働基準法の改正内容
2022年現在、今後適用される法改正の内容を紹介します。従来の労働基準法では、月60時間以下の時間外労働の場合だと割増賃金率が25%以上、月60時間超だと50%以上でした。大企業に適用されており、中小企業では猶予措置がとられ、月60時間以下でも月60時間超でも25%以上でした。
しかし、2023年4月にはこの猶予措置が終了し、月60時間超の時間外労働においては割増率が50%以上に引き上げとなります。月60時間超の時間外労働を行った場合、割増賃金の代わりに有休も可能です。
また36協定で定める時間外労働の上限は、原則として月45時間・年間360時間までとする法改正が2019年にありました。建築業は長時間労働が多いためすぐに働き方が変更できないことから措置猶予が設けられています。2024年4月から他の業種と同様に時間外労働が適用されます。
参考:
労働基準法|e-GOV 法令検索
タイムカードの保管対象はどの範囲まで?
タイムカードは、雇用形態や現在の雇用状況などに関係なく保管しなければなりません。正社員やアルバイト・パートはもちろんのこと、退職者のタイムカードも法律に定められた期間しっかりと保管しましょう。派遣社員の場合は、派遣元と派遣先の双方でタイムカードを保管する必要があります。
以前は、みなし労働時間制の社員や管理監督者のタイムカードを保存する必要がありませんでした。しかし、労働安全衛生法の改正により、現在では労働時間の把握が義務化されています。
タイムカードの保管期間を守らないことによるリスクは?
労働基準法にはタイムカードの保管期間に関する罰則が明記されています。違反すると30万円以下の罰金が科されます。
従業員と長時間労働・未払賃金などで論争になった際、タイムカードがないと会社側に非がないことを証明できません。また、労働基準監督署からタイムカードを要求された際、保管していないことが分かると、会社の信用低下にもつながります。
災害などで紛失することがないよう、タイムカードは強固なセキュリティのもとしっかりと管理しましょう。
また管理職と裁量労働制で働いている社員は、タイムカードの保管対象外です。しかし企業側は、勤怠管理義務があるため、一定期間の保管がおすすめです。
従業員の勤怠情報を適切に保管するコツは?
従業員の勤怠情報を適切に保管するコツについて紹介します。
タイムカードを期間ごとに区切ってデータ保存する
タイムカードは期間ごとに保管しましょう。労働基準監督署の要求があったり、保管期間の到来後に破棄したりする場合に、該当のタイムカードを見つけやすくなります。
労働基準監督署は会社の労働管理が適切かチェックするために、勤怠データの情報開示を定期的に要求してきます。その際、タイムカードをバラバラに保存していると、該当のデータを見つけられず、会社の信頼を落としかねません。反対にタイムカードを期間ごとに保管することで、労働基準監督署の信頼を獲得できます。
また、災害などの万が一に備えて、タイムカードをデータ化することも大切です。データ化するとバックアップが可能になり、万が一の際にデータを復旧しやすくなります。タイムカードをデータ化する際も、期間ごとにわけて保管することが重要です。
勤怠管理システムを導入する
昨今テレワークなどで勤務体系が多様化したことにより、タイムカードによる勤怠管理も複雑化しています。そのためタイムカードの保管には、勤怠管理システムの活用をおすすめします。勤怠管理システムはサーバやクラウド上で稼働するため、タイムカードのように専用機器を設置する必要がありません。
スマートフォンやIC、指紋などを使った認証が可能で、不正打刻や打刻忘れなども防止できます。自動給与計算やワークフロー・スケジュール管理機能などを活用すれば、勤怠管理業務の効率化も可能です。また、ネットワークを通じてデータがバックアップされるため、災害や盗難などが発生しても、勤怠情報の消失が防げます。勤怠管理システムを選ぶ際は、労働基準法に対応しているか、どのような機能や特徴・サポートがあるのか確認しましょう。
タイムカードの保管期間を知って、適切な勤怠管理を!
タイムカードは、雇用形態に関係なく最低でも5年間保管しましょう。2020年3月31日以前のものであっても、5年間保存することをおすすめします。
勤怠管理業務の効率化をお考えの方は、勤怠管理システムを導入しましょう。勤怠管理システムは、タイムカードの保管以外にも便利な機能が豊富なので、積極的に活用することをおすすめします。
タイムカードの保管期間を押さえて、適切な勤怠管理を行ってください。