勤怠管理システムとは
勤怠管理システムとは、従業員の労働状況を管理できるシステムです。勤怠管理におけるさまざまな課題の解決や近年のリモートワークやテレワークにも最適といえるでしょう。勤怠管理の課題や勤怠管理システムを導入する目的、機能を紹介します。
勤怠管理業務における課題
従来の手法であるタイムカードと手作業の集計による勤怠管理・就業管理には、さまざまな課題があります。よくある勤怠管理業務の課題は以下のとおりです。
- 1.集計作業にミスが発生する
- タイムカードや手書きによる打刻から給与計算には、手作業による転記や集計が必要です。最新の注意をはらい転記していても、手作業ではミスが発生します。さらに、従業員の増加や雇用形態の多様化により作業が煩雑化しています。
- 2.直行直帰の不正打刻
- 残業や有給休暇、あるいは直行・直帰の申請などは事後報告となることも多くあるでしょう。紙ベースの手続きでは、不正打刻のチェックや承認が不正確で、ルールの軽視につながるでしょう。
- 3.割増賃金の計算が煩雑
- 給与額の算出には、時間外労働や休日労働、深夜労働などを労働基準法の規定に従い計算します。正確な計算ができないと、正確な賃金が支払われず、労務コンプライアンス上のリスクが発生するおそれもあるでしょう。
- 4.法改正の対応が困難
- 労働基準法や労働安全衛生法など勤怠管理に関する法律の改正は、頻繁に実施されます。法律の改正に伴い、管理や賃金計算の方法を対応するのは負担が大きいといえるでしょう。
- 5.出退勤データの活用が困難
- 紙ベースの手作業で出退勤データが管理されている場合、給与計算にしか活用されていないケースがあります。労働負担の偏りや人員配置の適切性のチェックに活かされない、といった経営上の課題もあります。
導入する理由
従来の勤怠管理業務では、タイムカードや手書きの出勤管理表による勤怠管理が一般的でした。近年では、新型コロナウイルス流行によるリモートワークや働き方改革関連法の施行により、勤怠管理システムを導入する企業が増加しています。
2019年に改正された労働安全衛生法では「客観的方法による労働時間把握」が義務化されました。自己申告による勤怠記録だけでは法的要件を満たせず、場所を選ばずに正確かつ客観的に勤怠を記録できる勤怠管理システムが普及しています。
また、労働基準法の改正により、時間外労働の上限規制や有給の取得が義務づけられました。法改正により、従業員一人ひとりの勤怠状況を把握し、残業時間や有給の正確な管理が求められています。
参考:テレワークの労務管理等に関する 実態調査 (概要版)令和3年3月|厚生労働省
参考:働き方改革関連法のあらまし (改正労働基準法編)|厚生労働省
人的ミスや管理工数の削減
勤怠管理業務における人的ミスや勤務時間の集計、賃金計算の工数削減には、勤怠管理システムの導入がおすすめです。勤怠管理システムには、出退勤の管理や休暇、残業時間の計算やシフト管理まで対応している製品もあります。タイムレコーダーを活用するタイプや、PC・スマホ・ICカード・生体認証など、さまざまな方法での打刻も可能です。
勤怠管理システムの代表的な機能や効果は以下のとおりです。
- ●正確な打刻の管理
- ●適切な労働時間の管理・過重労働の防止
- ●法改正への対応
- ●給与計算業務効率化によるコスト削減
- ●マルチデバイスで多様な働き方にも対応
その他にもさまざまな機能がありますが、賃金計算のミスを防止し業務効率の向上は、労務コンプライアンスにおけるリスクの防止につながります。自社の解決したい課題を明確にして、勤怠管理システムの導入を検討しましょう。
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勤怠管理システム導入のメリット
ここでは、勤怠管理システム導入によるメリットをさらに詳しく解説します。ITトレンド編集部がおすすめする製品の機能もふまえた導入効果を紹介しているので、自社の課題解決の参考にしてください。
労働時間を正確に集計
勤怠管理システムを導入すると、従業員の出退勤時間を客観的かつ正確に管理できます。スマホ・PC画面・ICカード・生体認証などを用いて、ワンタッチで打刻できる製品が多くあるため、勤務表への入力ミスや打刻漏れの防止につながるでしょう。
また、紙のタイムカードとタイムレコーダーで出退勤時間を打刻している場合、手作業でデータを入力し給与計算する必要があり、転記ミスの可能性があります。しかし、勤怠管理システムであれば、勤務記録をcsvデータなどで出力して給与計算できるため、給与計算の正確性を上げられるでしょう。
割増賃金の自動計算
勤怠管理システムは従業員の残業時間や遅刻・早退・欠勤、休暇の取得状況を含め、勤務状況を正確に管理できます。また、リアルタイムに残業時間や有給取得日数を把握でき、自動的に割増賃金が算出される製品も多くあります。法令遵守にも役立ち、コンプライアンスの順守にもつながるでしょう。
法改正への対応
法改正の対応漏れによるミスにより、企業には罰則のおそれがあります。また、勤務規則や勤怠管理の方法をできるだけ迅速に変更しなくてはなりません。近年は、クラウド型の勤怠管理システムが多く登場しています。クラウド型では、労働基準法や労働安全衛生法など勤怠管理に関する法改正の際に、自動アップロードできる製品があります。法改正の対応による担当者の負担を減少できるでしょう。
不正打刻を防止する
タイムカードやExcelへの手入力により、出退勤を管理している企業が多くありますが、本人以外が打刻する問題もあります。静脈・指紋認証・顔認証システムなどの生体認証システムが搭載されている勤怠管理システムであれば、不正打刻の防止が可能です。
ほかにも、クラウド型の勤怠管理システムにはスマホ端末のGPS機能を活用した打刻機があります。打刻と同時に位置情報を記録するため、直行直帰・出張・交代制の夜間勤務・休日出勤など、さまざまな就業形態や条件にも柔軟に対応できるでしょう。
コストの削減
勤務時間や残業時間の集計から、代休・有休の申請や取得状況、残数の管理など人事・労務担当者の業務は煩雑です。特に給与計算は工数も人的コストもかかる負荷の高い業務です。給与計算システムと連携できる勤怠管理システムや、給与計算機能が搭載された製品の導入で、データの入出力・転記・計算作業が効率化できます。大幅な業務効率化により人件費の削減につながるでしょう。
モバイル端末で外出先の打刻
スマホをはじめ、モバイル端末に対応した勤怠管理システムでは、テレワーク・出張・営業活動による外回りなど、オフィス以外からの打刻が可能です。タイムカードを切るために営業所を行き来する必要がありません。また、直行直帰申請や休暇申請もオンラインで実施できるため、申請書類を提出する手間が省けます。労働生産性の向上にもつながるでしょう。
他システムと連携
勤怠管理システムは出退勤データをCSV出力できるものがほとんどです。また、給与計算システム・Web給与明細ソフト・シフト管理システムなどと連携できる製品もあります。給与計算やシフト作成などの業務も効率化につながるでしょう。
データを経営戦略で活用
従業員の勤怠・就業状況がリアルタイムで収集されており、分析機能でグラフなどで可視化できる勤怠管理システムもあります。部門ごとのオーバーワークの偏りや特定の従業員の過剰労働を把握でき、適正人員数を見直すなど、人事戦略に活用できるでしょう。
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システム導入によるデメリット
勤怠管理システム導入には多くのメリットがある一方、デメリットもあります。対応方法もあわせて紹介しているので、導入前に確認しましょう。
コストがかかる
勤怠管理システムには、月額数百円から利用できる製品もあればサーバー構築や保守費用などで数百万円かかるものもあります。就業形態や雇用形態など就業規則が独自の場合、カスタマイズが必要になるケースもあるでしょう。エクセルやタイムカードで管理する場合に比べて、コストは増加します。
また、勤怠管理システムの導入が売上に直結するわけではないので、費用対効果が図りにくい側面をもちます。従来の業務をどれだけ効率化できるか、業務高度化につながる新たな取り組みができるかなど、コストに対し得られる効果を整理して判断するとよいでしょう。
社内浸透の工数がかかる
システムの検討から導入、安定した稼働を実現するまでは、工数がかかります。自社の雇用形態や就業形態・勤務地・社内制度など就業規則を把握したうえで、対応できるシステムかどうか、カスタマイズの要不要などを確認します。
導入後はシステムの操作方法やルールを従業員へ周知しなければなりません。マニュアルの作成や説明会、個別の問い合わせ対応も必要です。拠点数や従業員数が多いほど、システムが定着するまで時間を要します。導入後のフローやスケジュール、作業工数の見通しをたてましょう。
課題を洗い出し自社にあう勤怠管理システムを導入しよう
勤怠管理システムとは、従業員の労働状況を正確にかつ効率的に管理できるシステムです。勤怠管理業務における課題には、人的ミスや管理の負担などがあります。勤怠管理システムには課題を解決できるさまざまなメリットがあります。デメリットや導入ポイントもふまえ、自社に最適な製品を検討しましょう。