在宅勤務とは?テレワークとの違いを解説
在宅勤務の概要と、混同しがちなテレワークとの違いについて解説します。
まず在宅勤務とは、テレワークにおける3つの就業形態のうちの一つであり、会社のオフィスに出勤せずに、自宅を就業場所として働く勤務形態をいいます。主にノートPCなどのIT機器を使って作業し、会社との連絡はインターネットを使ったコミュニケーションツールや電話、FAXなどが用いられます。
毎日在宅勤務で一切出社しない…というよりは、対象の社員に対して週に1~2日ほどを実施する企業が多いようです。職種はエンジニアやプログラマーなど、パソコンを使う専門職の人が向いているといわれていますが、ほかにもさまざまな職種で実施されています。
一方テレワークとは、ICT(情報通信技術)を活用して、時間や場所に制限されずに業務をする就業形態の総称です。「在宅勤務」も「モバイルワーク」も「サテライトオフィスワーク」も、すべてテレワークです。つまりテレワークは、在宅勤務よりも広い概念として用いられています。
- ■テレワークの3つの就業形態
- ・在宅勤務:雇用されている会社のオフィスではなく、自宅が就業場所。
- ・モバイルワーク:出先や移動中の交通機関などで仕事をする働き方。
- ・サテライトオフィスワーク:本社から離れた場所にある小規模オフィスに勤務。
参考:テレワーク総合ポータルサイト|厚生労働省
企業が在宅勤務を導入する背景とは?
昨今では、働き方改革の推進のもとで、在宅勤務やモバイルワークなど、より柔軟な働き方の実現が促されています。在宅勤務制度の目的は主に労働人口の減少に対応するための施策であるとされています。
働き方改革の目的は長時間労働の是正や労働生産性の向上を目的としており、これらの問題点も在宅勤務を含めたテレワークの導入で解決できるでしょう。
ただし、従業員一人ひとりの正確な労働時間の把握がこれまで以上に求められるようになるので、勤怠管理の重要性が増します。適切な勤怠管理を行いましょう。在宅勤務やテレワークにも対応できる人気の「勤怠管理システム」は以下のボタンから確認できます。
在宅勤務のメリット
在宅勤務には以下のようなメリットがあります。
1.業務効率や生産性が高まる
会社のオフィスで働いていると、予定外の打ち合わせや会議、顧客からの連絡などで業務が中断され、集中して業務に取り組めない場合もあります。しかし在宅勤務ならひとりの時間も多く、業務を遂行する集中力を高く維持でき、業務効率や生産性の向上につながるでしょう。
2.通勤や移動におけるコスト削減
在宅勤務の導入で、社員がわざわざオフィスに交通費をかけて行く必要がないので、通勤や移動にかかるコストを削減できます。
会社のオフィスで働く人のなかには、満員電車や長距離移動等で肉体的な疲労や精神的なストレスを感じている人もいるでしょう。在宅勤務の場合、基本的にはオフィスに出社する必要がなくなります。そのため、通勤や移動による肉体的・精神的な負荷を軽減でき、結果的に企業の生産性向上にも寄与します。
3.良質な人材を確保できる
在宅勤務制度は、労働時間短縮制度などと組みあわせて利用できます。育児期間中の社員や、介護を必要とする家族がいる社員が利用すれば、出社準備や通勤に利用していた時間を業務や家族の看病に充てられます。
社員によっては育児や介護のために退職や転職せずに働き続けられるでしょう。企業にとっても経験豊富な人員を失わずにすむので、新たな人材確保の負担やコストを削減できます。離職率の低下にもつながるでしょう。
また柔軟な働き方を積極的に取り入れる企業は、ワークライフバランスを重視する人に評価されます。企業のアピールポイントになるでしょう。
4.災害時などのリスク分散につながる
感染症の流行や災害、テロが起きた場合であっても、在宅勤務ができれば被害を分散でき、事業の継続性も確保できるでしょう。
在宅勤務のデメリット
一方、在宅勤務には以下のようなデメリットや課題点があります。
1.勤務時間とプライベートの線引きが難しい
在宅勤務は自宅で仕事をするという性質上、仕事とプライベートの明確な線引きが曖昧になってしまうケースも少なくありません。家事などの合間に仕事をする場合に、都度準備や集中するために時間がかかってしまうと、時間の無駄も発生します。結果として夜遅くまで仕事をするなど長時間労働につながる恐れもあり、業務の時間配分や進捗管理など自己管理が求められます。
2.情報漏えいなどセキュリティリスクが高まる
在宅勤務に伴うPCや記録媒体の持ち出しが必要になるため、紛失や盗難の恐れがあるほか、ウィルス感染やサイバー攻撃の危険性も高まります。情報漏えいに対するセキュリティ対策が必須になるでしょう。
3.業務上のコミュニケーション不足が生じる
在宅勤務では、インターネットのアプリケーションや携帯電話で会社と連絡は取れますが、上司や同僚と直接顔をあわせての仕事はほとんどなくなります。その結果、業務上でのコミュニケーションが滞ったり、コミュニケーション不足が生じかねません。
オフィスで顔をあわせていると、同僚・上司の雰囲気や様子からお互いの業務の進捗や優先度、モチベーションの変化も察知しやすいでしょう。相談などもその場ですぐ行えるので、スピーディーな対応が可能です。しかし同じオフィス内にいない在宅勤務の場合、この共有が難しくなります。在宅勤務に限らず、モバイルワークやサテライトオフィスワークにも共通した問題点です。
4.勤怠管理や評価が難しい
在宅勤務の最大の問題点は、「いつどのように働いているのか」がわかりにくいという点です。上司は自宅で勤務する社員の業務進捗や勤務態度を確認できません。社員はオフィスで勤務するときと違い、仕事の結果や成果物だけで評価される可能性もあります。
在宅勤務を導入するポイント
在宅勤務を取り入れる際のポイントを紹介します。前述したデメリットに対する解決方法も提案しますので、参考にしてください。
自宅の労働環境を整える
勤務時間とプライベートの線引を明確にするためには、自宅内に集中できるスペースを設けたり、在宅勤務について家族の理解を求めるなど、社員側でもメリハリをつけて仕事をできる環境作りが必要です。
また終日自宅で働くのではなく、勤務時間のうちの一部を自宅で働く「部分在宅勤務」という働き方を活用するのもいいでしょう。一時的に会社のオフィスに出勤したり顧客訪問など外出したりできるので、気持ちの切り替えにつながります。
会社側も労働時間を見える化できる「勤怠管理システム」や、パソコンの操作時間を可視化できる「ログ管理システム」などを活用して、社員の勤務時間を正確に把握するよう努めましょう。
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セキュリティソフトの導入やルールの作成
情報漏えいを起こさないためにもセキュリティ対策は必須です。仮想デスクトップやセキュリティソフトの導入を検討しましょう。またパスワードの適切な管理や不審なメールへの対処法、USBメモリ等の取り扱いなど、在宅勤務時のルール設定や社員への教育もあわせて行いましょう。
こまめに情報共有する
在宅勤務を導入する場合には、暗黙の了解や雰囲気で仕事を進めないように特に注意し、オフィスワーカーと在宅ワーカーの間で情報格差や温度差が発生しないように配慮しましょう。
手軽に情報共有を行う効果的な方法としては、ビジネスチャットツールやグループウェアなどでの情報共有がおすすめです。
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評価方法の明確化
在宅勤務をする社員が不当な評価を受けないためには、在宅勤務にあわせた評価項目の設定と明確化が必要です。オフィス勤務の社員との間で評価に偏りが生じ、不平等が生まれないように、業務成果の目標や評価方法を十分に話しあっておきましょう。
またオンライン会議システムなどを活用して、ワンオーワンミーティングを定期的に行えば、結果だけでなくプロセスについても理解が深まるでしょう。評価のフィードバック時にも納得感につながるはずです。
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在宅勤務の導入事例
実際に在宅勤務を導入している企業の実例を紹介します。どのような形で導入し、どんな効果が得られたのか、ぜひ参考にしましょう。
株式会社クレストコンサルティング
企業を対象としたマニュアル作成・制作のコンサルティングを行う株式会社クレストコンサルティングは、2020年4月の緊急事態宣言時には、全社員が在宅勤務を実施しました。
2010年に限定的ではあるものの在宅勤務を導入し、2018年には全社的なテレワーク体制を目指しルールの制定やシステム整備に取り組んできました。段階を踏みながら課題の抽出や解決に努めてきた点が、スムーズな移行を可能にしたといえます。
テレワークの導入により2021年2月の交通費が前年同月比の54%、通勤費は42%と大幅削減しています。
参考:厚生労働省委託事業 テレワーク宣言応援事業|厚生労働省
株式会社北都銀行
秋田県内を中心とした地方銀行の北都銀行では、既存のタブレット端末を活用し在宅勤務に対応しました。まずは在宅勤務でも対応可能な賞与評価や人事考課を行う管理職から導入を開始。その後は業務内容に縛りはもたせず、現場で在宅対応可能な業務かを判断し運用しています。
導入効果として、電話対応による業務の中断が減少し作業効率がアップしたとの声が多数集まりました。
参考:テレワーク業界別ハンドブック「TELEWORK活用ヒント」|東京都TOKYOはたらくネット
導入のポイントをおさえて在宅勤務のメリットを享受しよう
テレワークの一種である在宅勤務を導入すれば、生産性の向上やコスト削減、優秀な人材の確保など多くのメリットを享受できます。もちろん多少のデメリットはありますが、勤怠管理システムやITツールを活用して適切な対策をとれば解消可能です。在宅勤務導入のポイントや導入事例などを参考に、ぜひ失敗知らずの在宅勤務を実現してください。