ITトレンドがおすすめする製品・サービス
- ■拡張方法別
- ■連携・機能範囲別
- MAやSFAなどの外部サービスと連携できる:Sansan
- CRMとSFAの機能をあわせ持つ:Pro Suite、Microsoft Dynamics 365 Sales、GENIEE SFA/CRM
- 社内の業務ツールと連携できる:Microsoft Dynamics 365 Sales、GENIEE SFA/CRM、mondaysalesCRM
CRMの内製とは?3つの意味を整理
CRMとは、顧客情報や商談、問い合わせの履歴を一元管理し、顧客との関係づくりに活かす仕組みです。「CRMの内製」という言葉は、使う人によって指す範囲が異なります。議論がかみ合うよう、まず3つの意味を整理しておきましょう。
スクラッチでCRMを自社開発する
1つ目は、要件定義から設計、開発、運用までを自社で行い、CRMをゼロから作る方法です。スクラッチ開発とも呼ばれ、画面や機能を自社の業務に細かくあわせられる点が特徴です。
ただし、顧客データベースや権限管理、検索、集計、外部連携といった基本機能も一から作る必要があります。開発期間が長くなりやすく、稼働後も改修や不具合対応を続ける体制が求められます。社内にエンジニアを抱える企業や、CRMを自社サービスの一部として組み込みたい企業が検討する方法です。
ノーコード・ローコードでCRMを構築する
2つ目は、ノーコード・ローコードツールを使って社内でCRMを組み立てる方法です。ノーコードはプログラミングなしで、ローコードは少ないプログラミングでアプリを作れる開発手法を指します。
顧客台帳や商談管理など、必要な画面から小さく作り始められる点が利点です。一方で、ツールの仕様の範囲でしか作れない、作る人によって設計の品質がばらつくといった課題もあります。誰がどのアプリを管理するのかを決めずに増やすと、管理が行き届かなくなる場合があります。
製品を導入して運用を社内で担う
3つ目は、CRM製品を導入し、項目の設定や画面の調整、レポート作成、データ活用を社内の担当者が担う「運用の内製化」です。システムそのものは作らず、使いこなす力を社内に蓄える考え方です。
導入や設定を外部に任せきりにすると、項目を1つ追加するだけでも依頼が必要になり、変化への対応が遅れることがあります。運用を内製化すれば、営業やマーケティングの現場の要望をすばやく反映できます。この記事では、この3つ目も含めて内製の選択肢として扱います。
CRMの内製と製品導入を比べる5つの観点
CRMを自社開発するか製品を導入するかは、初期費用だけでは判断できません。ここでは費用、期間、差別化、保守体制、セキュリティの5つの観点で比べます。比較の結果を先に表で示し、そのあと観点ごとに解説します。
| 観点 | 自社開発 | 製品導入 |
|---|---|---|
| 費用 | 初期の開発費と、稼働後の保守人件費がかかる | 利用料が継続してかかるが、開発費は抑えられる |
| 期間 | 要件定義から開発まで時間がかかる | 設定とデータ移行が中心で、比較的早く使い始められる |
| 差別化 | 独自の顧客接点や業務をそのまま反映できる | 標準機能が中心で、独自性は設定や拡張で補う |
| 保守体制 | 改修や不具合対応を自社で続ける必要がある | 機能の更新や不具合対応はベンダーが担う |
| セキュリティ | 認証や権限、脆弱性対策を自社で設計し維持する | ベンダーの対策内容を確認し、自社の基準を満たすか判断する |
費用と期間
自社開発は製品の利用料がかからない一方で、開発時の人件費と稼働後の保守費用、サーバなどの運用費用が発生します。製品導入は利用料が続きますが、基本機能を作る費用はかかりません。比較する際は、5年程度の期間で人件費まで含めた総額を試算することが大切です。
期間の面では、自社開発は要件定義から設計、開発、テストまでを経るため、使い始めるまでに時間がかかります。製品導入は設定とデータ移行が中心となるため、営業活動への効果を早く確かめたい場合に向いています。
差別化と保守体制
自社開発の強みは、独自の顧客対応の流れや評価の仕組みを、そのままシステムに反映できる点です。顧客との接点が競争力の源泉になっている企業にとっては、製品の標準機能では表現しにくい部分を作り込める利点があります。
その反面、改修や不具合対応、サーバやライブラリの更新を自社で担い続ける必要があります。担当者の異動や退職で保守が止まるおそれもあるため、複数人で仕組みを把握できる体制と、設計書を残すルールが欠かせません。
セキュリティと個人情報の管理
CRMは氏名や連絡先などの個人情報を扱うため、セキュリティ対策は避けて通れません。自社開発では、ログイン認証やアクセス権限、通信の暗号化、操作ログ、脆弱性への対応を自社で設計し、維持する必要があります。
製品導入の場合も、すべてを任せられるわけではありません。ベンダーが公開しているセキュリティ対策や認証の取得状況を確認し、自社の基準を満たすかを判断しましょう。権限設定やパスワードの管理など、利用者側で行う対策も残ります。
CRMを内製したほうがよいケース
CRMの内製は、すべての企業に向くわけではありません。一方で、条件がそろえば製品導入より成果を出しやすい場合もあります。ここでは内製が向くケースと、内製を避けたほうがよいケースを具体的に示します。
顧客接点が自社サービスと一体になっている場合
自社のWebサービスやアプリの利用データと顧客情報が密接に結びついている場合は、内製が選択肢となります。例えば、サービスの利用状況にあわせて営業やサポートの対応を変えたい場合、製品の標準機能では連携の自由度が足りないことがあります。
このような企業では、サービス開発のエンジニアがすでに社内にいる場合があります。既存の開発体制を活かせるなら、CRMの機能を自社サービスの延長として作る判断も合理的です。
内製を避けたほうがよい場合
内製を避けたほうがよいのは、顧客管理や商談管理の流れが標準的で、社内に開発や保守の担当者がいない場合です。この条件では、自社開発しても製品との違いが小さく、保守の負担だけが残るおそれがあります。
また、早く営業活動の見える化を進めたい場合も、製品導入のほうが向いています。まず製品でCRMの運用を定着させ、足りない部分が明確になってから拡張や一部の内製を検討する順番でも遅くはありません。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でCRMの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品の比較検討を進めましょう。
CRMを内製する場合の手順
内製を選ぶ場合は、作ること自体が目的にならないよう、目的と運用を先に固めることが重要です。開発の手順よりも、何を管理し、誰がどう使うかの設計が成果を左右します。ここでは内製を進める際の流れを紹介します。
目的と評価指標を決める
最初に、CRMで何を改善したいのかを決めます。商談の取りこぼしを減らしたいのか、既存顧客の継続率を上げたいのかによって、管理すべき項目や必要な画面が変わるためです。
目的が決まったら、商談化率や継続率など、効果を確かめる評価指標を設定します。指標がないまま開発を進めると、機能が増えるだけで成果が見えなくなる場合があります。経営層や営業部門と指標を共有し、合意を得てから設計に進みましょう。
最小限の機能から作る
設計の段階では、すべての要望を最初から盛り込まないことが大切です。顧客台帳と商談の記録など、目的に直結する最小限の機能から作り、現場で使ってもらいながら改善します。
小さく始めることで、入力項目が多すぎる、画面の流れが業務にあわないといった問題を早く見つけられます。最初の範囲で効果が見えたら、メール配信や分析など周辺の機能を段階的に加えていく進め方が有効です。
データ品質と運用ルールを整える
CRMの価値は、入力されるデータの質に左右されます。会社名の表記ゆれや重複登録があると、集計や分析の結果が正しく出ません。入力ルールを決め、重複を確認する仕組みを用意しておきましょう。
あわせて、誰がいつ入力するのか、更新されていない情報を誰が確認するのかといった運用ルールも明文化します。名刺や問い合わせなど、入力元ごとに担当を決めておくと、データの抜けや遅れを防ぎやすくなります。
製品導入と運用の内製化を両立する方法
自社開発の負担は避けたいものの、外部任せにもしたくない場合は、製品を導入して運用を内製化する方法があります。製品の拡張機能やAPIを活用すれば、標準機能にない部分も社内で補えます。
設定や拡張を社内で担う
CRM製品のなかには、管理画面から項目や画面、レポートを追加できるものや、ノーコードで業務アプリを作れるものがあります。こうした機能を使えば、現場の要望を社内の担当者がすばやく反映できます。
運用を内製化する際は、設定を変更できる担当者を複数人にし、変更内容を記録するルールを決めておきましょう。担当者が1人だけだと、その人が不在のときに対応が止まります。ベンダーの研修や操作マニュアルを活用し、社内で知識を共有することも大切です。
APIでデータ活用を広げる
APIとは、システム同士がデータをやり取りするための窓口です。CRM製品がAPIを公開していれば、自社サービスの利用データやMAツール、SFA、基幹システムのデータとつなぎ、分析や施策に活かせます。
連携部分だけを内製すれば、CRM本体の保守はベンダーに任せつつ、自社独自のデータ活用を実現できます。製品を比較する際は、APIの公開範囲や利用回数の上限、連携が失敗したときの通知方法を確認しましょう。
運用を内製化しやすいCRMの比較表
製品を導入したうえで設定や拡張を社内で担いたい場合に候補となるCRMを、拡張性と連携の観点で一覧にしました。
| 製品名 | 特徴 |
|---|---|
| キントーン | ノーコード・ローコードで顧客管理アプリを作成でき、プラグインや連携サービスも組み合わせられる |
| JUST.DB | プログラミングの知識がなくても業務システムを構築できるノーコードのクラウドデータベース |
| FlexCRM | ノンプログラミングで独自システムを構築でき、外部システムと連携するインターフェイスも用意 |
| Pro Suite | セールス・サービス・メール配信を1つに集約し、事業の成長に応じて拡張できるCRM |
| Microsoft Dynamics 365 Sales | 顧客・営業情報を一元管理するCRM/SFA。Microsoft 365との連携で二重入力を減らせる |
| GENIEE SFA/CRM | 商談記録をAIがSFA/CRMの各項目へ記録し、SlackやGoogleなどの外部ツールと標準連携する |
| Sansan | 名刺のスキャンで顧客データベースを構築し、SFAやMAなど外部サービスとの連携にも対応 |
| ZohoCRM | ノーコード/ローコードでデザインや業務フローを自由に構築できるCRM |
| SugerCRM | 顧客情報や商談、サポート履歴を一元管理し、ノーコードで業務にあわせたカスタマイズが可能 |
| mondaysalesCRM | ノーコードで案件ステージを編集でき、Gmail・Outlookとの連携にも対応するクラウド型CRM |
社内で拡張・連携を担えるCRM
スクラッチ開発ではなく、製品の設定や拡張、他システムとの連携を社内で進めたい企業に向くCRMを紹介します。
キントーン
- 自社の業務にフィットする「顧客管理」アプリをつくれる
- ノウハウ活用で商談力を強化
- プラグイン・連携サービスを組み合わせて業務がより効率的に
サイボウズ株式会社が提供する「キントーン」は、AIとノーコード・ローコードで業務アプリを作れる業務改善プラットフォームです。自社の業務にフィットする顧客管理アプリを社内で作成でき、項目や画面を自分たちで調整しながら運用できます。プラグインや連携サービスを組み合わせて機能を広げられるため、CRMの運用を社内で育てていきたい企業に適しています。
JUST.DB
- 【完全ノーコード×生成AI】マウス操作と"ことば"でシステム開発
- 【多彩な標準機能】高い拡張性により、全社DXをJUST.DB1つで実現
- 【同時ログインライセンス】全社展開してもコストを抑制
株式会社ジャストシステムが提供する「JUST.DB」は、ノーコードのクラウドデータベースです。プログラミングの知識やスキルがなくても、マウス操作と生成AIへの指示で業務システムを構築できます。多彩な標準機能と拡張性を備え、顧客管理を起点にほかの業務へ広げることも可能です。同時ログインライセンスのため、全社に展開する場合のコストも考慮されています。
FlexCRM
- 見やすい画面と直感的な操作性で簡単に使える
- 外部システムと連携できる各種インターフェイスを用意
- ノンプログラミングで利用でき独自システムの構築も可能
株式会社G.FLEXが提供する「FlexCRM」は、プロセス管理や顧客管理、グループウェア、ワークフローなどの業務改善を支えるクラウドサービスです。ノンプログラミングで利用でき、独自システムの構築も可能です。外部システムと連携できる各種インターフェイスを用意しているため、既存の社内システムとデータをつなぎながらCRMを運用したい場合に検討できます。
Pro Suite
- セールス・サービス・メール配信を1つに集約
- 統合された顧客データでビジネスの成長を実現
- 少数精鋭の成長企業が求める今すぐ役立つ機能
株式会社セールスフォース・ジャパンが提供する「Pro Suite」は、成長企業向けのオールインワンCRMです。セールス・サービス・メール配信を1つに集約し、統合された顧客データを営業やサポートで活用できます。ビジネスの成長に応じて柔軟に拡張できるため、まずは標準機能で始め、運用が定着してから社内で機能を広げていく進め方と相性がよい製品です。
Microsoft Dynamics 365 Sales
- Microsoft 365連携で二重入力を解消し、業務を効率化
- データの一元管理と可視化でデータドリブン経営を促進
- Microsoft Copilotが営業プロセスを最適化し、成果を加速
パナソニック デジタル株式会社が提供する「Microsoft Dynamics 365 Sales」は、中小から大企業に対応したクラウド型CRM/SFAです。顧客・営業情報を一元管理して可視化し、AI分析で営業活動を支援します。Microsoft 365との連携で二重入力を解消できる点やモバイル対応も特徴です。社内でMicrosoft 365を使っており、既存の業務ツールとCRMを地続きで運用したい企業に向いています。
GENIEE SFA/CRM
- AIが商談・名刺情報をSFA/CRMに自動記録し報告負担を軽減
- SFAに自動記録し報告負担を軽減
- SlackやGoogleなどの外部ツールと標準連携
株式会社ジーニーが提供する「GENIEE SFA/CRM」は、AIを搭載した国産のSFA/CRMです。商談記録から受注予定日や金額、ネクストアクションなどの項目へAIが自動で記録し、手入力の工数を軽減します。SlackやGoogleなどの外部ツールと標準で連携できるため、社内で使っているツールとCRMのデータをつなぎたい場合に候補となります。
Sansan
- 名刺をスキャンするだけ。精度99.9%で正確な顧客DBを構築
- SFAやMAなど、多種多様な外部サービスと連携できる拡張性の高さ
- 数名規模の中小企業から大手企業まで幅広く1万社の利用実績
Sansan株式会社が提供する「Sansan」は、名刺を起点に顧客データベースを構築するサービスです。名刺をスキャンするだけで顧客情報をデータ化し、常に最新の状態に保つ仕組みを備えています。SFAやMAなど多種多様な外部サービスと連携できる拡張性があり、自社で構築した顧客データベースに名刺情報を取り込みたい場合の選択肢として検討できます。
ZohoCRM (ゾーホージャパン株式会社)
- 月額1,680円から利用でき、大手CRM/SFAより最大80%コスト削減。
- ノーコード/ローコードでデザインや業務フローを自由に構築。
- 国内DC、高セキュリティ対策。
SugerCRM (SugarCRM Inc.)
- 月額19USDからで小規模組織も導入しやすい。
- ノーコードでカスタマイズ、業務に即した構成が可能。
- 38以上の言語に対応し、日本語サポートが整備されている。
mondaysalesCRM (monday.com株式会社)
- ノーコードで案件ステージ編集や複数パイプライン管理が可能。
- Gmail/Outlookと連携しメール追跡やテンプレート利用が可能。
- リード獲得から成約、パイプラインを可視化。
まとめ
CRMの内製は、顧客接点が自社サービスと一体で、開発と保守を続けられる体制がある場合に選択肢となります。そうでない場合は、製品を導入し、設定や拡張、API連携を社内で担う運用の内製化が現実的です。費用や期間、差別化、保守体制、セキュリティの5つの観点で比べ、自社にあう形を選びましょう。拡張性や連携先は製品ごとに異なるため、資料請求で比較してみてください。

