紙の文書管理を効率化する方法
文書管理ができていないと、必要な書類を探すのに時間がかかり、業務効率が低下します。では、どのようにすれば効率化できるのでしょうか。
文書の廃棄ルールを設定する
書類は何も対処しなければ増える一方です。「いつか使うかもしれない」と、処分が後回しになりがちです。不要な書類を処分するには明確なルールを設定しましょう。
ルールを設定する際、利用頻度が基準になります。例えば、1年に数回見る資料は保管すべきですが、2年以上使っていない書類の利用価値は低いため処分しても問題ないでしょう。一定期間の利用頻度を基準に、書類を処分するか決定しましょう。
利用頻度が不明瞭である場合は「処分しても再度入手できるか」が基準になります。
そのほか、毎年作成する書類は「玉突き方式」で管理するのがおすすめです。玉突き方式とは、古い書類から順に処分する方法です。例えば「新しいもの」から「古いもの」の順に並べて、年度ごとに書類の保管場所を決めます。年度が変わり保管場所に該当しない古い書類は処分もしくは書庫へ移動するなどして「玉突き方式」で移し替えながら管理します。
「一時保管スペース」を設ける
書類はルールを決めて分類し保管するのが基本です。しかしルールに該当しないケースも出てきます。例えば、未処理である請求書の保管場所が決まっていないケースです。処理が完了するまでデスクやプリンターの上に置きっぱなしになり、紛失する可能性もあります。
このような場合、ルール外の書類を一時的に保管する「その他の書類ケース」を作ります。一時保管スペースには複数種類の書類が混在しますが、書類が紛失する心配はありません。書類を探すときは一時保管スペースを確認するだけで済むため、業務の効率化が図れます。
また、ルールに該当する書類でも、人手不足のため即座に整理できないケースもあります。この場合は、分類する前の書類を案件ごとにフォルダに入れ、「仕掛りボックス」にまとめる方法がおすすめです。仕掛りボックスを見れば対応中の案件が誰でもわかり、担当者以外も対応できます。仕掛りが終わった後に「要・不要」を判断し、書類を整理します。
ファイリングを工夫する
紙文書を効率的に管理するうえで「ファイリング」は必要不可欠な作業です。なお、ファイリングは次の3種類に分けられます。
- ■バーチカル(垂直)ファイリング
- クリアファイルやファイリングフォルダを使って共通性のある文書をまとめ、キャビネットの引き出しやファイルボックスに立てて管理する方法。
- ■バインダー(簿冊)ファイリング
- バインダーなどの厚めのファイルに書類をとじ、棚式キャビネットに保管する方法。背表紙にはタイトルや見出しを記載する。
- ■ボックスファイリング
- クリアファイルやファイリングフォルダを使って種類ごとにわけた書類をファイルボックスで保管する方法。
「バーチカル(垂直)ファイリング」と「ボックスファイリング」はファイルにとじないため、取り出しやすい点がメリットです。一方で、紛失しやすいというデメリットが挙げられます。
「バインダー(簿冊)ファイリング」はファイル背表紙にタイトルを付けて書類をまとめて保管できるため、検索性が高く紛失のリスクも低い点がメリットです。一方、ファイリングに手間がかかり、場所をとるというデメリットが挙げられるでしょう。
以下の記事では、文書管理を効率的に行うための文書の分類方法を解説しています。一読するだけで、ドキュメント管理のコツが学べます。
紙の文書管理における課題
工夫次第で紙の文書管理は効率化できますが、書類の量が多ければいずれ限界がくるでしょう。ここでは、紙の文書管理にどのような課題があるのか紹介します。
社内文書の私物化
紙の文書管理では、社内文書の私物化が起きやすいでしょう。社内文書の私物化とは、社員個人が書類を管理して情報が共有されていない状態を指します。
社内文書を私物化してしまう背景には、個人のデスクやロッカーで書類を保管したほうが書類を探しやすくスムーズである、と勘違いしている点が挙げられるでしょう。実際は、共有化している文書のほうが検索時間は短い傾向にあります。私物化している書類は本人にしか保管場所がわからず、紛失のおそれもあるのです。さらにセキュリティの観点からも問題になるでしょう。
テレワークへの弊害
働き方の多様化が進む中で、紙ベースの書類に対して「職場に行かないと閲覧できない」「オンラインでの共有ができない」という課題を抱える声が上がっていました。特に紙文書が必要な業務においては、社員が個人デスク内に書類を保管していたり、施錠された倉庫内に文書が保管されていたりと、文書データが共有されていない状況下で、テレワークがスムーズに行えない課題に直面した企業も多いようです。
文書の電子化とは
紙の文書管理における課題を解決するには、文書を電子化するとよいでしょう。文書の電子化とは、紙文書をPDFなどの電子データに変換して管理することです。
紙文書はスキャンするだけで簡単に電子化できます。特殊なツールを導入しなくても、社内に複合機があればスキャンできるでしょう。もしスキャンする人材が乏しく、電子化の対象となる文書量が膨大なときは、文書電子化システムの導入や電子化を請け負う委託サービスを検討してください。
電子化された文書は社内ネットワーク上に保管され、企業全体で共有可能です。そのため、事前にファイル名の付け方や保管する場所、フォルダの分類基準など、文書管理のルールを決めて統一してください。
法人税法や会社法・商法・証券取引法などで保管が義務付けられている帳簿・請求書・領収書などの書類は、紙の資料として保存することが義務付けられていました。また、電子帳簿保存法により、国税関係書類は電子化し保存することが義務化されています。電子帳簿保存法においては、紙ベースでの保管が原則不可とされているため注意してください。
参考:電子帳簿等保存制度特設サイト|国税庁
以下の記事では、書類の電子化に係る法律や保管方法について解説しています。
文書を電子化するメリット
なぜ、文書の電子化によって、紙の文書管理における課題を解決できるのでしょうか。ここでは、文書を電子化する主なメリットを紹介します。
省スペースになる
紙の書類を管理するには、保管スペースを確保しなければなりません。保管スペースを借りる場合はレンタル料が必要となり、書類の量が多いほどレンタル料がかさみます。
書類を電子化すればサーバやクラウド環境に保管され、省スペースを実現できます。書類を保管するのに使っているスペースがなくなれば、ほかの目的で有効活用できるでしょう。新しい設備を導入して、業務効率化を図ることも可能です。
書類を探しやすくなる
紙の書類は、検索に時間がかかります。対して、電子化された書類はサーバやクラウド環境に保管されるため、条件を指定するだけで瞬時に検索できます。書類を保管場所から見つけ出し閲覧するまでにかかる時間で比較すると、紙と電子化された書類では大きな差になるでしょう。
なお、クラウド環境に書類を保管すると、ネット環境があれば外出先でも必要な書類を検索できます。
書類の紛失を防げる
書類の原本が紙である場合、適切に文書管理しないと紛失や持ち出しのリスクが高まります。さらに、誤って処分してしまったり、時間の経過とともに劣化したりする可能性も考えられるでしょう。
文書を電子化して保存しておけば、バックアップを取り、誤って削除できないようにロックをかけられます。クラウド環境に保管していれば、たとえ火災が発生したとしても書類の消失リスクを削減できます。
文書管理の効率化にはシステムの導入がおすすめ
文書管理をより効率的に実施するためには、文書管理システムの導入がおすすめです。業務効率化はもちろん、セキュリティリスクの軽減も期待できます。ここでは、文書管理システムの導入メリットや注意点を紹介します。
システム導入によるメリット
文書管理システムを導入することで期待できるのは、以下4つのメリットです。
- ・不正持ち出しなどのセキュリティリスク軽減
- ・システム内で共有・編集できることによる効率化
- ・ワークフロー機能による作業の簡略化
- ・文書管理におけるサイクルの簡略化
人的リソースを節約しつつ、かつ既存業務の効率化につながるため、文書管理における課題を抱えている企業は文書管理システムの導入を検討してください。
システム導入に関する注意点
文書管理システムを導入する際は、まず自社での活用ルールや設計を事前にすりあわせておきましょう。どのように活用するかを明確にせず設計していては、かえって夫妻になりかねません。管理すべき文書を事前に分類し、全社で共有しやすい状態にしておくことも大切です。
また、文書管理システムを導入するということはもちろん、導入後の成果などを予測したうえで上司・部下と連携をとることも大切です。システムを導入したにもかかわらず、扱いきれなければ意味がありません。文書管理システムを全社で活用できるよう、情報共有はしっかりしておきましょう。
ペーパーレス化で業務効率化を改善しよう!
紙文書の管理は業務効率やセキュリティの観点からも多くの課題を抱えています。そのため書類管理を効率化するためにも紙書類の電子化がおすすめです。なかでも文書管理システムは社内で共有が必要な文書をデジタル化し、文書の作成から保管・活用・保存、そして破棄までの管理が行えます。以下の記事では文書管理システムの機能や選び方を解説し、タイプ別の製品を比較して紹介しています。ぜひペーパーレス化実現に向けて、お役立てください。