
EDIの歴史
EDIはどのような歴史をたどって、現在に至るのでしょうか。
1970年代:EDIの勃興
EDIは、1970年代の欧米や日本で勃興しました。
日本では、大企業が自社の受発注業務を効率化させるために専用EDIを導入したのが始まりです。しかし、専用EDIでは端末の管理コストが増大したため、「業界標準EDI」の制定が進められました。
アメリカでは、1970年代初頭から標準化研究が始まり、1975年にはアメリカ運輸協会(TAA)が「可変長TDCC」を制定。その後もANSIにて変更が加えられ、1983年には現在の標準規格である「ASC X.12」が制定されました。
イギリスでは、1974年にSITPROが、国連欧州経済協力機構に標準化研究の提案をしたのが始まりです。
1980年代:標準化に向けたルール整備
1980年代からは、流通・銀行業界や製造業界で、EDIの標準化に向けたルール整備が進められました。
流通・銀行業界では、1980年に日本チェーンストア協会が「JCA手順」を、1983年に全国銀行協会連合会が「全銀協手順」を制定しました。日本政府もこれに追随し、1984年に「ビジネスプロトコルの標準化」を提言。これにより1985年に「情報処理の促進に関する法律」が改正され、「電子計算機の連携利用に関する指針(連携指針)」が創設されました。
製造業では、電子機器業界と日本情報処理開発協会が、「EIAJ-EDI 標準」を制定しました。
世界では1981年に生まれたイギリスのTDIシンタッククスルールをベースとし、米欧協力のもと現在の国際標準である「UN/EDIFACT」が制定されました。米欧はもともと別々に活動していましたが、1980年代からは相互協力して標準化を進めています。
1990年代~:Web-EDIの登場
1991年には、「EIAJ-EDI 標準」が日本情報処理開発協会によって拡張され、国内におけるEDI標準となりました。インターネットが普及しはじめ、TCP/IPプロトコルを取り入れる動きが広がったのもこの頃からです。
その結果、1997年には全銀協により「全銀 TCP/IP 手順」が制定されました。この動きは全産業に広がり、「全銀 TCP/IP 手順」の制定から2か月後に「拡張Z手順」が発表されています。この流れから生まれたのが、インターネット回線を用いた「Web-EDI」です。
基本的にWeb-EDIは、発注企業が独自の仕様で構築するシステムを、受注側がブラウザを用いて遠隔操作する仕組みです。そのため複数の取引先がある受注企業では、発注企業ごとにEDIの管理画面を変更する必要がありました。これは多画面現象と呼ばれ、管理の煩雑化やミスを生じさせる原因となりました。
ITトレンドでは、最新のEDIシステムについて比較し紹介しています。EDIシステムをお探しの方や、直近の人気システムを知りたい方は以下の記事も参考にしてください。
EDIの現状
EDIに影響を与える大きな流れとして、「2024年問題」があります。これは固定電話回線を、2024年から順次インターネット回線に切り替える動きです。これにより固定電話回線を使用したEDIは、2024年以降利用できなくなります。
「2024年問題」で影響を受けるのは、加入電話とINSネットで通信しているEDIです。該当の製品を利用している企業は、今から対応する必要があります。
「2024年問題」については以下の記事でも詳しく紹介しています。
EDIの今後
EDIは、今後グローバル化やXMLへの対応が予想されます。
しかし実際、海外企業とEDIでデータ交換している企業は少なく、ほとんどが海外の現地法人と社内ネットワークを介して情報共有しています。国ごとに商習慣も異なるため、EDIのグローバル化にはまだまだ時間がかかるというのが現状です。グローバル化を図るには、まず英語対応のEDIを導入して、部分的にデータ交換していくことになるでしょう。
またWeb-EDIは、多画面現象によるデメリットを解消するために、画面操作とデータを分離できるXML/WebEDIが普及していくと考えられます。しかし超えるべき技術的ハードルも多く、簡単には進まないかもしれません。
ただ、XML/WebEDIは新しいEDIサービスのほぼすべてに実装されています。よって現在対応していない企業も、今後必然的に乗り換えを検討することになるでしょう。
EDIの歴史を知り、時代の変化に合わせた製品を導入!
EDIの歴史は、以下の通りです。
- 1970年代
- EDIの勃興
- 1980年代
- 標準化に向けたルール整備
- 1990年代
- Web-EDIの登場
今後は固定回線を利用した製品は使えなくなり、Web-EDIが主流になります。中でも多画面現象を解決できる「XML/WebEDI」は、さまざまな業界に普及するでしょう。また、EDIのグローバル化は部分的に始めるのがおすすめです。
EDIの歴史を知り、時代の変化に合わせた製品を導入しましょう。
