ERPによる全体最適化とは
ERPによる全体最適化とは、会社全体を1つの基幹システムに統合し、各部門の業務はシステムに合わせることを目指します。
ERP導入のメリットは、以下のとおりです。
- ■業務の効率性や生産性を向上できる
- ■経営における意思決定を迅速化できる
- ■内部統制を強化できる
メリットを以下で詳しく解説します。

ERPによる全体最適化のメリット
ERPによる全体最適化により業務の効率化や意思決定の迅速化、内部統制の強化などのメリットが得られます。
業務の効率化・生産性の向上
ERPによって全体最適化をすることで、効率化できる業務は多いです。
たとえば決算期には、各部門からさまざまなデータを取り寄せなければなりません。集計後もデータの整合性を確認するための手間と労力がかかります。
ERPで全体最適化を行えば、情報の一元管理とデータ連携が可能になり、集計・分析業務が効率化されます。さらに、浮いた労働分を他業務に集中することで、生産性の向上も期待できるでしょう。
経営における意思決定の迅速化
ERPの全体最適化により、経営状況や各種データが可視化され、経営者の意思決定も高速化します。資産・売上・利益・販売など、経営に必要な情報をリアルタイムで取得・分析することが可能になるからです。
データ連携をすると、データを収集・加工し、Excelの表やグラフに集約するような作業がなくなります。
分析機能を備えたERPを使えば、直感的なグラフやメーターが表示され、それを経営者が自ら操作し、必要なら掘り下げて調査することも可能です。これにより、欲しい情報を迅速に入手できるようになります。
内部統制の強化
従来は各システムが分断されており、内部統制を強化するのが困難でした。ERPで全体最適化を行えば、システムの稼働状況が透明化し、内部統制を強化できます。
さらに、システムへのアクセス状況をすべてログに記録し、悪意を持ったデータ改ざんの余地を排除できるので、社内不正の防止に効果的です。
昨今コンプライアンスの遵守は、社会的信頼を保つのに不可欠です。いったん不正を働くと、信用のない企業というレッテルを貼られます。信頼性が低下すれば、利益が減り、既存顧客も減少するでしょう。このようなコンプライアンス関連の問題にも、ERPは大きな効果を発揮します。
中には国際会計基準に対応している製品もあり、海外子会社を持つ企業にはおすすめです。
ERPによる全体最適化を行う際の注意点
ERPを使って全体最適化を行うには、どのようなことに気を付ければよいのでしょうか。
セキュリティを強化する
クラウド型かオンプレミス型のERPを使いますが、いずれにしてもセキュリティの強化が不可欠です。
クラウド型は、企業側がセキュリティを構築する必要はありません。外部サーバーを使用するため、災害時のシステム障害にも柔軟に対応できます。ただし、バージョンアップやセキュリティレベルはベンダー任せになることが多いので、ベンダー選定が重要です。自社でデータを保管したい企業には向きません。
オンプレミス型は、自社サーバーを用いるため、独自のセキュリティを構築できます。汎用性がありカスタマイズ性も高いですが、その分セキュリティに関する知識も必要です。バージョンアップ時には、ソフトウェアの更新を自分で行わなければなりません。災害時の対応策を、あらためて立案する必要もあります。
どちらを利用するにしても、セキュリティ対策だけは忘れないようにしましょう。
社員や部門の理解が不可欠
全体最適化を狙うと、現場の業務プロセスでは、慣れ親しんだ手順が否定され、ERPに適した業務手順へ転換が求められます。
現場の理解が得られないと、ERP運用の基本であるデータ入力も正確に行えません。ERPは、正確なデータがあって初めて効果的なので、社員や部門の理解を得たうえで運用しましょう。
社員や関係部門に理解してもらい適切に管理するには、ERPの目的やメリットを全部署に周知させることが大切です。
また、経営側と部署間の連携を強めることも大切です。全体を最適化する際は、コミュニケーションを増やして、経営者から実務担当者まで巻き込んで、誰もが利用しやすいシステムを目指しましょう。
これらはベンダーにすべて任せるのではなく、企業側が主導して実施することが大切です。
ERPを使って全体最適化し、生産性向上を目指そう!
全体最適化ができると、一つの目的に沿って個別の要素の動きが最適化され、かつそれらが連動します。
全体最適化には、現場の協力が不可欠です。現場を巻き込んで推進しましょう。
