マーケティングにおいてのCRMの位置づけ
ITの飛躍的な発展に伴って、企業活動に重要なマーケティングにおいても様々なITのシステムが導入されています。マーケティングに用いられるツールは主に3つ。まず、見込み顧客を抽出するMA(Marketing Automaton)、次に商談管理や受注管理に役立つSFA(Sales Force Automatio)、そして顧客生涯価値の最大化を図るCRM(Customer Relationship Management)があげられます。
マーケティングの過程においてもMA、SFA、CRMの順で使われます。以下に、マーケティングの流れに沿って説明していきます。
MA(マーケティング・オートメーション)
MAは、見込み顧客の獲得を自動化してくれるシステムです。企業が新規顧客を獲得するための手段としては、展示会への出展やセミナー開催、自社のWebからの問い合わせ、SNS、DMなどがありえます。この段階では、MAツールのような見込み度合いの高い顧客を発掘できるシステムを使うことで効果的な施策が実施できます。次にある程度見込み顧客を抽出できたら、顧客との接点のフェーズに入ります。ここからはSFAが主に活躍してくれます。
SFA(営業支援システム)
SFAは見込み顧客を顧客にするために行う「営業」を支援するシステムです。特定顧客との商談日程を通知してくれたり、営業先で得た情報を入力し、一覧表示することで営業業務を効率化し、成約率のアップにも貢献します。
一方で、こうした施策を通じて、「一番売り上げに貢献している顧客は誰か」「優良顧客を獲得できているか」といった獲得した顧客の評価を正確に把握したり、認識できてたりしている企業は多くないのが現状です。顧客の獲得件数だけをもとに顧客評価を判断していることが少なくないためです。その結果、誤った判断でムダな投資をしてしまっている可能性もあります。
CRM(顧客関係管理システム)
ここで登場するのがCRMです。CRMは既存顧客との関係を良好なものにするためのシステムです。CRMを活用すれば、どのマーケティング施策の効果が分かるようになります。例えば、新規顧客が受注につながった場合、顧客がどういった接点で情報を入手し、その後どういった活動を行って受注に至ったかが見える化されます。
また、CRMの情報を使って見込み客に対してきちんと営業活動が行われているのかも把握できます。マーケティングと営業の活動情報の橋渡し役にもなるので、SFAとCRMが一体になっているシステムも増えてきています。
CRMのその他のメリット
CRMをマーケティングに使うメリットは、他にもあります。それは情報のリアルタイム性です。変化の激しい今の市場では、顧客になる可能性のある見込み客の動き、既存顧客の動き両方をリアルタイムに把握していなければ売り上げの増加は見込めません。
CRMではリアルタイムに情報が入力され蓄積されていくため、最新の顧客情報をすぐに入手することが可能になります。そのデータを使えば、新たなマーケティング活動に生かすことができるのです。
このようにメリットの多いCRMですが、以下の記事では具体的な製品例を挙げながらその機能について詳しく解説していますので、CRMについてさらに知りたいという方は参照してみてください。
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CRMを活用したマーケティング事例
CRMをマーケティングに生かす具体的な方法にはどんなものがあるのでしょうか。ここでは「アドレサブル広告」「プライベートDMP」「メールマーケティング」「MAとの機能連携」を紹介していきまます。
CRMを使って対象を明確化し配信する「アドレサブル広告」
デジタル広告業界では、CRMとの連携が注目されています。CRMのデータと広告を連携させることによって、顧客に対しより訴求力の高い広告を配信することが可能になるからです。こうした中、注目されているのが「アドレサブル広告」です。
アドレサブル広告とは、企業が保有するCRMの顧客データを使って、よりユーザーを明確にして広告を配信する手法を指します。アドレサブルとは「アドレス(ターゲットを明確化)できる」という意味です。検索連動型広告,リターゲティング広告に続く新たな手法として注目を集めつつあり、「新規顧客獲得」と「既存顧客維持」の効果が見込めます。
新規顧客の獲得では、CRMにある既存顧客の購買データを基に優良顧客を定義してWeb上で同様の行動を取っている類似層やユーザーを見つけ出し広告を配信することで効率的な新規客の獲得につなげます。
一方、既存顧客の維持については、CRMにある顧客へのメッセージ配信経路として広告を活用することで、CRMで管理する自社の優良顧客や休眠顧客それぞれに合った最適な広告を配信し、優良顧客の囲い込みや休眠顧客の掘り起こしを行います。
精度の高い個別広告を配信するプライベートDMP
インターネット上の様々なサーバーに蓄積されるデータや自社サイトのログデータなどを一元管理・分析し広告配信などに生かす「DMP(データマネジメントプラットフォーム))」という仕組みがあります。このDMPにCRMのデータを使って広告を配信し、マーケティングに生かす取り組みがあります。
DMPには自社の持つデータが蓄積された「プライベートDMP」と第三者が集めたデータを利用する「パブリックDMP」があります。そして、CRMの活用は主にプライベートDMPで行います。
プライベートDMPは、自社Webサイトへのアクセスデータや購買履歴など、企業が内部で保有するデータと、外部データを組み合わせて運用します。このデータにCRMの顧客情報を活用するのです。その結果、より正しい顧客データを入手できることが可能になり、個人の指向に最適化した広告を配信するといったマーケティング施策を行うことができるようになります。
DMPとCRMの違いは以下の記事でも紹介しています。
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CRMのデータを生かしたメールマーケティング
「メールマーケティング」は、メールを配信して情報提供を行い、受信者との関係性を深めていくマーケティング手法の1つで、この機能をメイン機能として搭載しているCRMも多くあります。
CRMのデータを活用したメール配信では、住む地域や年齢などの属性でセグメントを分け、それぞれの興味分野に沿ったメールを送ることができます。その結果、興味・関心の高い情報が提供されるメールとして認識され、「開封率の向上」「Webサイトへの誘導」などの効果が期待できます。
CRMを活用したメールマーケティングについては以下の記事で特集しています。
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MAとの機能連携
先に紹介したように、「マーケティングオートメーション(MA)」とは、見込み顧客の獲得から営業部門に引き渡すまでのプロセスを、部分的に自動化し効率化するシステムのことです。新規顧客獲得に力を入れたい場合に、効果が見込めるツールです。
MAとCRMを組み合わせることによって、自社の顧客となった後のデータまで一貫して見ることができるため、LTVも含めたマーケティング施策の効果測定が可能になります。CRMでLTVが最大化する顧客や条件を分析することによって、MAでアプローチするべき顧客をより詳細に設定できるのです。
CRMをマーケティングに活用して、売上の最大化を目指そう!
CRMは、マーケティングに不可欠なといってよいほど、戦略的なシステムです。One to Oneマーケティングの重要性が高まっている今、マーケティング担当が取り組むべき施策をサポートしてくれるでしょう。CRMさまざまなシステムと連携することで、マーケティングをより効果的に行っていきましょう。
もちろん、搭載している機能は製品によって違うため、資料請求するなどして一度比較検討し、自社に必要な機能を見極めてみることが重要です。