ERPパッケージとは?
ここでは、ERPパッケージがもつ役割を簡単にご説明します。
社内の主要業務を一元管理するツール
ERP(Enter Resource Planning)とは、社内にある経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を適切かつ効率的に分配し活用する計画を指します。
現代の日本経済においては、人手不足をはじめ経営資源にまつわる問題が少なくありません。そのため、ERPは企業運営に欠かせない仕組みの1つと言えます。なお近年では、ERPを実現するための「統合基幹システム」を「ERP」と表すこともあります。
国内市場はIaaSでの運用が拡大している
ERPツールについて、近年の国内市場ではlaaSでの運用が拡大傾向にあります。
矢野経済研究所によると、近年のERP市場は拡大しているものの、成長の伸びは減速傾向にあると指摘されています。これについては、2015年のマイナンバー制度施行がきっかけとなり、最初に爆発的に売れたことが原因の1つと見られています。
現在のERPパッケージ市場では、オンプレミス型が主流です。しかし売上の伸びから、アイ・ティ・アールの見解では、今後はIaaS型が主流になると予測されています。またグローバル化の影響から、IaaSとSaaSを組み合わせたクラウドERPの売上拡大も予測されています。
ERPパッケージの種類
ERPパッケージの種類をご紹介します。ERPパッケージは、大きく分けると3種類に分かれてきます。
完全統合型
完全統合型は、その名の通りすべての機能が統合されているパッケージになります。販売管理や生産管理、人事、予算管理などの基幹業務に対応しています。あらゆる情報を一元管理できるので、情報の共有や統合などに強みを持ちます。各事業部の連携を取り効率的な業務を進めるのにオススメなパッケージです。
コンポーネント型
コンポーネント型のERPパッケージは特定の部門や一部の部門へERPパッケージを導入できるシステムになっています。一部のみに導入できるという点から企業ごとの事情に合わせた導入が可能になっています。追加導入も可能なため、新たに必要になった場合も対応が可能なので、人気を集めています。
業務ソフト型
業務ソフト型は、特定業務に導入することができるERPパッケージです。会計や生産管理、人事、労務などの業務を効率化できます。
ERPパッケージが持っている機能
ここでは、ERPパッケージが持つ代表的な機能を3つに分けて解説します。
生産管理機能
- 在庫管理
- 製番管理
- 所要量計算
- 外注管理
- 製造工程
- 作業実績
- 原価計算
商品の製造にかかる生産計画を円滑に進めるための機能です。以上の作業の自動化を図れば、製品の品質やコストの健全化を進めることが可能です。また、クライアントとの信頼関係にも関わる納期短縮にも寄与します。
会計管理機能
- 財務管理(一般会計)
- 買掛・売掛金管理
- 手形管理
- 管理会計
- 財務会計
企業の売上をはじめとした計算を自動化する機能です。これらの情報は、税務申告の際に必要で、かつ株主に公開しなければならないため重要です。
会計管理機能を用いることによって計算ミスを無くすとともに、お金のムダを削減し財政健全化が図れます。またこれらの情報は、経営の意思決定をスムーズに進める役割も果たしてくれます。
販売管理機能
商品を受注してから販売するまでにかかる、商品の受注や売上などの情報を管理する機能です。この機能は、企業の販売形態によって必要な機能が異なるため、従来のスタイルを大きく逸脱しないものを選ぶとよいでしょう。
導入メリット
ここでは、ERPパッケージを導入するメリットを4つご紹介します。
社内情報を有効活用できる
ERPソフトに入力した情報は一括管理され、必要なときに呼び出すことが可能です。また、集めた情報の集計や加工などの作業も簡単に行えるようになります。これによって、現代の企業間競争には欠かせないビッグデータのリアルタイム分析が実現できます。
社内情報は大切な経営資源のひとつであるため、一括管理して効率的に活用しましょう。
業務効率が向上する
ERPを導入すると、一部の入力作業は自動化できるため、計算のヒューマンエラーをなくすことが可能です。正確な情報が手入力よりも早く入手できることから、余った時間を業務の効率化や生産性の向上に回すことが可能です。
経営戦略を素早く立てられる
ERPを導入すると、経営戦略を素早く立てられるようになります。
作業の進捗状況などの情報は、従来であれば部署間でやり取りしなければ手に入らないものでした。
ERPを導入すれば、各部署が持つ情報を一括管理できるため、現在の業務における問題点の特定が容易になります。これによって素早い対策が実現でき、業務の適正化や生産性のさらなる向上につなげられます。
また情報を一括管理することによって、企業の経営状況をリアルタイムに分析することも可能です。迅速な経営判断が必須な業界にとっては、非常に有用な機能だと言えるでしょう。
内部統制を行える
ERPによる業務の効率化機能は、企業の内部統制にも効果を発揮します。上場企業の内部統制は、日本では金融商品取引法(2007年)によって義務化されています。
内部統制とは、組織の業務の適正化を保持する体制を構築するルール・システムのことです。ERPを導入すれば、業務の有効性・効率性、各法令の遵守、資産の保全をはじめとした、企業の内部統制にかかわる情報を適正化できます。
ERPパッケージを選ぶポイントは?
ここでは、自社に適したERPパッケージを選ぶ際に見ておくべきポイントを3つに分けて解説します。
導入する目的を明確にする
ERPパッケージを選ぶ際には、「なぜERPを導入したいのか」を明確にしておきましょう。目的を固めておかないと、導入しても有効活用できない場合もあります。決して安い買い物ではないため、導入後のミスマッチを事前にできるだけ無くしておきましょう。
ERPパッケージ導入前に確認しておくべき事項の例として、「業務上の問題点」が挙げられます。これについては、「どのように解決したいのか」まで具体的に決めておくことが大切です。
オンプレミス型かクラウド型か選ぶ
ERPパッケージの提供形態は「オンプレミス型」と「クラウド型」の2つに分類されます。これについては、メリットとデメリットの比較はもちろん、システムUIの使いやすさなどを考慮した上で選びましょう。
オンプレミス型
自社のサーバにシステムを構築して利用します。
- 【メリット】
-
- 【デメリット】
-
クラウド型
インターネット上にあるシステムを利用します。
- 【メリット】
-
- 【デメリット】
-
- セキュリティがやや不安
- カスタマイズ性が乏しい
- オンライン環境必須
自社に必要な機能があるか確認する
ERPパッケージを選ぶ際は、自社に必要な機能がツールにすべて備わっているかを確認しておきましょう。
業務形態や内部のシステム、およびそれに付随する問題は企業によって異なります。企業が抱える問題を効率的に改善するためには、ERPにどのような機能が必要かを確認しておくことが大切です。
この点について、製品によっては無料のトライアルを設けているものもあります。気になるERPパッケージがお試しできる場合は積極的に利用し、搭載されている機能を比較して選ぶようにしましょう。
また製品によっては、カスタマイズやアドオンが別途用意されているものもあります。機能に不足があった場合に、機能を拡張できるか確認しておくのも大切です。
導入手順に関しては、下記の記事でも詳しくご紹介しておりますので、併せてご覧ください。
導入から運用までの注意点
ここでは、ERPパッケージを導入し実際に運用を開始するまでの期間で確認しておくべきポイントを2点解説します。
社内環境を整えなければならない
せっかくERPを導入したとしても、社員が機能を熟知し活用できなければ意味がありません。
そのため、ERPを導入する場合には事前に周知し、また当該社員がツールの効果を最大限に活用できるための環境を整えておく必要があります。ERPの運用を始める前に、ツールを操作することになる社員にはERPについての教育を受けさせましょう。
また経営陣が経営データをうまく使えなければ、ERP導入の効果が薄れてしまいます。ERPをベースにした経営にシフトしましょう。これらのステップを踏まえることで、ERPによる効率的な経営の実現につながります。
セキュリティ対策を万全に行わなければならない
導入前に、社内のセキュリティを確認し、不安要素があれば補強しておきましょう。ERPがサイバー攻撃を受けてしまうと、企業存続の危機にかかわる問題が生じてしまう可能性があるためです。
ERPには、企業の経営資源のひとつである「情報」が集積されています。そのため、ERPがサイバー攻撃によって異常をきたすと、情報漏洩などの危機に陥ってしまいます。そうならないためにもファイアウォールなどを設置し、万全のセキュリティを築き上げましょう。
自社に合ったERPを導入し業務を効率化しよう!
自社の経営資源を一元管理できるERPですが、効果を最大限発揮するためには、自社にあった製品を選ぶことが大切です。そのためには、ERPを導入する目的や解決したい問題を明確にしておくのが前提条件です。
また、導入前後には社内の周知を徹底することも忘れないようにしてください。ERPパッケージは、決して安い買い物ではありません。失敗しないためにも、最適な商品を妥協せずに選び、業務の効率化を目指しましょう。