中小企業における属人化の原因
中小企業で属人化が発生する主な原因は「人材不足による多忙」です。
現場の社員は日々のルーティンワークに追われ、ノウハウの継承に時間を割くほどの余裕がありません。ましてや属人化した業務は相応のスキル・経験がないとこなせないため、簡単に引継ぎができるものでもないのです。
現状、属人化した業務の担当者が病欠などによって一時的に離脱しても、何とか乗り越えられるケースが多いです。そのうえ、経営者も売り上げや利益があれば業務の属人化をそこまで問題視していません。しかし担当者が退職すると、属人化した業務に与える影響は大きく、最悪の場合ほかの業務と共倒れになる可能性があります。
人手不足の解消はもちろん、社員が工夫して培ったノウハウやスキルを組織の資産として継承していく取り組みが必要です。

中小企業における属人化の解消方法
属人化を防ぐ具体策としては、「マニュアル・教育の徹底」と「ナレッジマネジメントツールの活用」が有効です。では、どのような方法なのか見ていきましょう。
業務フローを見える化し、マニュアルを整備する
マニュアルを整備すると、スキルやノウハウの継承が効率的になります。まずは現状の業務を整理してください。部署内の業務フローを「見える化」し、どの工程が属人化しているか把握しましょう。
現状把握ができたら、属人化している業務のマニュアルを作成していきます。このとき、誰でも同じ結果を出せるように、手順・注意点など詳細までマニュアルに落とし込みます。ただ、最初から完璧なマニュアルを作る必要はありません。業務の引継ぎをする中で、ブラッシュアップしていくと良いでしょう。
ナレッジマネジメントツールを利用する
ナレッジマネジメントツールとは、各社員がもっている知識・ノウハウなどの「ナレッジ」を管理・共有するツールです。「ナレッジ」を共有できるツール全般を指し、社内SNSやオンラインストレージなどもナレッジマネジメントツールとして代用可能です。
業務に必要な情報や役立つ情報などを一元管理して全社員に共有でき、ナレッジの継承を効率化するには最適なツールといえるでしょう。ただし、企業の資産を管理するため、セキュリティ体制が万全なツールを選ぶ必要があります。
中小企業における属人化を解消するポイント
マニュアル作成やナレッジマネジメントツールの導入は、必ず上手くいくわけではありません。どのようなポイントを意識すれば上手くいくのか見ていきましょう。
社員全員が属人化に対して問題意識を持つ
属人化を解消するためには、全社員が問題意識を持たなければなりません。
たとえば、マネジメント層だけが属人化の解消を望んでいても、現場の協力がなければ実現できないからです。反対に、現場の社員だけが積極的であっても、マネジメント層の了承なしでマニュアル作成やナレッジマネジメントツールの導入は難しいでしょう。
属人化による影響を全社員が認識して、解消に取り組むことが大切です。マネジメント層が売上や利益などの数字しか見ておらず、属人化に対する問題意識が低いケースは多いため、注意すべきでしょう。
PDCAを実行する
属人化を解消する方策を実践してみても、定着せずしばらく経つと元通りになるケースも少なくありません。そうならないために、PDCAサイクルを回すことが重要です。
業務フローを見直したりマニュアルを作成したりした場合は、定期的にその効果を評価します。もし効果が出てない場合や定着していなければ、問題点を模索し、改善策を実践しましょう。
中小企業における属人化を解消しましょう!
中小企業は従業員数が少なく、業務の属人化が生じやすいです。担当者が退職すると業務が回らなくなってしまうため、早急に解消しなければなりません。
まずは、業務フローを見える化して現状把握し、属人化している業務を誰でもこなせるようにマニュアルを作成します。また、ナレッジマネジメントツールを利用すると、スキルやノウハウを継承しやすいです。
社員全員が問題意識を持ち、PDCAを実行して、属人化を解消しましょう。
