人事評価と人事異動の関係
人事評価とは、社員の実績やスキル、勤務態度などを客観的に評価することです。人事評価の結果をふまえて、目標達成までのステップ・賞与を決める材料・相応しい環境が決められます。また、人事評価により人員の適切な配置が可能になるでしょう。
まずは、人事評価と人事異動の関係について説明します。
人事異動後の評価に不満をもつ社員が多い
人事異動後は新しい業務に慣れるまで時間がかかるため、業務の成果に対する評価は低くなりがちです。予想できることであり、それが「人事異動後の評価が下がるのは仕方ないこと」と言われる所以です。ではなぜ社員は人事異動後の評価を不満に感じるのでしょうか。
それは、企業が人事異動後の評価の変動を考慮せずに給与や賞与などの査定に反映させたような場合に起こります。また不慣れな環境下で個人の役割や明確な目標を明示せずに漫然と仕事をさせ、本人の努力不足と評価するようなケースもあるようです。
公正な人事評価は人事異動に欠かせない判断材料
企業は自社の利益のためにも、社員の能力や実績を正しく評価し、パフォーマンスを最大限発揮できる仕事を与えるべきです。
新入社員の期間であれば、能力や部署の適正も不明瞭ですが、在籍している期間が長くなると、能力や実績から適切な人事評価を行えます。公正で的確な人事評価は人事異動の成功を握る重要な鍵となるでしょう。
異動者に適した人事評価制度とは
異動者に納得してもらえるような人事評価を行うには、異動者に適した柔軟な人事評価制度の確立が必要です。ここからは、異動者に対する人事評価はどのような工夫をしたらいいかについて紹介します。
目標管理制度を導入する
異動後の人事評価は本来の実力を発揮できないことが多く、他者と比べると不利になる傾向があるため、目標管理制度の導入が重要です。評価者と被評価者の間で、異動後の新しい部署における業務について、悩みをしっかりと解消できるようにミーティングを行い、実情に見合った評価が実施できるようにします。
このような「不公平にならない評価制度」によって、社員のモチベーション向上にも繋がります。
360度評価を取り入れる
評価者である上司の主観で評価に偏りが生まれないよう、360度評価を取り入れるのも被評価者にとって安心材料となるでしょう。360度評価とは、上司だけでなく同僚や部下など複数人から評価をしてもらう手法で、より公正で客観的な評価が可能になります。
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異動者向けの評価シートを作成する
そのほか異動者向けに専用の評価シートを作るのも有効です。企業規模が大きくなるほど異動前の所属の把握は難しいため、1枚のシート上で異動前後の評価データが確認できるようにすれば、在籍期間や過去の実績を見ながら、個々にあった評価基準や項目を設定しやすいというメリットがあります。
異動者に対する評価のルールを定める
異動者に対する評価は、評価対象期間の中で長く在籍していた部署の実績を対象とするのがおすすめです。異動してからの期間は短いが、異動前の職場ではしっかりとした実績がある場合に適切な評価を行えるためです。具体的には以下のようなルールがあげられます。
- ●事前に就業規則を定めてトラブルを回避する
- ●半年~1年間程度は異動前後の評価を按分し、中間評価を行う
- ●評価にあたり本人と協議を行いながらすすめる
- ●評価後のフォローをより丁寧に行う
適切な人事評価の運用には人事評価システムを
人事評価は社員の人数に比例して業務量も増加していきます。また、評価者が複数人であることも多いため、効率化を目的に人事評価システムを導入する企業が増えています。
ここからは、適切な人事評価を行うための人事評価システムについて紹介します。
人事評価システムとは
人事評価システムとは、社員の評価をまとめたデータの管理を行い、評価者で共有・確認できるツールです。異動前の評価データだけでなく、これまでの実績や在籍部署、スキルなどのデータが集約されているため、人事データべースとしても活用できます。
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人事評価システムの主なメリット
人事評価をエクセルやワードで管理していると、フォーマットや管理方法が属人化しやすく、業務が煩雑になりやすいでしょう。このような人事評価の「担当者の悩み」を解決できるツールが人事評価システムです。
ここからは、人事評価システムを使う5つのメリットを紹介します。
- 1.明確で公正な評価基準の設定が可能
- 評価の項目が曖昧だと、業務に関係ない個人の印象が影響して、公平な評価が行われない可能性もあります。人事評価システムでは評価する項目を明確に設定でき、そのルールに則った公平な評価も可能となります。
- 2.タレントマネジメントが可能
- 対象を評価するだけでなく、その評価を確認・共有・応用できます。社員のスキルや能力を適切に管理して、最適な人事異動を実現できるようになるでしょう。
- 3.評価データの適切な活用と管理
- 人事評価システムは評価の一元管理が可能です。エクセルで人事評価を行っていると、社員ごとに提出されたファイルを開いて内容を確認・検索する必要がありますが、人事評価システムを活用すれば、部署や評価内容で社員を検索することもできます。
- 4.人事担当者の負担軽減
- 社員の数に比例して、人事評価を管理する人事担当者の負担も大きくなります。例えば、社員すべての人事評価の内容をエクセルで管理していると、各社員の評価の元データを保存・管理し、評価を1つのエクセルに転記して、まとめる業務も発生します。人事評価システムを使えば、このような管理・転記作業が不要になるため、担当者の負担も大幅に軽減できるでしょう。
- 5.ペーパーレス化の実現
- 人事評価システムの活用で、ペーパーレス化を実現し、紙やインクにかかるコストも削減できるようになります。それ以外にも、評価の電子化により、分析・活用もしやすくなります。
人事評価システムで公平な評価を
明確で公正な評価は、人事評価制度を運用する上で重大な要素となります。異動者に寄り添った人事評価制度を確立し、公正な評価の実現を目指しましょう。また、人事評価制度の運用は、人事担当者に大きな負担が掛かります。業務効率の向上のためにも、人事評価システムを導入してみてはいかがでしょうか。