勤怠管理・給与計算のアウトソースについて
勤怠管理・給与計算をアウトソースすることによるメリット・デメリットを知る前に、まずはアウトソースの実態について十分に理解しておきましょう。
勤怠管理・給与計算をアウトソースする日本企業は約20%
給与計算などの専門性の高い業務を外部の業者に依頼する「アウトソース」という考え方は、元はアメリカで発展しました。
専門的な知識を持つ人材の雇用や、人材育成にかかるコストを削減するのがその目的で、日本でも1990年代のバブル崩壊以降にアウトソースが注目されるようになりました。2014年時点で、日本の企業の約20%が給与計算をアウトソースしていると言われています。
一方で海外では約60%の企業がアウトソースサービスを利用しているという情報もあり、それに比べると、まだまだ日本でのアウトソースサービスの利用率はそれほど高くはないと言えるでしょう。
アウトソースで可能な業務
ASPやクラウドの勤怠管理システムを利用して実施できる業務には次のようなものがあります。
- ●予定登録
- 残業や休暇、出勤日などの勤務予定を申請し、登録することができます。申請された勤務予定に対して上長が承認や差し戻しを行うワークフローとして利用できる場合もあります。
- ●長期休暇登録
- 夏季休暇や育児休暇などの長期休暇を事前に登録することができます。
- ●有給休暇管理
- 有給休暇の取得状況や取得限度日数の管理を行えます。
- ●残業時間の管理
- 残業時間を管理するだけでなく、あらかじめ設定された限度時間を超過しそうな場合に上長や本人に警告するといった機能を備えている場合もあります
- ●稼働時間管理
- 日々の稼働時間を管理する基本的な機能の他、稼働時間を集計し閲覧やエクスポートを可能にする機能を持つサービスもあります。
勤怠管理・給与計算をアウトソースするメリットとデメリット
勤怠管理をアウトソースすることによるメリット・デメリットについて、説明します。
アウトソースのメリット3つ
まずアウトソースを利用するメリットについて紹介します。
(1)人件費とシステムのコスト削減
企業では毎月、出退勤の時刻集計や有給休暇の状況把握をし、その情報を元に給与計算が行われています。特に給与計算は専門的な知識や細かい作業を必要とするため、専門知識を持つ人材を雇用したり育成するといった人的コストがかかります。
給与計算システムなどを利用することで人件費の削減が可能ですが、その分システムを利用するためのコストがかかります。アウトソースを利用すると、こういった勤怠管理に関わるさまざまなコストを総合的に抑えることができます。
(2)主要事業への集中が可能
給与計算は専門的な知識を必要とし、さらに正確性も要求される重要な業務ですが、一方で新たな利益を産み出すことのない業務でもあります。
こういった業務をアウトソースすることで浮いた金銭的・人的なリソースを育成計画や採用計画といった主要業務に集中的に投資することができ、企業の利益拡大を図ることが可能になるというメリットがあります。
(3)法令改定への対応がスムーズに
税制や社会保険制度、労働法などの法令が改定されると、それに伴って給与の計算方式も変更する必要があります。
そのためには給与計算システムのアップデートや社内向けの業務マニュアルの改訂、勤怠管理・給与計算担当者への教育など、さまざまな作業が発生します。アウトソースを利用することで、こういった面倒な法令改定へもコストを抑えてスムーズに対応することが可能になります。
アウトソースのデメリット2つ
次にアウトソースを利用するデメリットについて紹介します。
(1)勤怠管理・給与計算のノウハウが自社に残らない
アウトソースを利用すれば、自社に勤怠管理や給与計算に関するノウハウを持つ人材は不要になります。しかしそうなると、給与計算や勤怠管理関連については軽微なことであっても、都度アウトソース先に問い合わせや依頼をする必要があり、社内業務の大きなボトルネックとなってしまう可能性があります。
また、万が一アウトソース先で問題が発生した場合に自社で対応することができなくなり、勤怠管理・給与計算業務が滞ってしまうというリスクもあります。
(2)勤怠管理・給与計算の情報漏出
勤怠管理や給与計算を行うための情報には、社員の個人情報や企業の機密情報も含まれます。アウトソースする以上はこういった情報を社外に持ち出すことになり、情報漏えいのリスクがつきまといます。
個人情報・機密情報の取り扱いに関して徹底した教育や資格取得が行われている企業を選ぶなど、アウトソース先の選定には十分注意することが大切です。
勤怠管理・給与計算のアウトソースサービスを提供する会社を選ぶポイント
ここでは、勤怠管理・給与計算のアウトソースサービスを選ぶ際のポイントを解説します。
(1)予算に合った料金相場であるか
アウトソースサービスの料金が人的・システムコストを上回ってしまっては意味がありません。自社での勤怠管理・給与計算にかかっている人件費やシステムの導入・維持費とアウトソースサービスの料金を比較し、本当にコストの削減ができるかを確認します。
(2)自社に見合った業務範囲であるか
一口に勤怠管理・給与計算といっても、その業務範囲はさまざまです。勤怠管理と給与計算だけでなく、採用や退職、人材配置といった人事業務もアウトソースする必要があるのかなど、どこまでをアウトソースすべきか検討し、それに対応可能なサービスを選ぶ必要があります。
(3)安全性が高く、セキュリティが徹底されているか
勤怠管理・給与計算を行うには社員の個人情報や企業の機密情報といった重要な情報をアウトソース先に提供する必要があります。
情報が漏えいするリスクを減らすためにも、アウトソース先の安全性やセキュリティ対策には十分注意する必要があります。プライバシーマークを取得しているか、業務の再委託を行っていないかなどがチェックポイントとなります。
勤怠管理・給与計算のおすすめアウトソース5選
おすすめの勤怠管理・給与計算のアウトソースサービスをご紹介します。
トライアンフ
元企業人事の担当者が設立した会社であり、現場で培ったノウハウを生かし、業務の可視化・最小化といったサポートを提供しています。勤怠管理・給与計算のほか、労務業務支援や社員問合せの代行、給与計算担当者の育成代行など多方面で業務のアウトソース化に対応しています。
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トライアンフ
ペイロール
ペイロールは2018年3月時点で、国内最多規模の249社、88万人から給与計算業務を受託している給与計算業務のリーディングカンパニーです。基本的な給与・賞与計算サービスのほか、SaaS型の勤怠管理・給与計算サービス、仕訳や稼働時間、退職金などの計算サービス、従業員と保険会社や金融機関との間に立つ窓口業務、問合せ対応や提携社労士による労働社会保険サービスなど、さまざまなサービスに対応しており、各企業のニーズに応じて最適なサービスを提供しています。
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ペイロール
サンクスペイ
サンクスペイでは給与計算システムの開発経験を持つ社労士による無料の導入コンサルティングを受けることができ、100名未満の企業であれば最短2週間で本稼働できる素早いサービス提供が魅力です。基本の給与計算サービスのほか、勤怠管理サービス、Web明細やクラウド型勤怠管理など豊富なオプションサービスが用意されており、細かな要望にもマッチするようカスタマイズが可能です。
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サンクスペイ
フルキャストホールディングス
人材派遣や人材紹介を行うフルキャストグループの提供する給与計算代行サービスは、細かな要望や特殊な勤務体系にも対応可能な完全カスタマイズ型の給与計算アウトソーシングサービスです。コンプライアンスに対する高い意識とプライバシーマークの取得で業界トップレベルの安全性が確保されており、安心して企業の重要なデータを預けることができます。
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フルキャストホールディングス
エコミック
エコミックでは給与計算だけでなく、給与計算に関わる前後工程すべてを網羅的に受託するフルスコープ型サービスを提供しています。従業員数100名ほどの中・小企業から1万人近い大企業まで、さまざまな規模の企業への対応実績があり、基本の給与計算業務に加えて、前工程である勤怠情報収集や後工程である仕訳データの作成、さらに前・後工程における業務改善提案もオプションサービスとして用意されています。
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エコミック
アウトソースの理解を高めて検討しよう!
勤怠管理・給与計算をアウトソースすることで、コストの削減や企業活動の促進につなげることができます。一方で、情報漏えいや社内ノウハウの不足など新たなリスクも発生します。
そのためアウトソースを検討する際には、こういったメリット・デメリットを十分に理解することが大切です。またアウトソースによる効果を最大限に発揮するためにも、利用する機能や費用について、さまざまなサービスを比較し、自社にとって最適なサービスを選びましょう。