勤怠管理システムの基本機能
まずはじめに、勤怠管理システムの主な機能について図解します。
従業員用と管理者用、異なる立場の人が使う勤怠管理システムは、それぞれの立場でも使いやすいものを利用することが大切です。そのためにも、従業員用の機能はどんなものがあるのか、管理用の機能はどんなものがあるのか把握しましょう。
従業員用の機能には、打刻機能や有給取得などのワークフロー、残業時間の通知機能があります。他にも有給取得状況を自分で確認できる機能や、自分のスケジュールを管理できる機能が搭載されている勤怠管理システムもあります。最適な機能を選ばなければ、勤怠管理の大前提である「正確な打刻」につながりません。つい管理者側の機能ばかりに目が行きがちですが、従業員の視点から見て必要な機能があるか確認しましょう。
管理者用の機能には勤怠情報の集計機能、各種システムとの連携や、csv出力機能、シフト管理機能などがあります。多くの勤怠管理システムはこの管理者用の機能で差別化を図っています。便利な機能も多い反面、自社に不要な機能も搭載された高額な勤怠管理システムを導入した結果費用対効果が合わない…というケースも少なくありません。管理者用の機能については、「絶対必要な機能」「あると嬉しい機能」「なくても問題ない機能」を絞ってからシステム検討に進むことをお勧めします。
では、ここからはそれぞれの機能について詳しく解説していきます。
【従業員向け機能1】多彩な打刻機能
勤怠管理・就業管理システムには、様々な打刻機能が搭載されています。使用できる機器もパソコンを使った打刻だけではなく、「ICカードを利用する」「スマートフォンを使う」といった方法もあります。使いやすい機器を組み合わせることで、現場に最適な勤怠管理の環境を実現できます。
ICカードを利用した打刻方法
ICカードでの打刻管理機能なら、カードをタッチするだけで打刻が完了します。この機能は専用ICカードだけではなく、同じNFC(Near Field Communication:近距離通信技術)規格であれば、交通系カードや電子マネー系の非接触型ICカードにも対応しています。
PCがなくても手軽に打刻できる反面、打刻機の混雑により打刻をサボってしまったり、ICカードを忘れると打刻できなくなったりなどの懸念が挙げられます。また、打刻用PCの用意など初期費用が高いという点をデメリットとして挙げられることもありますが、カードリーダーが同じ規格であれば、ノートパソコンなどに接続する市販のICカードリーダーを利用できる場合もあります。古いパソコンを再利用して、打刻機を複数設置し、出勤時や退勤時に打刻行列が発生しない環境を作ることも可能です。
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スマートフォンを活用した打刻方法
クラウド型の勤怠管理システムであれば、スマートフォンからシステムにアクセスし打刻できます。外出先でも打刻できるので、直行直帰でも正確な出退勤や労働時間を記録できます。GPS機能を使って訪問先の記録も残せるので、営業や訪問介護・人材派遣などでも役立ちます。
また、スマートフォンのアプリに対応するシステムや、QRコードを読み取り打刻できるシステムなどもあるため、従業員の状況に合わせた管理が可能です。
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生体認証による打刻方法
生体情報を使って認証する「生体認証打刻」も選択が可能です。例えば、指静脈や指紋認証・顔認証を使用すれば、本人以外が打刻できないため、「なりすまし防止」システムとしても利用できるでしょう。
生体認証システムについては以下の記事で詳しく紹介しています。
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【従業員向け機能2】ワークフロー機能
勤怠管理・就業管理システムは、ワンクリックでの出勤簿の承認、残業や休暇などの電子申請と承認といったワークフロー機能も備えています。残業では「申請を済ませていなければ打刻時にエラーが発生して打刻できなくなる」といった設定も可能です。休暇申請は「有給休暇」「振替休暇」「代替休暇」「特別休暇」を指定できます。また、残日数の管理にも対応していて、特に法改正により取得が義務化された有給休暇の管理に非常に役立ちます。
有給管理システムについては以下の記事で詳しく紹介しています。
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また、勤怠管理システムにはスマートフォンや携帯電話を使って申請や確認ができるシステムもあります。このタイプを使えば、外出先からでも申請が行えます。
この申請機能があれば、タイムカードを提出したり、メールや書面で申請する手間を省くのはもちろん、申請者自身もシステム上で申請内容を確認できます。また、労働時間、残業時間の把握をしておくこともできます。
【従業員向け機能3】残業超過などの通知機能
例えば従業員が打刻し忘れた時や遅刻回数が増えた時、残業時間が基準を超過した時や未消化の有給が溜まっている時にシステムが従業員に通知します。通知方法はシステムによって様々ですがメールや社内SNS・プッシュ通知などが一般的です。この機能があれば、従業員の働きすぎや有給未消化による社内コンプライアンスの低下を従業員自らで未然に防止できます。
【管理者向け機能1】勤怠情報の集計機能
勤怠管理・就業管理システムには、勤務時間をリアルタイムで集計し、データとして管理できる自動集計機能があります。集計結果から総労働時間、残業時間や深夜労働時間、休日労働時間、参加プロジェクトごとの実働時間など、詳細なデータを表示する機能を搭載しています。
【管理者向け機能2】帳票出力(CSV・PDF形式)機能
勤怠管理システムで集計された従業員の勤怠データは、CSVやPDF形式で出力できます。例えば職場でシフト表を掲示したい時や、業務を見直す際の参考資料として使う場合に便利な機能です。CSVで出力されたデータを給与計算システムにインポートすれば、従業員の出退勤記録を簡単に給与へ反映できます。そのため、入力ミスの防止や工数削減にもなります。
【管理者向け機能3】他システムとの連携機能
勤怠管理システムの中には他のシステムと連携できるシステムもあります。例えば、人事管理システムと連携することで社員番号や社員の名前、勤務地や所属部署といった従業員に関するデータを取り込み、入社時の従業員データをより効率的に作成できます。
また、給与計算システムと連携すれば勤怠データが自動的に給与計算システムにインポートをされるので、CSVの出力をする手間も省けます。また、給与未払いなどのコンプライアンス違反の危険性を低くできます。
これ以外でも、シフト管理システムや有給管理システムと連携しておけば、勤怠管理業務を一元化できます。
【管理者向け機能4】スケジュール管理機能
勤怠管理・就業管理システムは、多種多様な勤務体系にも対応できる、柔軟なスケジュール設定機能が備わっています。勤務体系や雇用形態が多様化している今の働き方で勤務状況を管理するには必要不可欠な機能です。働き方改革やワークスタイル変革が叫ばれる昨今、従業員のスケジュール管理は徐々に複雑・煩雑化していく見込みですから、スケジュール管理機能は非常に需要です。
【管理者向け機能5】シフト管理機能
シフト制の職場の勤怠管理では、従業員の希望を反映したシフトの作成など、負担が大きい業務があります。これを自動化するのが「シフト管理機能」です。希望シフトや必要人員に合わせたシフトを自動的に作成してくれます。作成したシフトは、スマートフォンなどで確認することもできます。
勤怠管理システムと連携したシフト管理システムもあります。以下の記事で紹介していますので、シフト管理が必要な方はぜひご覧ください。
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勤怠管理システムには、管理業務の効率アップにつながる多くの機能が備わっています。システムを導入すれば管理事務の作業効率を飛躍的に上げられます。社員数が多い企業には特に勤怠管理システム導入をおすすめします。
また、管理部門にとって最も注意しなくてはいけないのが法律。法律を守ったうえで、社員が働きやすい会社を作っていくことに日々尽力されていると思います。勤怠管理システムは、常にコンプライアンスを遵守するようアップデートされているため、思わぬ抜け漏れをなくすこともできます。
よりよい労働環境づくりのためにも、ぜひ勤怠管理システムの導入をご検討ください!