SFA(セールスフォース・オートメーション)とは
SFA(Sales Force Automation)とは、営業活動を可視化し、営業業務を総合的に支援するツールです。営業支援システムとも呼ばれます。顧客情報や営業プロセスを管理・共有することで、営業業務の効率化に貢献します。
SFAツールの活用により、見込み度の高い顧客に適切なアプローチができるため、営業パーソンは売上目標を達成しやすくなるでしょう。
SFAツールの機能
営業業務を支援するSFAツールには、顧客管理機能や案件管理機能など、主に以下の機能が搭載されています。
- ■顧客管理
- 担当者の名前や決裁者の情報を登録できます。商談・名刺交換した場合は、名刺情報や企業情報も管理可能です。
- ■案件管理
- 進捗状況・受注見込み・受注予定日・受注見込み額などの項目で、営業案件の情報を管理可能です。
- ■商談管理
- 個々の案件のフェーズや提案中の商品、競合の状況などを、商談ごとにデータに反映できます。
- ■活動管理
- 営業担当者の行動や結果を、すべて数値化して管理できます。営業部署全員の営業活動を管理し、各営業担当者の定量的な比較も可能です。
- ■日報管理
- 営業担当者の活動管理と同様に、日報も管理できます。報連相は基本ですが、リモートワークでは難しいという声もあり、ツールの機能としてあれば効果的に行えるでしょう。リアルタイムの情報共有も可能です。
- ■ToDoリスト/通知機能
- 顧客ごとの最終訪問日や次回アプローチ日程、問い合わせ対応のスケジュールなどを登録できます。社内共有に加え、管理者や営業マネージャーへの通知も可能です。
- ■データ分析レポート
- ダッシュボード機能により、進捗状況を可視化します。現状の営業活動をグラフや数値化してリアルタイムに把握できるので、適切な行動計画が立てられます。営業部門全体の分析だけでなく、個人の強みや課題の発見にもつながります。
SFAツールは、顧客管理・案件管理・商談管理など多くの機能によって営業情報を可視化し、個人の進捗把握だけでなく、部署全体の動きを把握できます。営業パーソンと営業マネージャーの両者の活動を支援するため、導入効果を広く享受できるシステムといえるでしょう。営業資源である顧客情報は、蓄積だけでなく、流動的に情報が更新・管理されることで営業活動の質を高められます。
以下の記事では、SFAツールの機能を詳しく紹介しています。顧客管理・案件管理・営業プロセス管理など、実際の営業活動の流れにあわせて機能を解説しているので、自社でSFAツールを活用するイメージをつかみやすいでしょう。
SFAツール導入のメリット
SFAツールの導入により期待できる効果は、営業活動の可視化・標準化・効率化の3つです。それぞれ解説します。
- ■営業活動の可視化
- 日々の営業情報やプロセスに関連するデータの蓄積・保存・共有ができるため、営業活動の見える化が可能です。営業情報やプロセスの把握によって、営業マネージャーは指導やフィードバックも的確に行えるでしょう。最適な営業プロセスの構築や、戦略立案にも役立ちます。
- ■営業活動の標準化
- 各営業担当者が個別に管理していた情報資産を一元管理できます。ナレッジやノウハウの共有により、類似案件への対策や効果的なアプローチを検討できるでしょう。営業機会の創出や営業力の底上げに効果的です。異動や退職による情報の損失も避けられるでしょう。
- ■営業活動の効率化
- マルチデバイス対応のSFAツールであれば社外からもアクセスでき、時間や場所を問いません。情報入力の効率化によって、本来のコア業務に集中できるでしょう。上司への報告・連絡・相談もリアルタイムにデータを用いて行えるため、営業担当者は間髪入れず、より的確な助言が得られます。
SFA導入のメリットのほか、デメリットについても知りたい方は以下の記事をご覧ください。
SFAの活用事例
SFAは以下のような場面で活用されています。
- ●売上げ目標から逆算して効果的な営業計画を立てたい
- ●営業目標の適正化を図りたい
- ●社外でも顧客情報の確認や追加を行いたい
- ●顧客管理やマーケティングなどのシステムと連携して営業活動に役立てたい
SFAの活用事例ついてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてださい。
SFAとCRM・MAの違い
SFAと似たようなシステムで、CRM(顧客管理システム)とMA(マーケティング自動化ツール)があります。それぞれのシステムに企業の利益を最大化するための特徴があり、目的や機能が異なっています。ここでは、SFAとCRM・MAの違いを機能から解説するので、どのシステムが自社に適しているかわからない方は参考にしてください。
CRMの機能
CRM(Customer Relationship Management)とは、顧客情報を一元管理できるシステムのことです。顧客管理システムとも呼ばれ、営業力を強化するツールとしてSFAと比較されることが多いでしょう。顧客情報を管理する点はSFAと同じであるものの、SFAとCRMでは目的が異なります。
- ■SFA(目的:営業支援)
- 営業のサポートが主な目的であり、「営業部署」のためにあるシステムです。成約するまでの営業活動を総合的にサポートします。
- ■CRM(目的:顧客管理)
- 顧客満足度を上げることが目的であり、「マーケティング部署」あるいは「顧客」のためにあるシステムです。営業活動で獲得した顧客に対してのフォローを充実させます。
CRMツールは顧客の購買・コミュニケーション履歴の管理や属性分析など、顧客満足度の向上や購買額の最大化につながる以下のような機能を搭載しています。
- ■CRMツールの主な機能
- ・顧客情報の管理、分析機能
- ・顧客対応履歴の管理機能
- ・メールマガジン自動配信機能
- ・顧客サポート支援機能
- ・フォーム自動生成機能
CRMは小売業やマーケティング部門に適しています。「顧客情報の分析により効果的なプロモーションを実現したい」「顧客情報を活用して新商品の開発に役立てたい」「対応履歴を素早く残し、顧客対応のスピードを上げたい」などの場合にCRMシステムはおすすめです。
以下の記事では、CRMについてより詳しく解説しています。CRMについて理解を深めたい方は参考にしてください。
MAの機能
MA(Marketing Automation)とは、マーケティング活動の支援に特化したツールです。Web集客や顧客情報管理を効率化し、見込み客の獲得から育成を目的に活用されます。SFAは営業活動を支援するツールなので、活用シーンに違いがあるといえるでしょう。
MAツールの主な機能は以下のとおりです。
- ■MAツールの主な機能
- ・メール配信機能
- ・スコアリング機能
- ・シナリオ機能
- ・LPやフォーム作成機能
MAツールはマーケティング業務全般の自動化・効率化に適しています。「見込み客へのアプローチを効率化したい」「顧客情報を分析してホットリードの選出に役立てたい」などの場合には、MAツールがおすすめです。
以下の記事では、MAツールの基本情報について詳しく解説しています。MAツールについても理解を深めたうえで製品を検討したい方は参考にしてください。
SFAツール導入の注意点
ここからは、SFAツール導入における注意点を解説します。以下の点を押さえたうえで、SFAツールの導入を検討しましょう。
導入はスタートライン
現状の営業活動をSFAが効率的に支援しても、営業プロセスそのものに無駄があったり非効率だったりするために、結果につながらない場合があります。SFA導入をきっかけに、業務分掌や業務プロセスの見直しといった改善活動を並行して実施していくことが、効果を発揮できるカギとなるでしょう。
営業活動の成果は地道な努力によるものであり、ツールを導入したからといって結果につながるわけではありませんが、SFAには営業活動を遂行しやすくするためのさまざまな機能が搭載されているので、有効活用できれば百人力でしょう。
目的を明確化しKPIを設定する
SFAの導入前に、営業マネージャーは現状の営業活動の課題点を洗い出し、導入目的を明確にしましょう。例えば、顧客に効果的なアプローチができていない、情報共有に時間がかかる、会議資料作成に時間をとられるなどです。そのうえで、「SFAツールの活用で何の改善を期待できるか」を見極め、課題が山積している場合には優先順位をつけて検討を進めましょう。
また、目標の達成度合いを評価するためにKPIを設定しましょう。KPIで効果測定を実施し、PDCAサイクルを回すことで改善すべき点が見えてきます。SFAを定着させ継続的に効果を出すためには、PDCAを回して改善を続けることが必要です。
以下の記事では、SFA導入に失敗する理由とその解決方法について解説しています。SFAツールの活用を成功させるために、ぜひ一読ください。
SFAを定着させるためのポイント
SFAは定着化が難しいともいわれています。導入したSFAを有効活用するためのポイントを確認しましょう。
導入目的の共有
営業マネージャーは、SFAの導入目的を社内に共有しましょう。SFAは営業担当者の業務支援ツールである一方、営業担当者の活動状況や進捗を把握できるため、監視と捉えられかねません。また、SFAへの入力作業や導入にともなう研修などを、負担に感じる営業担当者もいるでしょう。
現状の課題に対してSFA導入で得られる効果などを丁寧に説明し、利用意義を感じてもらうことが重要です。営業部門の多くは、自分の成果に応じてインセンティブが発生します。見込みが高い顧客情報を社内で共有すると、インセンティブを獲得するチャンスがなくなると考える営業担当者が出てくる可能性もあります。見込み顧客の情報を私物化しないためにも、事前に情報共有のメリットを伝えておくことが大切です。
データの分析・活用ができる体制の構築
SFAで収集したデータを分析・活用することで、営業プロセスの課題発見や改善が実現します。データの活用は主に営業マネージャーなどの管理者の役割ですが、データを有効に活用するためには、適切な人材の配置や体制整備が必要不可欠です。データの分析・活用に不安がある場合、勉強会や研修を実施する導入支援の手厚いベンダーを選ぶなどの方法もあります。
SFA導入で失敗しないための選定ポイント
SFAの導入を検討するときには、製品の比較検討が重要です。具体的なSFAツールの選定ポイントは以下のとおりです。
- ●機能と価格のバランス
- ●操作性
- ●システム連携
- ●ベンダーのサポート力と実績
それぞれのポイントについて詳しく解説します。
機能と価格のバランス
自社の目的や課題に応じて、必要機能を想定する必要があります。以下、課題と対応機能の一例です。
- 営業の移動時間を有効活用したい
- →スマートフォンやタブレットで操作ができるアプリ版をリリースしている製品
- 顧客へ迅速かつ適切なフォローを行えるようにしたい
- →スケジュール機能や通知機能を搭載した製品
- 売上状況にあわせた営業施策を立てたい
- →データ分析レポートに強みがあり、売上予想や予実管理機能を搭載した製品
一般的に、多機能であればあるほど高価になりがちです。自社にとって本当に必要な機能なのか、活用できるリソースがあるかを含め検討しましょう。単に価格だけで比較するのではなく、費用対効果を考えて選ぶようにしましょう。
有名どころの製品が気になる営業パーソンも多いですが、ぜひ価格帯や機能など複数の製品を資料などで見比べ、SFAへの理解を深めつつ自社にベストな製品を見つけるとよいでしょう。
操作性
SFA導入の失敗事例で多いのが、営業担当者にシステム活用が定着しないケースです。主な原因は操作性にあります。すべての営業担当者がシステムに強いわけではありません。高機能で品質が高いシステムだとしても、使いこなせなければ宝のもち腐れです。
また、操作性が悪く入力項目も多いSFAツールでは、導入前よりも入力作業や雑務時間が増えてしまいます。手間に感じるとデータ入力が定着せず、SFAの恩恵を享受できないでしょう。誰もが活用しやすい、操作性のよいツールを選ぶことが重要です。
システム連携
SFAツールは商談などのフェーズにおいて有効活用できますが、前段階の見込み顧客の獲得は専門外です。見込み顧客の獲得には、マーケティング活動を自動化するMAツール(Marketing Automation)が有効でしょう。SFAと連携することで、リードの獲得・育成・選別・フォローまでが自動化できます。
ほかにも、受発注システムや在庫管理システムなどと連携することで、業務効率化や相乗効果が期待できます。連携性が高いSFAを選定すれば、既存システムのデータ活用の幅も広がります。
ベンダーのサポート力と実績
SFAの運用が軌道に乗るまでには、時間を要します。機能や操作方法に関する質問はもとより、トラブル発生時の問い合わせなど、ベンダーのサポート範囲や内容について確認しましょう。
また、導入実績も大事なポイントです。導入実績が多ければ、システムについての知見も豊富であると考えられます。自社と同じ業界・企業規模での導入事例を参考にしましょう。
以下の記事では、最新のSFAツールを比較紹介しています。各製品の価格や機能をはじめ、実際に利用しているユーザーの口コミも確認できるので、あわせて参考にしてください。
SFAの導入事例
SFAを導入した企業の事例も見てみましょう。各企業の導入目的・効果・選定ポイントなどを参考にして、自社のSFA導入に役立ててください。
事例1:月間約120時間の作業コスト削減を実現
車両・貨物・建設機械などの海上輸送を行うイースタン・カーライナー株式会社様は、情報の一元管理と、見積書や発注書などの帳票作成の効率化を目的に、SFAツールの導入を決めました。協力会社とのやり取りに、紙・Excel・電話などさまざまなツールを利用していたため、重要な情報が社内に散在しているのが課題でした。
協力会社への受発注データの入力・修正から帳票出力、双方のコミュニケーションまでSFAツール「kintone」に集約したことで、部署全体で約120時間の月間作業コストの削減を実現。協力会社とのやり取りが見える化され、部署内での相談やアドバイスもしやすくなりました。
「kintone」を選んだ理由は、自社に必要なアプリケーション(管理アプリや見積書作成アプリなど)を、現場担当者が直感的に作成できること。また、導入後に機能の拡張などが必要になった際に、ベンダー企業が提携するパートナーに開発を委託できることも導入の決め手でした。
事例2:年間約3,000万円の通話料の削減に成功
インフラサービスを提供する東芝ITサービス株式会社様は、提供サービスのメンテナンス業務における工数過多と、作業報告などによる膨大な通話料が課題でした。現場のメンテナンス作業者は本部のオペレーターへの業務報告を電話で行っており、年間1千万円単位の通話料が発生していたのです。
SFAツール「cyzen」を導入後、メンテンス作業の開始・終了・報告をcyzenで記録する運用に変更。メンテナンス作業者とオペレーター双方の確認・報告工数が大幅にカットされ、年間約3,000万円の通話料の削減に成功しました。パソコンで現場の作業状況をリアルタイムに把握できるため、本部のオペレーターによるフォローやサポートも円滑化し、サービスレベルも向上しました。
SFAの導入事例は、以下のランキングページの「導入事例」タブからも確認できます。
SFAツールで営業活動の効率化や利益の最大化を目指そう
SFAは顧客管理・案件管理・商談管理などを効率化する機能で、各営業パーソンとチームを統括する営業マネージャーの活動を支援し、営業活動の可視化・標準化・効率化を実現します。自社に最適なSFAを選定するには課題を明確化し、自社の課題解決に必要な機能や特徴、価格などを比較しましょう。
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