タイムカードの電子化が進む背景
従来は、タイムレコーダーに紙のタイムカードを差し込み打刻する方法が一般的でした。タイムカードによる勤怠管理では、月ごとに各拠点からタイムカードを集める必要があります。さらに、一人ずつ労働時間や休日をエクセルへ手入力・集計し、給与計算しなくてはなりません。
また、過重労働や賃金の不払いなどが社会問題化するなか、企業は適正な勤怠管理・人事制度が求められるようになりました。特に、2019年4月施行された働き方改革関連法では、残業時間の上限規制・有給休暇の取得義務が定められました。紙のタイムカードでは、有給休暇の取得状況や残業時間の把握が課題です。そこで、コンプライアンスや労務管理の強化を目的としてタイムカードを電子化する企業も増えています。
なお労働基準法には、「使用者は労働者名簿、賃金台帳および雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を3年間保存しなければならない。」とあります。したがって、勤怠管理にタイムカードを使用している場合は、3年間の保存が必要です。過去のタイムカードの保管場所や管理コストに課題を感じている企業も電子化を進めています。
参考:労働基準法|e-Gov法令検索
タイムカードを電子化する方法
タイムカードの電子化には、保管している紙のタイムカードを電子データに置き換えるか、現行の勤怠管理の打刻方法を電子化するかの2つの方法があります。それぞれの特長やメリットを詳しく説明します。
タイムカードをスキャンして保管する
タイムカードは3年間の保管が義務付けられているため、場所をとるほか管理コストもかかります。そこで保管している紙のタイムカードをスキャンし、デジタル化する手法がとられます。
従来はダンボール箱などに過去のタイムカードを入れ、本部の倉庫などに保管していました。従業員が多いほど保管するタイムカードの量は膨大になり、紛失のリスクもあるでしょう。また、必要な情報をすぐに探し出せません。勤怠データをデジタル化することで、労働基準監督署の調査が入ったときにもすぐに該当月の勤怠情報を探し出せます。管理場所が不要になり、担当者の管理工数も削減可能です。
タイムカードから勤怠管理システムに変更する
紙のタイムカードによる打刻をやめて、ICカードやスマホ、PCによる打刻方式に変更することです。「タイムカードの電子化」といえば、通常こちらを指します。タイムカードによる管理は、不正打刻のリスクや集計の手間などの課題があります。働き方改革の推進により、適切な労働時間の把握が求められる昨今、勤怠管理システムの導入を検討する企業が増えているようです。
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タイムカードを電子化するメリット
タイムカードを手作業で管理する方法から電子化する方法へ切り替えた場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。具体的に解説します。
勤怠状況をリアルタイムに把握できる
月末にまとめて集計していた勤怠データを電子化することで、リアルタイムに把握できるようになります。有給休暇の取得状況や長時間労働者を事前に検知できるため、コンプライアンス強化につながるでしょう。
集計作業を効率化できる
ICカードや自分のPC・スマートフォンでの打刻なら、システムへ自動で反映されます。また、勤怠の締め日に勤務実績の申請のボタンを押すだけで勤怠情報の登録が可能です。タイムカードから転記する手間も省け、入力ミスも回避できます。
不正打刻を防げる
タイムカードでは代理打刻や不正打刻が防げません。例えばタイムカードを通したあとも業務を続けたり、遅刻時同僚に頼んで前もってタイムカードを通して出勤したことにしたりといった問題が横行しています。生体認証やGPS機能のあるスマホ打刻を利用することで不正打刻を防げます。より正確で客観的な勤怠管理が可能になるでしょう。
紙・管理コストを削減できる
紙のタイムカードは毎月新しいものを用意するため、用紙代やインク代などのコストがかかります。またタイムカードの名前欄は手書きでかかなくてはならず、集計や管理の手間も課題です。タイムカードを電子化すれば、タイムカード・インク代などのコスト削減が実現できます。また記入済タイムカードの保管場所も不要になるため、空いたスペースの有効活用や場所代の節約が可能です。
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タイムカードを電子化するデメリット
システムを導入してタイムカードを電子化するメリットは大きいものの、デメリットはどのようなものがあるのでしょうか。詳しく解説します。
導入費用がかかる
一番のネックとなるのがコスト面でしょう。タイムカードと比べると、タイムレコーダーの導入やシステム利用料に費用がかかります。近年主流のクラウド型勤怠管理システムの費用は、初期費用は0円~数万円、月額利用料は一人あたり数百円から利用できるものが一般的です。また、オンプレミス型ではサーバ構築や保守費用などで数百万円かかるものもあります。雇用形態が複数あり、カスタマイズが必要な場合だと、導入に時間がかかるケースもあるため注意が必要です。
規則変更・周知に手間がかかる
勤怠管理システムを導入すると、打刻のルールや就業規則に変更が生じるでしょう。システムの操作方法や制度変更の周知に時間と手間がかかることもデメリットといえます。慣れないうちは不具合や操作方法の不明点が生じるたびに対応しなければなりません。誰もが使いやすいシステムを選定するとよいでしょう。
タイムカードを電子化する際の注意点
タイムカードを電子化し、新たに勤怠管理システムを導入する場合、以下の点に注意しましょう。
- ■自社のワークスタイルに合っているか
- 顔や指紋による生体認証では読み取りに時間がかかることもあります。従業員の出社時刻が同一であれば、スマートフォンやそれぞれのPCで打刻する方法などを選択するのがよいでしょう。また外回りや出張の多い職場には、GPSによる位置情報が備わっていると便利です。
- ■最適なコストパフォーマンスか
- 自社の規模に見合わない多機能なものを導入すると、余計なコストがかかってしまいます。自社に必要な機能は何かを導入前に洗い出し、最適なコストパフォーマンスのものを選択するのが望ましいでしょう。
- ■社内でのルール化・周知
- タイムカードから切り替えてうまく運用するためにも、勤怠管理の方法をルール化し、従業員に周知することが大切です。また従業員からの質問やトラブル時などに対応できる体制を構築しましょう。
以下の記事では、おすすめの勤怠管理システムを課題・特長別に徹底比較しています。
タイムカードを電子化し、勤怠管理を効率化しよう
アナログなタイムカードの管理方法を電子化することで、適切な労務管理や集計作業の効率化、コスト削減などさまざまなメリットがあります。多様化する働き方を導入したい場合や、労務管理を強化し働きやすい職場環境の構築を目指す場合などは、電子化するタイミングといえるでしょう。
労働環境を整備する根幹となる勤怠管理システムの重要性を見直し、自社に合ったシステムや仕組み作りについて検討してみてはいかがでしょうか。