タイムレコーダーとは?
タイムレコーダーとは、従業員の出退勤時刻や日付、休憩時間を記録する機器です。従来は紙のタイムカードを差し込み、挿入時の時間を印字して打刻していました。近年ではタイムカードのほか、ICカードを用いてシステムに記録するものや、指紋・静脈認証に対応したものなど、さまざまな機器が登場しています。
法改正による勤怠管理の課題
2019年には労働基準法が改正され、従業員の正確な労働時間を把握するよう義務づけられました。そのため手書きの出勤簿やExcelでの自己申告による管理をしていた企業は、客観的な労働時間を把握できないため、タイムレコーダーなどの打刻システムと併用するか、勤怠管理システムへの切り替えが必要となりました。
しかし、タイムレコーダーにも課題点があります。それは多くの企業で未だに導入されている「紙のタイムカード」を用いている場合です。
タイムカードによる勤怠管理の課題点
- ●不正打刻(代理打刻や時間を偽った打刻など)が起きやすい
- ●集計が手作業になるため、集計ミスを完全には防げない
- ●労働時間の計算がリアルタイムに行えず、残業時間の管理が難しい
- ●3年間の保存が必要であるため、従業員数が多いと保管に場所をとられる
なお法改正により残業時間の上限が設けられたことで、リアルタイムで勤怠情報の把握をする必要性がさらに高まりました。紙のタイムカードはコストが安いうえ、デジタル機器に苦手意識をもつ従業員が多くても導入しやすい点がメリットです。しかし、より厳格な勤怠時間の把握が求められる昨今、タイムレコーダーと勤怠管理システムを活用した客観的かつ正確な勤怠管理体制の構築が重要です。
参考:労働基準法 | e-Gov法令検索
参考:使用者が講ずべき措置に関するガイドライン|厚生労働省
タイムレコーダーの種類
勤怠管理に用いられるタイムレコーダーの特徴を種類別に紹介します。
時刻記録専用タイムレコーダー
紙のタイムカードを使って打刻し、出退勤の時刻と休憩時間を記録します。シンプルな仕組みのため、誰でも扱いやすく低コストで導入できるのがメリットです。現在でも中小企業を中心に導入されています。
タイムカードの記録をパソコンやシステムと連携できないため、集計作業に手間がかかる点や計算過程での人的ミスのリスクがデメリットです。従業員数の多い企業よりも、少人数の事業所に向いています。
集計機能付きタイムレコーダー
時刻記録専用タイムレコーダーと同じく、紙のタイムカードを使って打刻します。違いは、勤務時間や残業時間の集計機能が搭載されている点です。機能が増えた分、導入コストは少し増えますが、集計時のミス防止や管理工数の削減が期待できます。
ただし、比較的単純な計算のみに対応するため、雇用形態が複雑な企業には適していません。小〜中規模で集計ルールのわかりやすい企業におすすめです。
Webブラウザ型タイムレコーダー
紙のタイムカードを使用せず、PCやスマホ画面から打刻するのが特徴です。打刻データを勤怠管理システムへ連携でき、複雑な勤務体系にも対応します。集計作業の効率化やミスの防止が期待できる反面、紙のタイムカードに比べて導入や運用にコストがかかります。
集計が自動化されるため、従業員数の多い企業に向いているでしょう。さらにテレワークや直行直帰の多い企業など、社外でも打刻したい場合にもおすすめです。
ICカード対応のタイムレコーダー
ICチップが埋め込まれたカードをレコーダーに近づけて打刻するのが特徴です。社員証と併用できるものや、交通系ICカードをタイムカード代わりにできるものもあります。
打刻データのシステム連携も可能で、比較的多機能な製品が多いといえます。その分コストはやや高めです。また、紛失のリスクや発行・管理の手間があります。
生体認証対応のタイムレコーダー
指紋・静脈・顔認証など、本人の生体情報を事前に登録して打刻に用いるため、なりすましなどの不正打刻を防ぐのに効果的です。紙のタイムカードやICカードなどを発行せずに導入でき、管理が比較的簡単なのも特長です。
認証方法によっては、うまく読み取れずに打刻に時間がかかってしまうこともあります。また、タイムレコーダーが高額な点はデメリットといえます。
タブレット端末型タイムレコーダー
タブレット勤怠管理アプリを導入し、タイムレコーダー代わりにします。タイムレコーダー機器本体の導入費用が抑えられるため、比較的低コストで利用できる点がメリットです。
一般的なタイムレコーダーに比べて軽量で場所をとらないため、設置や場所の移動がスムーズです。ただし、タブレットに対応したタイムレコーダーアプリは使用できる製品が限られています。事前に調べてみるとよいでしょう。
集計ミスを防ぎたい場合や、手作業による集計作業を効率化させたい場合は、集計機能のついたタイムレコーダーや勤怠管理システムと組み合わせて利用するのがよいでしょう。従業員数や予算に応じて、自社に適切なタイムレコーダーを選定してください。なお、以下のボタンから、おすすめの勤怠管理システムをまとめて無料で資料請求できます。
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タイムレコーダーで勤怠管理を適切に行うポイント
タイムレコーダーで勤怠管理する際、企業はどのようなことに気をつければよいでしょうか。
タイムカードの運用ルールを定める
従来の紙によるタイムカードは不正打刻や改ざんが簡単にできてしまいます。運用ルールの不備により、企業が損失を受ける可能性も否めません。具体的には次の内容についてルールを定めましょう。
- ●代理打刻の禁止
- ●打刻のタイミング
- ●打刻ミス時の申告手順
勤怠管理システムとあわせて導入する
集計の効率化や計算ミスの防止は、打刻情報を勤怠管理システムで管理するのがおすすめです。また勤怠データをシステムで連携していれば、リアルタイムで勤怠情報を把握できるため、残業時間の管理など過重労働の予防にもつながります。
そのほか、タイムカードとあわせて入退室管理システムを併用する方法や、PCのログイン・ログオフ情報で勤怠を管理するケースなど、タイムカードに頼らずより客観的で不正のリスクが少ない管理方法の検討もよいかもしれません。
タイムレコーダーの選び方
タイムレコーダーを選ぶ際は、「自社に適した打刻方式に対応するか」「使いやすいか」「セキュリティやサポート体制は安心か」などに気をつける必要があります。ここでは、タイムレコーダー選定の際に留意する点をいくつか紹介します。
自社の課題を解決できるか
タイムレコーダーの導入で、どのような課題を解決したいのかをあらかじめ明らかにしておくことが重要です。打刻さえできればよいのか、打刻情報をもとに勤怠管理や給与計算業務に活かしたいのかなど、解決したい課題は企業により異なります。
そのほか、勤怠管理システムを導入すればシフト作成の効率化も可能です。自社のもつ課題に応じて必要な機能を明確にし、複数製品を比較検討してみましょう。
会社の従業員規模や勤務体系にあっているか
従業員数が多い場合、打刻方式が豊富な勤怠管理システムの導入がおすすめです。タブレット端末・PC・専用機器など、部署や現場ごとに最適な打刻方法のタイムレコーダーを採用できるため、複雑な勤務体系にも対応できます。
例えば、全従業員が同時に出退勤を行うような企業で生体認証型のタイムレコーダーを採用してしまうと、打刻の度に長蛇の列ができてかえって非効率です。認証に手間取って一人ひとりの打刻時間が増えると、退勤時間の打刻が全社的に遅れてしまう可能性もあります。
また在宅勤務や直行直帰が多い職場の場合、スマホを使ったGPS打刻に対応しているタイムレコーダーを選択すると、不正打刻を防げるでしょう。
導入費用や運用コストが予算内におさまるか
導入費用を抑えたい企業には、機能の少ないシンプルなタイムレコーダーが適しています。しかし、労務管理業務の効率化や残業時間・休暇日数の一元管理など、複数の課題を解決したい場合もあるでしょう。予算に余裕があれば、集計機能のついたタイムレコーダーや低コストな勤怠管理システムの導入がおすすめです。また、クラウド型の勤怠管理システムやタブレット対応の勤怠管理アプリの導入は、専用のレコーダーを買わずに済むため、比較的低コストで導入できます。予算に見合った効果が得られるか検討してください。
使いやすさはどうか
紙のタイムカードに慣れている従業員は、少なからずデジタル化に不安を感じるかもしれません。そこで、「ボタンを押すだけ」「タッチするだけ」など、簡単な操作で打刻できる製品を選ぶとよいでしょう。認証に時間がかからず、機械操作が苦手な人でも問題なく使用できるタイムレコーダーを選んでください。勤怠管理システムであれば無料トライアルも可能なため、本格導入の前に複数製品の使用感を試すのもよいです。
勤怠管理システムのタイムレコーダー機能を取り入れよう
タイムレコーダーによる勤怠管理は、勤怠データの連携や集計作業の効率化、人的ミスの防止などメリットが豊富です。しかし紙のタイムカードを使っている場合は、不正打刻や改ざんに気をつけなければなりません。
勤怠管理システムを一緒に導入する、不正打刻を防げる生体認証のタイムレコーダーを導入するなど、正しい勤怠管理を行うことで企業の損失を防げます。この機会に、ぜひタイムレコーダーや勤怠管理システムの導入を検討してみてください。