コールセンター従業員のモチベーション低下によるリスク
コールセンターはもともとオペレーターの離職率が高いことで知られています。そして、その原因の1つがストレスによるモチベーション低下です。
コールセンター業務に伴う精神的ストレスは侮れません。顔を合わせない状況でのコミュニケーションは齟齬が生じやすく、慎重に意思疎通を図らなければならないからです。また、どれほど慎重に業務を遂行しても、人間相手の仕事である以上必ずトラブルは発生します。
このようなストレスで疲弊すると、業務の質が低下します。そして、結果としてさらなるトラブルに見舞われるという悪循環に陥るのです。
そのような原因で離職率が高くなると、優秀なオペレーターが育ちません。ベテランと新米のオペレーターでは実力に差があるため、顧客満足度の低下も招くでしょう。
コールセンター従業員のモチベーションを向上させる方法
次は、コールセンターにおけるオペレーターのモチベーションの上げ方を見ていきましょう。
適正な評価基準を設定する
人は、自分の努力が評価されないとモチベーションを失います。つまり、モチベーションを上げるには適正な評価を行う必要があるということです。
数値化できる評価基準を明確にし、すべてのオペレーターの仕事を客観的に評価しましょう。このとき、評価に用いる指標をよく考えて選ばなければなりません。
たとえば、指標がコール数や応対時間だけでは、何を評価しているのかが分かりにくいでしょう。成約率や売上高のほか、顧客対応の丁寧さなどもできるだけ数値化して指標として用いましょう。
指標として定めたものは、オペレーターに周知することが大切です。明確な目標がある方がモチベーションが高まり、チームワークも良くなるでしょう。
フィードバックを実施する
自分が行ったことに対するフィードバックが早いほうが、モチベーションを維持しやすい傾向が人にはあります。したがって、ただオペレーターを評価するだけでなく、そのフィードバックを早めに行う体制も構築しなければなりません。
フィードバックは必ず定期的に行うようにしましょう。週に1度など高頻度に行うのが理想的ですが、月に1度などでも構いません。いつフィードバックが得られるのかを明確にすることが大切です。
フィードバック内容は、「できたこと」「維持すべきこと」「改善が必要なこと」に分けて考えましょう。ダメ出しをするだけではモチベーションが下がるため、どれも均等に評価する必要があります。
また、それら3つを踏まえて次にチャレンジすべきことも設定すると、オペレーターの目標意識が高まります。
従業員同士のコミュニケーション機会を促進する
コールセンター業務はチームで行うものです。小規模なコールセンターであればそれ自体がチームですし、大規模であれば小チームに分けられていることもあります。
顧客対応は各オペレーターが一人ですることになります。しかし、研修やスクリプトの共有など、チームメンバーがいるからこそできることも少なくありません。
オペレーター同士のコミュニケーションを促進させればそれらの活動が活発になり、モチベーションアップにつながるのです。
また、単に励まし合いの言葉をかけ合える人がいるだけでもメリットはあります。ストレスが大きい業務ですから、そうした精神的な支えがもたらす効果は侮れません。
社内表彰を実施する
人は誰しも承認欲求を持っています。つまり、自分の成果を褒められると嬉しいということです。
そのため、社内表彰制度など頑張ったオペレーターが認められる環境を作ると、モチベーション向上が期待できます。表彰された人は自分の努力が認められ、さらに励もうという気持ちになるでしょう。
それ以外のオペレーターも、次は自分が表彰されるのを目指すことで仕事への意欲が向上するはずです。
コールセンターシステムを活用する
コールセンターシステムとは、コールセンター業務を効率化するITツールのことです。
たとえば、ACDと呼ばれる機能を使えば、顧客を自動で担当者に振り分けられます。また、CRMシステムなどと連携すれば、通話している相手の顧客情報を瞬時に知ることができ、スムーズな対応が実現します。
コールセンターシステムのこれらの機能を使うことで、オペレーターの負担を減少させられます。
その結果、業務量が多すぎることによるモチベーションの低下を阻止できます。さらに、余計な仕事が減ることで顧客対応に集中でき、高いパフォーマンスを発揮できるようになるでしょう。
コールセンター従業員のモチベーションを管理する方法
続いては、コールセンター従業員のモチベーションを管理する方法を2つ紹介します。
モチベーション曲線を作成する
モチベーション曲線とは、モチベーションの増減をグラフで示したものです。人のモチベーションの波を把握するために用いられます。
まず自社のオペレーターのモチベーション曲線の傾向を把握しましょう。たとえば、「研修1か月で低下して3カ月後にやや上昇、その後は…」のように、長期における変動を把握します。
そのためには、日ごろから管理者はオペレーターと積極的にコミュニケーションをとっておかなければなりません。
モチベーションの波を把握すると、対策を検討できるようになります。たとえば、研修によるモチベーションの低下が著しいのであれば、研修内容を見直す必要があるでしょう。
早い段階でモチベーション低下の要因を排除し、初めから可能な限り低下させないようにすることが大切です。
モチベーションの対策ステップを構築する
モチベーション低下の対策に限らず、継続的な取り組みはPDCAサイクルに従って行うと効果的です。PDCAとは「Plan」「Do」「Check」「Action」のことで、効率的に業務を改善していく一連の流れを示します。
このサイクルを意識すれば、計画したのに実施できないという事態や、実施したのに改善が見られないといった問題を避けられます。
モチベーション低下の対策においては、各ステップで以下の活動を行いましょう。
- Plan
- 従業員に不満がないか調べる
- Do
- その不満を取り除く対策を実施する
- Check
- 対策が有効だったか検討する
- Action
- 問題点を改善し、次につなげる
従業員のモチベーションを管理し、コールセンター業務を改善
オペレーターのモチベーションを高めるためには、以下の対策をとりましょう。
- ■適正な評価基準の設定
- ■フィードバックの実施
- ■従業員同士のコミュニケーション促進
- ■社内表彰の実施
- ■コールセンターシステムの活用
また、従業員のモチベーションを管理する方法は以下のとおりです。
- ■モチベーション曲線の作成
- ■PDCAサイクルの構築
以上を踏まえ、オペレーターのモチベーションを管理しましょう。