チャットボットのメリット
チャットボットの利用により期待できるメリットを4つ見ていきましょう。
オペレーターがコア業務に集中できる
カスタマーサポートには、多くの相談や質問が日々寄せられます。その大半がちょっとした質問であり、中には似通っているものも含まれます。そのような問い合わせが日に数件程度ならオペレーターに負担はかかりませんが、数十件数百件ともなると大変です。
チャットボットを導入すれば、オペレーターはコア業務に注力できるようになります。簡単な質問はチャットボットが対応し、複雑な問い合わせはオペレーターが対応するのです。このように業務の切り分けを行うことで、顧客対応にかかる時間を削減できるだけでなく、カスタマーサポート全体の業務効率化につながります。
ユーザーとの接点が増加する
アプリECサイトの閲覧中に商品・サービスについて気になる点があっても、問い合わせフォームを利用したり、カスタマーサポートに電話したりするユーザーはそう多くありません。それは、問い合わせをするのが面倒だったり、「電話をするまでもない」と躊躇したりするからです。
チャットボットを活用すれば、ユーザーは気軽に問い合わせを行えます。会話形式の簡単な操作のみで、メールや電話と比較して手間がかからないためです。また、チャットボットは機械なので、人に質問する時のような気恥ずかしさもありません。こういったチャットボットの手軽さは、ユーザーが問い合わせに感じるハードルを下げる一助になるでしょう。
顧客満足度が向上する
業界・業種により、ユーザーがWeb・ECサイトを利用する時間は異なります。その利用が深夜や休日に集中する場合、ユーザーからの問い合わせ件数も多くなります。オペレーターによる対応では問い合わせの回答にタイムラグが生じるので、これらのニーズに応えるのは難しいでしょう。
チャットボットは、24時間365日ユーザーの問い合わせに対応可能です。疑問をリアルタイムで解決できるとユーザーは満足感を得られるでしょう。
売り上げの向上が見込める
ECサイトでは、実店舗のようにユーザーに対してきめ細やかな接客は行うのは不可能です。ユーザーは商品・サービスの説明を読み、画像を見て購入するかどうかを決めなければいけません。説明文や画像からは商品・サービスの詳細を知るのは難しいので、なかなか購入に踏み切れないユーザーも多いでしょう。
しかし、チャットボットであればそのようなニーズに応えることが可能です。たとえば、アパレルのWebサイトにチャットボットを設置し、長時間悩んでいるユーザーに対してコーディネート例を提示できれば、アイテムの購入につながりやすいです。
このように、チャットボットは商品・サービスの購入時にユーザーの後押しをしてくれるサービスとしても活用できます。
チャットボットのデメリット
チャットボットのデメリットとして、表記ゆれによる言語認識が難しいことが挙げられます。「申し込み」「申込み」などの送り仮名の付け方や、「1度」「一度」といった数字・漢数字の使い分けなど、日本語には同じ意味で複数の表記があります。このような表記ゆれに対応しないとスムーズな運用は難しいでしょう。
なお、チャットボットにはルールベース型・AI型の2種類があります。
ルールベース型はユーザーの質問に対し、自動で適切な回答を提示します。一方、AI型は人工知能を活用したチャットボットです。ユーザーとの会話履歴からAIが学習して適切な回答を探しながら会話を行うので、自然に近いやり取りが可能です。しかし、ルールベース型は手動で設定の変更などを行わなくてはいけません。AI型も学習期間や複雑な初期設定が必要です。
どちらにせよ導入してすぐに使えるわけではなく、運用には労力と時間がかかるでしょう。
チャットボットの導入事例
チャットボットにより、業務効率化や顧客満足度向上を実現させた2つの事例を紹介します。
煩雑なやり取りが減って業務効率化を実現した例
A社は、チャットボットの導入前は人事手続きといった社員からの問い合わせにオペレーターが対応していました。しかし、内容の重複した問い合わせが多かったです。マニュアルやFAQは整備されているものの該当の情報へたどり着けない上、オペレーターの対応スキルにも差がありました。
チャットボットの導入で、よくある質問に自動で回答できるようになり、複数人への同時対応を実現します。また、人手不足の解消により、オペレーターの対応品質平準化にもつながったそうです。
B社では、メールでの問い合わせが多く、内容が複雑であるため複数回に渡るメールのやり取りが課題でした。
チャットボットの導入でリアルタイムな回答を実現し、ユーザーの問題をスムーズに解決できるようになります。これにより、顧客満足だけでなく業務効率の向上を果たしました。
簡単な質問への自動回答で顧客満足度が約8割向上した例
ホームページ閲覧後のユーザーからの電話による問い合わせが多い企業の導入事例です。
導入前は、ホームページでは目的の情報にたどり着けず、営業時間外の問い合わせも多い状況でした。似通った問い合わせも多く、対応の効率化を目的にチャットボットの導入を決断しました。
導入後は、数百件以上の質問に対する自動回答をチャットボットにより実現します。電話による問い合わせ数も50%程度削減できました。さらに、チャットボットを利用したユーザーの80%以上が満足する結果となっています。
チャットボットのメリットを押さえて導入しよう
チャットボットの導入によるメリットは以下のとおりです。
- ■オペレーターのコア業務への集中
- ■ユーザーとの接点の増加
- ■顧客満足度の向上
- ■売上の向上
しかし、チャットボットは導入にあたり入念な準備が必要です。また、言語認識が難しく、適切な運用が求められます。チャットボットを導入し、業務効率や顧客満足度の向上を実現した企業も数多く存在します。
以上を踏まえ、チャットボットの導入を検討しましょう。また下の記事では、半自動のチャットシステムも解説しています。ぜひ、チャットボットとあわせて比較検討してみましょう。