営業のノウハウが共有されない原因
営業ナレッジの共有が進まないと、属人化による業務の非効率やスキルの継承不足といった課題が生じます。ここでは、営業ノウハウの共有がうまく進まない原因を解説します。
共有するメリットを感じにくい
営業はほかの職種と異なり、個人の営業成果がインセンティブとして給与に反映されます。企業によっては、従業員を相対的に評価し、ボーナスを決める場合もあるでしょう。
つまり、自身のノウハウを差出して社内で共有すると、ほかの従業員の評価が上がり、自身が優位に立てなくなる可能性があります。自分の優位性を保ちたいと考えるため、ノウハウの共有はデメリットと捉える従業員もいます。
日々の業務が忙しい
営業にかかわる従業員は、個人単位で業務を遂行するのが一般的です。そのため「自分の仕事は自分でやった方が早い」という意識が強く、ノウハウを共有する機会はほとんどありません。
もしノウハウを共有するとしても、どこかに書き記す手間があり、負担に思う従業員が多いのではないでしょうか。ただでさえ多忙な日々であるため、必然的にノウハウ共有の優先順位は低くなります。
社内での共有体制が整っていない
ノウハウを共有・蓄積する体制が構築されていないことも原因のひとつです。すでにツールを導入している場合でも、共有すべき情報の種類や、そこに記載すべき項目について明確なルールを決めていなければノウハウは共有されません。
営業ノウハウを共有するメリット
営業ノウハウを共有すると、以下の効果が想定されます。
属人化の防止
従業員一人ひとりの営業スキルに依存してしまうと、異動や退職によりノウハウが失われてしまいます。従業員が独自のノウハウで顧客を獲得していれば、最悪の場合顧客まで失う可能性もあるでしょう。情報資産としてノウハウを社内に蓄積しておけば、属人化を避けられます。
営業スキルの全体的な向上
組織でノウハウを共有すれば、営業チーム全体のスキル向上につながります。全体的な営業スキルの向上だけでなく、営業の質の平準化も期待できるでしょう。
また、営業ノウハウを共有し蓄積しておけば、新人教育にも活用可能です。社内の事情や環境にあわせた、より実践的な教育ができます。
顧客満足度の向上
従業員がそれぞれ独自に営業活動していると、無駄な作業が発生しやすくなります。例えば、各自で営業資料を作っている場合です。営業ノウハウとして資料を共有し、いつでも閲覧できるようにしておけば、過去の他社向けの資料を応用して短時間で資料の作成が可能です。
そのほか、営業担当の引き継ぎにもノウハウ共有の場が役立ちます。顧客情報やこれまでの応対記録がデータで共有されていれば、引き継ぎに要する時間が減らせるでしょう。さらに顧客の視点からみると、新たな担当者が自社の情報を把握し、スムーズな対応がなされれば満足度が高まります。既存顧客との関係性の構築もしやすくなるでしょう。
営業ノウハウの共有方法
ここからは、営業のノウハウを共有する方法について具体的に紹介します。
ノウハウ共有の文化を醸成する
自身の経験や知識を簡単には他者に教えたくないと考える従業員が多い場合、評価制度の構築が有効です。例えば、有益なノウハウを共有した従業員に対する表彰制度や、ノウハウを共有するごとに賞品と交換できる「ノウハウポイント」を付与する、といった方法があります。
また、すでにツールを導入している企業では「ツールを導入しても結局使われずに無駄にしてしまった」といった失敗が起こりがちです。その場合、定例会議や日々の業務で積極的にツールを取り入れるのがおすすめです。ツールを開けば欲しい情報がすぐに入手できると従業員が認識すれば、積極的に活用してくれるでしょう。
共有する内容を決める
どんな内容を共有するか具体的に決定・明示することはノウハウ共有の成功に欠かせません。「営業の心構え」のような技術の伝達が難しいものは避け、「具体的な行動」や「客観的な事実・情報」を中心に共有しましょう。
- ●競合に関する情報
- ●取引先の営業・商談に関する記録、営業の進捗状況
- ●トラブル発生時の対処方法
- ●見積書送付後のフローなど、具体的なアプローチの手順
営業が共有すべき内容の例
ノウハウを共有できるツールを活用する
効果と業務効率を考えるなら、ノウハウを共有するためのツールが必要です。営業のノウハウ共有に役立つツールには、以下のものがあげられます。
- ●CRM:顧客との関係性や接点を記録・管理し、営業活動に活かすツール
- ●SFA:商談の進捗やタスク管理など営業プロセス全体を可視化・効率化
- ●社内Wiki:社内情報を共有・編集・蓄積できるWebベースの社内辞書
- ●ナレッジマネジメントツール:営業ノウハウや事例を蓄積・検索可能にするシステム
なお多くの企業が導入しているチャットツールでも、ノウハウの共有は可能です。しかし、簡易的な情報共有ツールであり、ナレッジとして蓄積する能力や検索性が劣ります。
そのため、ノウハウやナレッジを体系的に蓄積・活用したい企業には、ナレッジマネジメントツールの導入が有効です。検索性や構造化されたデータ管理、過去事例の再利用などに優れており、情報資産としての営業ナレッジを最大限に活かせます。以下のボタンからナレッジマネジメントツールの資料請求も可能です。
ナレッジ共有と営業ノウハウの違い
営業活動でのノウハウ共有と並んで注目されているのが、ナレッジ共有(ナレッジマネジメント)です。ノウハウは個人の経験や暗黙知にもとづく知識であるのに対し、ナレッジは組織内で形式知化された情報や事例、業務のベストプラクティスなども含みます。
両者は密接に関係しており、営業組織の成長にはノウハウとナレッジの両方を管理・活用していくことが重要です。営業チームでは、商談記録や顧客対応の事例、トラブル時の対応フローなどがナレッジとなり得ます。これらを社内ツールに蓄積し、検索や活用がしやすい形で整備することで、業務効率や営業成果の向上につながります。
ナレッジ共有のメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。
ノウハウ共有ツールの人気製品を紹介
ここからは、IT製品取扱数・カテゴリ数業界一のITトレンド編集部がおすすめする人気上位製品を紹介します。
| 製品名 | 対象従業員規模 | 提供形態 | 参考価格 | レビュー評価 | |
|---|---|---|---|---|---|
| QuickSolution | 全ての規模に対応 | パッケージソフト / オンプレミス / クラウド / SaaS | 1,500,000円 ~ | 4.3 | |
| アルファスコープ | - | クラウド / SaaS / ASP | - | 4.3 |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
QuickSolution
- [9年連続シェアNo.1] 発売から24年 5500サーバの導入実績
- 企業内に埋もれる情報の活用/共有の第一歩は検索から
- ChatGPTなど、生成AIとの連携(RAG対応)で社内情報に回答
2022年ITトレンド年間資料請求ランキング2位
住友電工情報システム株式会社が提供する「QuickSolution」は、高いシェア率を誇る、AI搭載の純国産企業内検索システムです。高速検索に対応しており、営業ノウハウだけでなく社内のビッグデータ検索や分析にも活用できます。また高いシェア率を誇り、誰でも直感的に操作できるため、ITツールに苦手意識をもつ従業員が多い企業にも適しています。
| 対象従業員規模 | すべての規模に対応 | 対象売上規模 | すべての規模に対応 |
| 提供形態 | パッケージソフト / オンプレミス / クラウド / SaaS | 参考価格 | 1,500,000円~ |
アルファスコープ
- クラウドサービスのため、自宅からでも瞬時にアクセス
- 社内の欲しい情報がすぐ手に入る豊富な検索機能
- 社員の利用状況まで見える化する充実の分析機能
2022年ITトレンド年間資料請求ランキング3位
「アルファスコープ」は、株式会社プラスアルファ・コンサルティング (東証マザーズ上場)提供のナレッジマネジメントツールです。クラウドサービスであるため、PCやスマホのブラウザから場所を問わず手軽に利用できます。検索手段が豊富なうえ、レコメンド機能により検索不要で探したい情報を見つけられます。
| 対象従業員規模 | すべての規模に対応 | 対象売上規模 | すべての規模に対応 |
| 提供形態 | クラウド / SaaS / ASP | 参考価格 | 月額100,000円~ |
そのほかのおすすめ製品は、こちらから特徴別に製品比較できます。
営業のノウハウ共有を進めるにあたっての注意点
営業スキルの高い従業員にノウハウの共有を強要してはいけません。従業員が不満を覚えることなく、ノウハウを共有できる体制づくりが重要です。そのためには、円滑なコミュニケーションや信頼関係の構築が欠かせません。これまでの成果を評価し、スキルアップのためにノウハウの共有が必要であることを理解してもらいましょう。また、評価制度やポイント制など、従業員が自らノウハウを発信したくなるような仕組みづくりも検討してみてください。
なおノウハウを発信する側だけでなく、受け取る側へのフォローも必要です。伝え方によっては、今までのやり方を否定されたように感じさせてしまい、プライドを傷けるかもしれません。ノウハウを活用することにどんなメリットがあるのか、丁寧に伝えていくとよいでしょう。
まとめ
営業のノウハウを社内で共有すると、業績向上が見込めます。しかし、ノウハウを共有しやすい体制が整っていなければ、運用は難しいでしょう。そこでツールを導入し、ルールを明確化するのがおすすめです。誰もがノウハウを共有しやすく、蓄積されたナレッジを活用できるよう心がけましょう。



