ワークフローの効率が悪い原因
ワークフローとは、業務手続きの一連の流れのことで、申請・稟議→承認→決裁までを指すのが一般的です。特に契約や人事などのワークフローでは、上層部の承認者が複数となる場合が多く、決裁までのフローが複雑化する傾向にあります。
ワークフローがスムーズに進めば意思決定を迅速化できますが、申請書や稟議書が紙であると効率が悪く、さまざまな問題が生じるでしょう。ワークフローの効率が悪い原因としては以下のような点が挙げられます。
- 印刷や検索、回覧に手間がかかる
- 申請内容に応じて定められたフォーマットを探し出し、印刷して承認者へ回付しなければなりません。申請に不慣れな人は、どのフォーマットを利用し、誰に書類を提出すればいいのかわからないケースもあります。
- 承認者の不在により決裁までに待ち時間が生じる
- 承認者が外回りや出張で社内にいない場合は、承認が停滞します。社内にいなければ業務フローが進まないため、テレワークにも対応できません。
- フローが定まっておらずミスや差戻しが多い
- 申請書のフォーマットや提出先の間違え、記入漏れや金額の計算ミスなどがあれば差戻しされます。差戻しがあればさらに決裁までに時間がかかります。
ワークフローを効率化する方法
ワークフローの非効率を改善するためにチェックすべきポイントや、役立つツールを紹介します。
既存のフローに無駄がないか見直す
業務の流れに問題があると効率化は望めません。特に複雑化しがちな承認経路は見直しが必要です。
申請者から決裁者に到るまでの流れにはいくつかのパターンがあります。パターンを洗い出し、それぞれ無意味な工程が生じていないか、どのステップで時間を要するのか、承認者の数は多すぎないかなどを確認してください。承認者の不在が多いのであれば、代理承認も検討してみましょう。
また、申請書のフォーマットに不要な項目がないか、ミスが生じやすい箇所がないかを確認しましょう。記入例や注意書きを載せておくとミスを最小限にできるかもしれません。申請内容に応じてフォーマットが異なり、種類が多い場合は、統一できないかを検討するのもおすすめです。
業務改善に有効なワークフローシステムを導入する
ワークフローシステムとは、業務手続きを効率化するシステムのことで、申請書や稟議書は電子化され、システム上で申請・承認・差戻しを行えます。申請フォーマットの作成・承認ルートの設定・進捗の可視化・決裁後の文書管理などの機能を搭載しています。
システムの導入により、ペーパーレスになるため書類の印刷や検索の手間がありません。申請内容に応じた承認ルートの事前設定により、自動で回付されます。申請内容にミスがあればアラートが表示され、回付前に修正できるため差戻しも減るでしょう。多くはスマホに対応しており、社外でも申請・承認・差戻しを進められます。無駄な待ち時間を解消でき、停滞部分への迅速な対処も可能です。
ITトレンドでは「複雑な承認フローに対応できる」「運用フローを大きく変えずにすむ」など、さまざまなニーズに応えられるワークフローシステムを紹介しているので、参考にしてください。
ワークフローシステムで業務を効率化した事例
実際にワークフローシステムを導入すると、どのような効果があるのでしょうか。業務改善につながった導入事例を2つ紹介します。
承認ルートや申請書の書式を標準化し、申請業務を適正化
公益財団法人岡山県環境保全事業団(廃棄物処理事業や環境調査・分析などの事業を展開)のワークフローの課題のひとつに、承認ルートや申請書の書式の不統一がありました。
課題解決のために、ワークフローシステム「X-point Cloud」を導入。フォーム作成や承認ルート設定の自由度が高く、不明瞭だった決裁者や承認ルートをシステム上で管理できるようになりました。内部統制が強化され、申請業務の効率化にもつながっています。
紙のワークフローからの脱却で1枚につき14分の削減
三菱商事パッケージング株式会社(包装資材の卸売業やサービスの開発)におけるワークフローの課題は、紙ベースゆえに時間と手間を要することでした。申請書の出力・回付・台帳管理・保管など業務負荷が大きく、効率の面でも打開策を模索していました。
そこで、Excelで作成した申請書を使って自社内で構築・運用できる「AppRemo」を導入。社外でも申請承認が可能なため営業活動が迅速化、申請データの蓄積やペーパーレス化も実現しました。申請書1枚あたり14分の削減効果をもたらし、社員の多くが便利さを実感しているそうです。
以下のページでは、ユーザーから問い合わせ(資料請求)が多いワークフローシステムや、ほかの導入事例も確認できます。詳細を知りたい製品は、ぜひ無料の資料請求を活用してください。
ワークフローシステム運用のポイント
ワークフローシステムを導入・運用するにあたり、気をつけるべきポイントについて解説します。
現場に適用できる製品を選定する
ワークフローシステムは製品によって機能や特徴が異なるため、現場に適したものを導入しなければうまく運用できません。ワークフロー機能を搭載したグループウェアや経費精算システムもありますが、多くは条件分岐の承認ルート設定ができません。必要な機能を満たしているか注意が必要です。
製品を選ぶ際は、まず現状の業務フローや使っている申請フォーマットを確認し、対応可能かを確認しましょう。申請フォーマットや承認ルートのカスタマイズに対応できるシステムがおすすめです。
セキュリティ対策を万全に行う
ワークフローシステムでは、購入や契約、人事などの稟議書も管理され、重要なデータが含まれる可能性もあります。ペーパーレス化により利便性が上がる反面、情報漏えいのリスクも高まります。漏えい内容によっては、企業に大きな損害が生じるかもしれません。
大半のワークフローシステムにはセキュリティ対策が施されていますが、使い方次第で対策も万全ではなくなります。特にシステムへログインするパスワードの管理や、端末管理は各社員が注意しなければなりません。情報セキュリティについての勉強会を行い、組織ぐるみでセキュリティ対策に取り組んでください。
ワークフローシステムで業務改善・効率化を実現!
申請・承認のワークフローが停滞しがちで意思決定までに時間がかかっているのであれば、改善が必要です。効率を上げるためには、既存のフローを見直して、ワークフローシステムを導入しましょう。申請書や稟議書の電子化・作業の一部自動化により、決裁までがスピーディーになります。なお、ワークフローシステムを選ぶ際は現場に適用できるかを確認し、セキュリティ対策を万全に行ってください。