大企業がワークフローで抱える課題とは
従業員数が多く組織形態も複雑な大企業では、ワークフローにおいて以下の4つの課題が存在します。
- ●承認フローが複雑になる
- ●人事異動の規模が大きくメンテナンスの負荷が高い
- ●独自の商習慣にあわせたカスタマイズが必要になる
- ●高いセキュリティレベルが求められる
承認フローが複雑になる
大企業は多層的で複雑な組織構造をもち、決裁には多数の部門や階層を経由します。子会社や関連会社との間での申請や承認プロセスも日常的に発生します。また、大規模なプロジェクトでは、同時に複数のルートで承認フローが進むケースもあるでしょう。そのため、ワークフローに設定すべき承認経路の数や承認者の人数が多く、複雑になりがちです。ワークフローが複雑化すれば、検証にも時間がかかります。
人事異動の規模が大きくメンテナンスの負荷が高い
組織改編や人事異動が定期的に発生する大企業では、ワークフローのメンテナンスに多くの時間を要します。組織図や職務権限にもとづいて承認ルートを設定するため、人事異動のたびに承認ルートの変更が必要になるからです。メンテナンスを正確かつ迅速に対応できるシステムでなければ、業務の遅延や誤りを引き起こす原因となります。
独自の商習慣にあわせたカスタマイズが必要になる
大企業は独自の商習慣をもつ場合が多く、ワークフローの基本機能のみでは機能が不十分なケースも少なくありません。また、グローバル展開している大企業では、さまざまな国や地域の法規制対応が求められます。自社の業務や商習慣にあわせてワークフローを運用するためには、多くの場合カスタマイズが必要です。
高いセキュリティレベルが求められる
大企業では、セキュリティポリシーが厳格に策定されています。ポリシーに則ったシステム運用を行うためには、データの暗号化やアクセス権管理などの高いセキュリティ対策が求められます。また、日々進化するサイバー攻撃から情報を守るために、常に最新のセキュリティ技術を取り入れてアップデートしていくことも重要です。
大企業がワークフローシステムをリプレイスすべきタイミング
現行のワークフローシステムでは課題の解決が難しい場合、システムのリプレイスが効果的です。ここでは、リプレイスを検討すべきタイミングについて具体的に解説します。
リプレイスのタイミング |
具体例 |
現行システムに不満がある |
●グループウェアのワークフロー機能を活用しているが、自由にレイアウトや承認フローを設定できないなど機能不足を感じている。 ●ワークフローシステムのサポートが終了し、バージョンアップを手動で行わなければならない。 ●画面が見づらく、動作も鈍くなってきている。 |
ワークフローシステムの用途を拡大したい |
●グループ会社を含めた承認経路を設定したいが、フローが複雑なため再現できない。 ●社内からしか申請・承認できないため、テレワークや出張先でも業務が行えるようにしたい。 ●経費精算システムのデータを連動させたいが、システム連携できない。 |
システム管理コストや工数を削減したい |
●毎月の利用コストやサポート費用が高額なため、少しでもコストを抑えたい。 ●組織変更や人事異動にともなうシステムのメンテナンスに、多くの時間がかかっている。 ●システムのカスタマイズが難しく、特定の従業員にしか対応できない。 |
また、上記以外にも現行システムの契約更新時や、減価償却期間の終了時も、リプレイスを検討すべきタイミングです。たとえ現行システムに不満がなくても、最新システムと比較することで、価格や性能、利便性にすぐれたシステムに出会えるかもしれません。また、リプレイスによって新たに減価償却費として会計処理できるため、節税対策としても効果的です。
大企業向けワークフローシステムの4つのタイプと選び方
大企業向けのワークフローシステムとは、大企業ならではの課題を解決できる高い性能をもつシステムです。この記事では、機能別に4つのタイプに分類して製品を紹介します。
- ●複雑な承認フローに強いタイプ
- ●メンテナンスに強いタイプ
- ●連携性にすぐれたタイプ
- ●高いセキュリティを備えたタイプ
それぞれ詳しく解説します。
複雑な承認フローに強いタイプ
ワークフローに多くの部門や承認者が関与し、承認ルート設定の柔軟性を重視したい大企業向けのシステムです。例えば、金額や申請内容によって承認経路が自動変動する「条件分岐」や、営業部や経理部など複数の承認者に同時にフローを回す「並列承認」などが可能です。
並列承認では、すべての承認者の承認を必要とする「AND承認」と、いずれかの承認者の承認のみで決裁を進められる「OR承認」を組み合わせるなど、さまざまなパターンに対応します。
また、複雑なワークフローを円滑に進めるためには、「事前通知」があると便利です。ワークフローの申請後、決裁者や関係者に事前に審議内容を周知することで、否認や差し戻しの発生を減らせます。
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メンテナンスに強いタイプ
定期的な組織編成や人事異動にともなうメンテンスの工数削減を重視したい大企業向けのシステムです。例えば、組織図のバージョン管理機能や予約機能があると便利です。
予約機能では、組織改正後のデータをあらかじめ登録・予約することで、組織改正日にデータが自動で移行されます。また、バージョン管理機能によって複数の組織図を登録できるため、年度末など人事異動や組織改編が多い時期に、システム管理業務が集中するのを防げます。
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連携性にすぐれたタイプ
自社開発の業務システムをはじめ、多様なソフトやアプリケーションとの連携性を重視したい大企業向けのシステムです。システム連携のしやすさは、公開されているAPIの種類に左右されます。APIが豊富であれば、例えば独自の商習慣や業務フローにあわせて自社開発した社内システムとの連携も容易です。
また、チャットアプリとの連携も便利です。決裁や差し戻しの通知がチャットで受け取れたり、ワークフロー申請や承認がチャットから行えたりします。利用中のチャットアプリと連携できれば、ワークフローの効率化や利便性向上が図れます。
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高いセキュリティを備えたタイプ
厳格なセキュリティ対策によって、情報漏えいやデータ改ざんなどのリスク低減を重視したい大企業向けのシステムです。例えば、誰が・いつ・どのデータにアクセスしたかを正確に把握できる「証跡管理」や、IPアドレスや2段階認証などによる「アクセス制御」は不可欠です。
また、細かな権限設定も重要です。人や文書、ページ単位で閲覧制限できれば、意図しない情報流出を防げます。さらに、情報セキュリティシステムの国際標準規格「ISO 27001(ISMS)認証」を取得済みのワークフローシステムなら、高い安全性が保持されます。
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【比較表】大企業向けのワークフローシステムランキング
ITトレンドおすすめのワークフローシステムを上半期ランキング順に比較表にまとめました。左から順に人気製品を紹介しているので、各製品の機能や特徴を比べてみてください。
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▶複雑な承認フローに強い大企業向けワークフローシステム
まずは、承認ルートや承認者設定の柔軟性が高いワークフローシステムを紹介します。
《コラボフロー》のPOINT
- お使いのExcelを申請フォームとしてそのまま電子化、導入が簡単
- 誰にとっても「使いやすく、わかりやすい」操作性。
- 10期連続 顧客満足度No.1獲得!安心の高機能ワークフローシステム
複数の承認者のうち、1/2や1/3以上が承認したら次のステップへ進む議決承認や、申請内容の数値・文字列・日付などによる複雑な条件分岐が可能です。承認者が追記したコメントを判別して、承認者を追加したり分岐を変更したりできる自動判別機能も搭載されています。
《楽々WorkflowII》のPOINT
- ノーコードでかんたん、かつ豊富な機能で、柔軟に経路設定
- 統一基盤として利用もできる汎用ワークフローシステム
- 蓄積したデータを可視化・活用、業務改善にもつながる
申請フォームの作成方法は、データ項目設定による自動生成やExcelシートのアップロードなど、自社にあったやり方が選べます。また、自動経路選択や代理申請・代理承認、事前通知・検討指示(根回し)などの多様な機能によって、複雑な決裁ルートの設計も容易に行えます。
《Hi-PerBT ワークフロー》のPOINT
- ペーパレス化実現で、テレワークや在宅勤務にも最適!
- 時間短縮・コスト削減!スマホやタブレットでも利用可能!
- 帳票サンプルが50種類以上もあるのでカンタン!
旅費の仮払いと精算などに役立つ引き継ぎ申請(承認フロー完了後に別のフローを起動)や、承認依頼をほかのユーザーへ振り替える申請など、多彩な機能が特徴です。Excelで作成した帳票を取り込めるほか、52種類の総務系帳票サンプルも利用できます。
▶メンテナンスに強い大企業向けワークフローシステム
ここでは、人事異動や入退社、組織改編にともなうシステム変更が容易なワークフローシステムを紹介します。
《Create!Webフロー》のPOINT
- 紙イメージの申請フォーム、迷わず操作できる画面デザイン
- 構築・メンテナンスも簡単で、複雑な承認フローにも対応
- 各種システムと連携して業務全体を効率化
ドラッグ&ドロップの簡単操作で、組織変更や人事異動の設定が完了します。また、ルート設定も容易で、申請者・承認者・決裁者を線でつなぐだけで完成します。クラウド型とパッケージ型から、自社のシステム環境にあわせて選択可能です。
▶連携性にすぐれた大企業向けワークフローシステム
APIが豊富で、外部システムやアプリケーションとの連携性に強みをもつワークフローシステムを紹介します。
《ジョブカンワークフロー》のPOINT
- 社内のあらゆる申請に対応!スマホからも申請・承認可能!
- クラウドサインと連携!社内・社外とのやり取りもペーパーレス化
- 中小から大企業、自治体に至るまで幅広い導入実績多数あり!
GoogleアカウントやGoogle Workspace、Amazonビジネス、チャットアプリなどとの連携が可能です。英語・韓国語・タイ語の外国語表示や、メール・チャット・スマホへの通知機能も行えます。月額300円(1ユーザー)からの低価格も特徴です。
《kickflow》のPOINT
- 直感的なUIUX・優れた操作感
- 複雑な組織図 / 組織改編に強い
- SlackやTeamsとの強固な連携
豊富なAPIを搭載し、外部システムからワークフローのデータ操作が可能です。また、導入前後の手厚い支援も特徴です。システム移行の助言やリプレイスの進め方まで、細かくレクチャーを受けられます。なお、対象従業員規模は5,000名未満です。
《Styleflow》のPOINT
- オプション費用一切なし!充実の高機能のすべてを月額300円で
- 進化するワークフロー!お客様に寄り添って成長するサービスです
- 見た目そのまま!既存のExcel/Wordを申請フォームにカンタン変換
Microsoft365・Google Workspaceのほか、チャットツールや電子契約サービスなど、さまざまなクラウドサービスと連携できます。また、ExcelやWordの申請フォームを取り込み、Web上でそのまま活用可能です。月額費用は1ユーザー300円です。
《J’s X(ジェイズクロス)》のPOINT
- 豊富な導入実績とノウハウで、最適なテンプレートを提供
- 業務設計はじめ、導入・運用イメージまでシームレスに連携
- 企業・各業界毎で必要不可欠となる機能を提案し標準化を実現
対象従業員規模1,000名以上の大企業向けシステムです。業界別のテンプレートが用意されており、食品・飲料・組立製造・医薬・公共自治体などへの導入実績があります。また、既存の自社システムとの連携を重視した導入コンサルも依頼できます。
▶高いセキュリティを備えた大企業向けワークフローシステム
豊富なセキュリティ機能が特徴のワークフローシステムを紹介します。
《SmartDB》のPOINT
- ノーコードで業務部門でも開発できます
- 豊富な標準機能で幅広い業務をデジタル化できます
- 大企業ならではの複雑なワークフロー/権限制御に対応できます
所属組織や役職による編集権限・閲覧権限の設定ほか、文書内容によるページ単位での表示制御が可能です。また、24時間365日動作監視が行われ、監査ログは5年間保存されます。大手金融機関での採用実績をもつ高いセキュリティが特徴です。
《ジンジャーワークフロー》のPOINT
- 人事・経理部の社内申請業務の効率化やペーパーレス化を促進
- 多様な承認経路に対応し、運用方法に合わせてカスタマイズが可能
- 直観的に操作ができるのでシステムが苦手な方でも簡単に使える
IPアドレス制限やワンタイムパスワード機能を搭載し、ISMS認証も取得済みです。システムの初期設定から定着まで支援するサポートプランが用意されており、電話・チャット・Webから自社に適したサポート方法が選べます。
なお、より多くのワークフローシステムから製品選定したい方は、以下の記事もぜひご覧ください。
まとめ
大企業のワークフローは非常に複雑です。「現行システムに不満がある」「ワークフローの用途を拡大したい」「システム管理コストや工数を削減したい」などの場合には、ワークフローシステムのリプレイスを検討しましょう。
なお、大企業向けのワークフローシステムにはそれぞれ特徴があります。自社にあうシステムを見つけるためには、ワークフローシステムの資料請求をして、製品情報を比較・検討することが重要です。下のボタンより資料請求(無料)が可能なため、ぜひご利用ください。