稟議書とは
稟議書とは、自身の裁量・権限で決定できない事項について、上層部からの承認を得るための書類です。起案書、立案書と呼ばれることもあります。稟議書には提案する内容が記載され、それを複数の上層部が回覧して承認を得るというフローです。
稟議書が使われるシーン
主に、事務用品や備品の購入、外部企業との契約、システムやサービスの導入、人事採用、出張申請などで稟議書が利用されます。実行にあたって費用が発生する場合に、稟議が必要とされることが多いようです。
なお、稟議書は日本特有の企業文化であり、海外では意思決定のスピードが重視されるのであまり採用されません。日本では、業務へのかかわりが薄い人も含め、多くの関係者の承認を必要とするので、稟議制度が無駄で面倒な作業だと思われがちなのです。
稟議と決裁の違い
稟議と似た用語として「決裁」が挙げられます。決裁とは、ひとりの決裁者が提案の可否を決定することです。対して、稟議は権限をもつ複数の関係者から承認を得ることです。複数人が承認した稟議書でも、最終判断を下す決裁者が承認しなければ稟議は通りません。
このように2つの用語の違いは明確ですが、企業によっては稟議はせずに決裁のみを行うケースもあります。ほかにも、部門をまたいで稟議と決裁が行われるケースなど、規模や業務内容に応じてやり方はさまざまです。
稟議書の必要性
先述したとおり、稟議書を複数人に回覧して全員の承認を得なければならず、決裁までには時間がかかることもしばしばです。それでも稟議書が廃止されないのは、合議制による意思決定を行ってきた日本企業の慣習が背景にあるでしょう。
稟議書は業界を問わず、プロジェクトの実施、予算の承認、資産の取得、人事の決定など、多くの場面で使用されます。稟議書を正確かつ効率的に管理することは組織にとって不可欠です。稟議書が不適切に扱われたり、適切に承認されなかったりすると、企業の運営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
ほかにも稟議書が必要とされる理由があるので詳しく解説します。
事前にとった合意や調整についての再確認
稟議書を提出する前に、すでに提案書を見せている、またはすでに計画が決まっているケースも少なくありません。いわゆる、根回しを関係各所に行っていることでしょう。いきなり提案されるよりは事前に内容を伝えているほうが、提案に至った経緯などが明瞭で承認されやすくなるのです。
つまり、稟議書は提示した提案や計画について、すでに得た合意を再確認する行為だといえます。組織内での認識のすれ違いや失念を防止し、計画通りに物事が進んでいるかを確認するための書類だと考えましょう。
会議を開催する手間を省略
上層部の合意を得るためには、提案内容をプレゼンしなければならず、会議を開く必要があります。しかし、複数の関係者を集めて会議を開くにあたり、全員のスケジュール調整、会議室の確保など多くの手間がかかるでしょう。稟議書はその手間を省くための書類でもあります。会議を開くことなく、稟議書を通して関係者の総意を確認できます。
稟議書の書き方
稟議書はどのように書けばよいのでしょうか。2つのポイントを見ていきましょう。
例文やフォーマットを利用する
まず、フォーマットを用意しましょう。会社や部署によって定まっている、また慣例的に使われている様式があれば、それを用いましょう。承認者も見慣れたフォーマットのほうが読み進めやすく、スムーズに承認を得られるはずです。
必要な項目の抜け漏れがないように書く
稟議書に必要な項目は提案内容によって異なります。物品の購入やサービスの導入、接待、雇用契約など、それぞれ必要な情報を記入しましょう。ただし、どのようなケースでも共通して必要になる項目もあります。
以下の4つは最低限記載するようにしましょう。
タイトル
タイトルには、どのような用件で何が必要なのかを簡潔に記入しましょう。「クラウド会計ソフトの導入について」「社内忘年会の費用について」などタイトルを一目見ただけで内容がわかるように記載します。どの部門の人が見ても通じるよう、自部門内での専門用語や略称は避け、共通言語で書くことを意識しましょう。
目的
例えば購入稟議であれば「新規店舗における棚卸業務効率化のため」「X社との取引のため」など、できるだけ具体的に目的を書きましょう。
用途の説明
その物品がなぜ必要なのか、新たに契約を結ぶことでどのようなメリットがあるのか、接待により見込める効果など、承認者を納得させる説明を書きます。具体的なデータやリスクファクターへの対策などを記載し、承認者が安心して承認できる内容を心がけましょう。
使用金額
金額も必ず記載しましょう。稟議書を提出した段階では不明な点もあるかもしれませんが、できるだけ具体的な予算を上げておくと承認されやすくなるでしょう。費用の変動が予想される場合にはその旨も記載しておくことで、後々のトラブルを回避できます。
稟議書の書き方について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
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スムーズに承認を得るためのポイント
必ずしも稟議が通るとは限りません。せっかく書いた稟議書が通らなければ、時間の無駄になったと感じてしまうでしょう。できる限り効率よく稟議業務をこなすために、承認をスムーズに得るためのポイントを紹介します。
承認に必要な情報を収集する
承認者を説得には十分な情報や根拠が必要となります。コストが3%カットできる、業務に必要な日数が2日短縮できるなど、数値で示せる情報であれば、より説得力が高まるでしょう。見積書などがあるなら稟議書に添付して提出するのもおすすめです。
情報の収集・発信を通して信頼関係をつくる
稟議書が承認されるかどうかは、関係各所との信頼関係が鍵となります。日ごろから提案内容の重要性や正当性を主張し、賛同者を増やすために積極的に主張や情報発信をしましょう。「この人の提案ならいい加減な内容ではないだろう」と思ってもらうことが大切です。
ワークフローシステムの導入メリット
システムを使わずに現在のフローを効率よく行うには、上述してきたポイントを社員一人ひとりが押さえられるよう、ナレッジ共有などが必要でしょう。
ワークフローシステムは、作成と承認プロセスを劇的に改善させ、電子化により紙の文書を扱う手間が省かれ、文書の紛失の心配もありません。さらに、リアルタイムのトラッキングが可能なため、どの段階においても進捗状況を把握できます。承認者の意見を素早く収集し、迅速な決定をサポートします。これにより、プロジェクトの停滞や遅延を最小限に抑え、組織の生産性向上につながるでしょう。ほかにも以下のようなことができます。
- ・承認者への通知
- ・承認の記録
- ・稟議のフェーズ可視化
- ・締め切りの管理
- ・アクセス権限の制御
また、ワークフローシステムの導入メリットは、活用範囲の広さも挙げられます。さまざまな役割で得られるメリットを紹介します。
- ■経営幹部
- 経営幹部は組織全体の戦略的な意思決定を行います。ワークフローシステムにより、重要なプロジェクトや投資に関する承認プロセスを迅速化し、組織の成果を最大化できます。
- ■財務担当者
- 財務担当者は予算と資金の管理を行います。ワークフローシステムは予算の承認プロセスを改善し、予算の効果的な運用を支援します。
- ■人事担当者
- 人事担当者は採用、昇進、給与変更などの人事決定を行います。ワークフローシステムは人事プロセスの効率化に貢献し、人材の管理をスムーズにします。
- ■プロジェクトマネージャー
- プロジェクトマネージャーはプロジェクトの計画・実施・監視・制御を担当します。ワークフローシステムはプロジェクトの承認プロセスを合理化し、プロジェクトのスケジュールを守るのに役立ちます。
ワークフローシステムの導入メリットをもっとよく知りたい方は、以下の記事でさらに詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
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稟議書は物品の購入やサービスの導入などについて、上層部の総意を得るための書類です。提案の実行によって会社に利益があることを承認者に理解させることができなければ、スタートラインに立つことができません。
稟議書の重要性とワークフローシステムの導入メリットを理解し、最適なシステムを選定するには複数の製品を比較するとよいでしょう。具体的な製品をまず見てから資料請求をしたい方は、以下の記事からも可能です。社内稟議に便利な比較表作成特典もあるので、ぜひ活用ください。
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