
ペーパーレス化に伴う課題
申請書や稟議書のペーパーレス化を検討する背景には、印刷やファイリングに手間・コストがかかること、保管スペースも必要であること、紛失のリスクなどが挙げられるでしょう。ペーパーレス化すれば、印刷代の節約、保管スペースの一掃、検索性の向上などのメリットがある反面、課題が2つあります。
1つめの課題は「コスト」です。ペーパーレス化にはシステムが必要であり、導入コストがかかります。大企業なら申請書の数は膨大で、高い費用対効果が期待できますが、中小企業では大企業ほど多くの申請書を発行しないでしょう。費用対効果を感じないまま、導入コストの回収に時間がかかり、システムが陳腐化するかもしれません。
2つめの課題として「電子化の手間」が挙げられます。新規発行する書類は最初から電子データで作ればよいですが、既存の紙文書はスキャナで電子化する必要があります。
ワークフローシステムの重要性
ペーパーレス化に伴うコストや既存文書の電子化の手間といった課題がありますが、このまま紙文書で申請業務を行っているとさまざまな不都合が生じます。
例えば、どの申請書を使うか・どこに書類を提出するかわからない場合や、上司の不在により承認が得られない場合は、ワークフローが停滞し、決裁までに時間がかかります。意思決定の遅れはビジネスチャンスを逃し、企業にとって大きな痛手になるかもしれません。
ワークフローシステムなら、業務手続きを電子化し、申請・承認の作業を効率化できます。申請者は紙の申請書を使わず、システム上のフォーマットに必要事項を打ち込みます。Excelなどで作った既存のフォーマットをそのままシステムに反映させたり、テンプレートの項目をカスタマイズしたりすることも可能です。申請内容に応じて提出先は自動的に判別されます。承認者はスマートフォンで承認ができ、出先でも問題ありません。最終的に文書はシステム上に保存されるので、保管スペースの確保やファイリングの手間をなくせます。
ワークフローシステムの導入にコストはかかるものの、これ以上紙文書が増えることはなく、ペーパーレス化のメリットを最大限に享受できます。また、最近はクラウド型のシステムが増えており、初期費用が無料の製品や、1ユーザーあたり月額300円程度の製品があるので、中小企業でも導入しやすいでしょう。
ワークフローシステムを導入するメリット
ではシステム導入により、どんなメリットがあるのでしょうか。ここでは、4つのメリットを見ていきます。
申請・承認の作業を効率化できる
ワークフローシステムであればシステム上で申請内容を入力し、承認ボタンを押すだけなので、余計な作業がなく効率的です。外出先でも申請・承認が可能で、差し戻しがあってもすぐに修正して再申請できます。
また、人事システムと連携すると、人事異動の稟議の際に社員データを流用して申請内容の入力を省けたり、会計ソフトと連携すれば決裁後の処理を引き継げたり、より業務効率が上がるでしょう。
さらに、進捗状況の可視化によりワークフローの停滞を防止します。どこで申請業務が停まっているのか明確になり、ピンポイントで指摘できるでしょう。
柔軟な働き方に対応できる
ペーパーレス化が進まないと、サテライトオフィス勤務やテレワークなど、多様な働き方を推進することは難しいでしょう。紙文書でのやり取りが発生する場合、社員は出社する必要があるからです。
ワークフローシステムならWeb上で申請・承認ができるため、出社しなくても手続きを進められます。申請書を郵送する手間も省けます。社員が個々の机を持たないフリーアドレスの導入を検討している企業においても、ワークフローシステムは最適なツールだといえるでしょう。
文書管理の負担を削減できる
紙文書のままだとファイリングする必要があり、保管期限を過ぎたものは破棄しなければいけません。各部署で異なる書式で運用している場合は、文書管理がより面倒になります。
ワークフローシステムは、文書管理の負担削減につながります。文書は電子化され、ファイリングは不要です。保管期間に応じて文書は自動的に破棄されます。書式変更もリアルタイムで反映され、全社で書式を統一できます。
セキュリティ、内部統制を強化できる
紙文書は決裁までの間に複数人の手に渡るため、紛失・盗難リスクが高く、第三者へ情報が漏れたり簡単に文書の改ざんが行われたりするおそれがあります。
ワークフローシステムでは文書はすべて電子化され、申請から決裁までのフローを一元管理します。フローや証跡の可視化により、情報漏えいや文書の改ざんを防止でき、コンプライアンス強化につながるでしょう。
さらに、文書にパスワードを設定して閲覧者を制限すれば、より強度なセキュリティを担保できます。過去の決裁データはシステム上にすべて保管され、検索がしやすく、紛失の心配もありません。内部統制の監査の際に、必要なデータを簡単に取り出せるのもメリットです。
ワークフローシステムでペーパーレス化を実現しよう
ペーパーレス化は、システムのコストと既存文書の電子化が課題になりますが、申請書が紙のままだとワークフローが停滞し、意思決定の遅れによりビジネスチャンスを逃すことがあります。
クラウド型のワークフローシステムなら導入・運用コストを抑えられるうえ、簡単にペーパーレス化を進められて、申請・承認作業、文書管理の効率化が可能です。フリーアドレスやテレワークへの対応、内部統制の強化にも効果的ですので、ぜひ導入を検討してみましょう。
