ワークフローシステムの歴史
昨今の企業では必要不可欠になっているワークフローシステム。実はワークフローという言葉は、第一次世界大戦頃に誕生し、製造効率や生産性の向上は昔から求められていたのです。ここからはワークフローシステムの歴史をたどっていきましょう。
以下の表では、ワークフローシステムの誕生から現在に至るまでの技術進展や関連制度の変化を、年代ごとにまとめています。
| 年代 | 主な出来事・技術進展 |
|---|---|
| 1910〜1920年代 | 「ワークフロー(workflow)」という概念が生産管理領域で登場 |
| 1990年代 | Lotus Notesなどグループウェアにより、電子稟議の仕組みが一部で運用され始める |
| 2000年前後 | パソコンの一人一台化によりワークフローシステムが企業内で普及 |
| 2008年 | J-SOX法(内部統制報告制度)の適用により、システムによる申請ルート管理が急拡大 |
| 2010年代 | クラウド型ワークフローシステムが登場。モバイル対応やSaaS活用が進む |
| 2020年代 | テレワーク拡大によりクラウド型が主流に。ノーコード・API連携・AI活用などの機能も進化 |
それでは、上記の流れに沿ってワークフローシステムの進化を、各時代ごとに詳しく見ていきましょう。
1.システムの誕生
これまで企業では、交通費精算や経費処理、受発注処理、休暇申請などの申請・稟議決裁業務は、紙の書類を使って進めていました。例として、仮払申請を紙で行う場合で説明しましょう。
まず申請書を印刷して必要事項を記入し、上司の机上の「未決」ボックスに入れます。次に、上司が未決ボックスから各種申請書を確認し、ハンコを押して「既決」ボックスに移します。すると事務担当が既決ボックスから仮払申請書を経理担当に持ち運び、経理担当は内容に従って、仮払金を申請者に支払い、手続き完了です。これが申請・承認での一連の流れでした。
こうした申請・承認フローをコンピュータで電子化したのが、ワークフローシステムです。ペーパーレスになることで印刷代などのコストを削減し、システム上でやり取りするので業務フローが統一され、一連の流れがスムーズになるといった効果が期待できます。
なお、ワークフローシステムが一般化したのは、2000年前後です。背景には、パソコンが一人一台に普及したことがありました。ワークフローシステムのようなツールは全員がパソコンを持っていなければ成り立ちません。オフィスで一人ひとりがパソコンを使えるようになったので、ワークフローシステムの普及に弾みがついたのです。
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2.内部統制の支援
ワークフローシステムは、申請業務を効率化するだけでなく、企業の管理体制やコンプライアンス強化にも貢献してきました。その代表的な活用例が、内部統制の支援です。
実は、ワークフローシステムの誕生前から、「BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)」や「BPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)」といった考え方が普及しており、業務フローの最適化や標準化が経営課題として注目されていました。
そうしたなかで、2008年から適用されたJ-SOX法(内部統制報告制度)は、企業にさらなる制度対応を求めるきっかけとなりました。上場企業およびグループ企業は、財務諸表の正確性を保証するため、社内の業務ルールや承認フローを整備・見直す必要に迫られたのです。
例えば、「高額取引には複数承認が必要」「品質検査と製造工程を分ける」など、業務ごとに適切な統制プロセスを設ける必要があります。こうしたルールを徹底するために、申請フローを仕組みで管理できるワークフローシステムが有効でした。
具体的には、事前に設定した承認ルートに沿って自動的に回付されるため、不正なルートで決裁される心配がなくなります。加えて、「誰が・いつ・何をしたか」といった証跡をログとして残せるため、監査やトレーサビリティにも対応可能です。内部統制強化に向けたワークフローシステムの導入は、ガバナンスと業務の両立を図る上でも重要な一手となるでしょう。
参考:金融商品取引法|e-Gov 法令検索
参考:事務局資料(内部統制報告制度について)|金融庁
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3.クラウドとモバイルの活用
インターネットの普及に伴い、2010年代にはクラウド型のシステムが広く利用されるようになりました。ワークフローシステムは早くからクラウド化され、低コストと導入期間の短さから注目されていたのです。
同じ頃、スマートフォンやタブレットなどのモバイル機器が普及していました。モバイル機器はクラウド型ワークフローシステムと相性がよく、場所を問わずいつでもどこからでも申請や承認、決裁が可能です。電車での移動中や出張中でも稟議書と資料を確認して承認できるので、決裁までのスピードが上がります。意思決定の迅速化、生産性の向上につながり、企業の成長も加速させるでしょう。
こうした効果により、ワークフローシステムを導入する企業は増え続けています。特に近年は、テレワークやハイブリッドワークといった柔軟な働き方が定着しつつあり、場所を問わず業務手続きを進められるワークフローシステムの重要性がさらに高まっています。
「コストを抑えて導入したい」「テレワークでも活用できる製品を探している」という方は、クラウド型ワークフローシステムの比較記事も参考になります。導入の候補選定にぜひお役立てください。
4.ノーコード・生成AIなど最新の進化
クラウド化やモバイル対応によって柔軟な働き方を支える基盤が整った一方で、近年はさらなる技術進化がワークフローシステムに取り入れられています。その代表的なものが「ノーコード・ローコード対応」と「生成AIとの連携」です。
ノーコード・ローコード対応の製品では、プログラミング知識がなくても申請フォームの設計や承認ルートの設定が行えるため、現場部門が自律的に業務改善に取り組めるようになります。これにより、システム部門の工数削減にもつながります。
さらに注目されているのが、生成AIとの連携です。申請履歴をもとに最適な承認ルートを提案したり、必要な添付資料の有無をチェックしたりといった支援機能が実装されつつあります。今後は、ナレッジの自動蓄積や稟議文書の草案作成なども期待されています。
このように、ワークフローシステムは従来の「電子化ツール」から、「業務を高度化・最適化する戦略ツール」へと進化しています。特に生成AIやノーコードといった最新技術は、今後の業務DXに欠かせない要素といえるでしょう。
ワークフローシステムで業務フローを効率化しよう
これまで紙で行われていた申請・承認・決裁の業務は、ワークフローシステムの登場と進化により、大きく効率化されてきました。導入初期の電子化から始まり、内部統制の支援、クラウド・モバイル対応、さらにノーコードや生成AIの活用といった最先端の技術まで、企業の業務改革を支える重要な存在となっています。
特にクラウド型ワークフローシステムは、テレワークやモバイルワークといった多様な働き方にも柔軟に対応でき、承認スピードの向上やコンプライアンス強化にも貢献します。
自社にあった製品を選ぶことで、業務全体の最適化と内部統制の強化が図れるでしょう。製品選定に迷った方は、ぜひ以下からまとめて資料請求して、各システムの機能や特徴を比較してみてください。



