ワークフローシステムのレビューシェアランキング
ITトレンドでは、掲載製品に寄せられたユーザーレビュー件数をもとに、カテゴリ内でどの製品がどれくらい評価されているかを「レビューシェア」として可視化しています。
ここでのシェアはあくまでITトレンド上に投稿されたレビュー件数の構成比であり、市場全体の売上シェアや導入社数そのものを示すものではありませんが、「どの製品が実際に使われ、評価されているか」を把握するうえでの有力な指標になります。
レビューシェアTOP5一覧
今回のTOP5は、ワークフロー機能を備えたグループウェア(「サイボウズ Office」)、操作性を重視した中小企業向けクラウド型システム(「ジョブカンワークフロー」、「X-point Cloud」)、カスタマイズ性や拡張性を強みとする大企業向けシステム(「楽々WorkflowII」、「intra-mart ワークフロー」)と、用途や対象規模がはっきり分かれている点が特徴です。
| 順位 | 製品名 | レビュー件数・シェア | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 1位 | サイボウズ Office | 861件(39%) | グループウェア機能が充実。中小企業を中心に“日常業務と一体で使えるワークフロー”として評価 |
| 2位 | ジョブカンワークフロー | 172件(8%) | シンプルな操作性と低コストが魅力。中小企業の導入が多く、スマホ承認の使いやすさが強み |
| 3位 | intra-mart ワークフロー | 117件(5%) | 大企業向けの高度なカスタマイズ性。複雑な承認フローやシステム連携に強い |
| 4位 | 楽々WorkflowII | 100件(5%) | 大規模運用に適した拡張性。内部統制強化・多言語対応など企業基盤として採用されやすい |
| 5位 | X-point Cloud | 92件(4%) | “紙の帳票に近い画面”で使えるUIが人気。ノーコードでフォーム作成がしやすい |
検討企業の関心が高いのはどの製品?【ランキング編】
レビューシェアが“導入企業による評価”を示す指標だとすれば、資料請求ランキングは「これから導入したい」と検討している企業の関心度を表す指標です。
ITトレンド上半期ランキング2025(ワークフローシステム部門)では、1位が「ジョブカンワークフロー」、2位が「JUST.DB」、3位が「コラボフロー」、4位が「Create!Webフロー」、5位が「楽々WorkflowII」という結果でした。
レビューとランキングを掛け合わせると見えること
レビューと資料請求ランキングをあわせて見ると、ワークフローシステム市場の“いま”が立体的に見えてきます。
- ●レビューの多さ = 「実際に導入され、現場で評価されている製品」
- ●ランキング上位 = 「今まさに比較・検討されている注目製品」
- ●両方が強い製品 = 「導入済み企業からも、これから導入したい企業からも選ばれている中核システム」
例えば、「サイボウズ Office」はレビューシェアで圧倒的な1位となっており、「グループウェアとして広く浸透し、日常業務の中でワークフローも活用されている」ことがうかがえます。一方、「ジョブカンワークフロー」や「楽々WorkflowII」は、レビュー数・ランキングともに上位に位置しており、2025年時点のワークフロー市場をリードする有力候補と言えるポジションにあります。
また、「コラボフロー」や「JUST.DB」のように、Excelやノーコード開発に強みを持つ製品がランキング上位に入っている点からは、「既存の帳票や業務フローを大きく変えずにDXを進めたい」という企業側のニーズの高まりも見て取れます。
このように、「レビュー=導入実績・満足度」「ランキング=検討中の注目度」として両方のデータを見比べることで、候補製品が「安心して導入できる成熟システム」なのか、「これから伸びそうな新しい選択肢」なのかを判断しやすくなります。
レビューシェアから見えるワークフローシステム選定の3つの傾向
レビューシェア上位の顔ぶれを分析すると、ワークフローシステムがどのように選ばれているか、以下の3つの傾向が見えてきます。
- 1. グループウェア型と専用ワークフロー型の利用目的が明確に分かれている
「サイボウズ Office」のように社内コミュニケーションと一体運用したい企業と、「ジョブカンワークフロー」や「X-point Cloud」のように稟議・承認業務の効率化を優先したい企業とでニーズが分かれる傾向があります。 - 2. 上位シェアは「使いやすさ×低コスト」を重視する企業が牽引
クラウド型でUIがわかりやすい製品がレビューを集めています。特に「ジョブカンワークフロー」や「X-point Cloud」は、“初めてワークフローを導入する企業”の支持が厚いのが特徴です。 - 3. 大企業ではカスタマイズ性・連携性が選定の決め手
「楽々WorkflowII」や「intra-mart ワークフロー」のように、大規模運用や他システムとの連携を前提とした製品が高く評価されています。
シェア上位のワークフロー製品はどれを選ぶ?タイプ別のおすすめ
レビューシェア上位の主要製品を中心に、「どのタイプの企業に向いているか」を整理しました。自社の利用シーンと照らし合わせて候補選びにご活用ください。
■グループウェアも含めて“社内基盤”をまとめて整えたい企業
- ●スケジュール・掲示板・ファイル共有など日常業務も一体で効率化したい
- ●まずは「社内ポータル+基本的なワークフロー」から始めたい中小〜中堅企業
- ●紙・メール運用から段階的に脱却したい企業
■中小〜中堅企業で、コスパと操作性を重視したい企業
- ●“まずは稟議・経費精算から”段階的にワークフロー化したい企業
- ●スマホ承認やチャット連携など、テレワークと相性の良い機能を重視
- ●初めてのワークフロー導入で、現場が迷わないUIを求める企業
■大企業・グループ企業で、複雑なフローや統制強化が必須の企業
例:楽々WorkflowII、intra-mart ワークフロー
- ●分岐・合議・多数決など複雑な承認ルートを柔軟に設定したい企業
- ●会計・ERP・人事システムなど既存システムとの連携を前提にしている企業
- ●将来の組織改編やグループ統合も見据えて拡張性を重視したい企業
レビューシェアを見るときの注意点
レビューシェアは便利な指標である一方、使い方を誤ると判断を誤るおそれもあります。チェックの際は、次のポイントに注意しましょう。
- ●「レビューが少ない = 悪い製品」とは限らない
新しい製品や特定業種向けの製品は、利用企業の母数が限られるためレビュー件数が伸びにくい場合があります。JUST.DBのように、ランキングでは注目されつつレビュー件数はこれから、というケースもあります。 - ●ターゲットや用途が違う製品同士を単純比較しない
グループウェア型と専用ワークフロー型、大企業向けと中小企業向けなど、ターゲットが異なる製品のレビュー数をそのまま比較しても意味が変わってきます。自社の規模・業種・用途が近い製品同士で比較することが大切です。 - ●バージョンアップや料金改定など、最新情報も確認する
レビュー投稿時点と現在で機能・UI・料金体系が変わっている場合もあります。レビューコメントは参考にしつつ、最新情報は製品ページや資料で必ず確認しましょう。
シェア上位だけでなく、自社に合う候補を比較検討しよう
レビューシェアやランキング上位の製品は、多くの企業が導入・検討している“失敗しにくい選択肢”と言えます。しかし、ワークフローシステムは企業の規模・業種・既存システム構成によって最適解が大きく変わる領域でもあります。
まずは本記事で紹介したようなレビューシェア上位・ランキング上位の製品を「第一候補」として押さえつつ、以下のような条件を整理しましょう。
- ●自社の承認フローの複雑さ・将来の拡張予定
- ●既存のグループウェア・会計/人事システムとの連携要件
- ●ユーザー数や予算感、導入スケジュール
そのうえで、複数製品の資料・トライアルを比較することが重要です。レビューやランキングは「最初のあたりをつける材料」として活用しつつ、最終的には自社要件にどれだけフィットするかを軸に選定を進めていきましょう。


