人事評価に対する不満の理由とは
従業員が自社の人事評価に対して抱く不満には、大きく分けて評価制度自体への不満と評価者への不満があります。従業員の不満へ適切に対処するためにも、不満の理由を知っておきましょう。
評価基準が不明確
人事評価への不満で一番多いのが「評価基準が曖昧で、自分の人事評価に納得がいかない」という意見です。評価基準が公開されていなかったり、そもそも明確に決められていなかったりすると不満が出やすくなります。
営業職のように、個人の成果が目に見えてわかりやすい職種は比較的評価が容易です。しかし、バックオフィスや事務職などのチームで行う作業や結果がすぐに出ないような職種の場合は、評価を下すのが難しいでしょう。さらに、今の日本の人事評価は成果主義が中心で、目に見える評価を重視しがちです。
評価が不公平
「上司の好き嫌い(主観)が評価に反映されている」「評価者によって結果が違う」など、評価結果に不公平感を感じる場合も多くあります。これは、被評価者の業務内容や成果をどの程度理解しているかといった、評価者の知識の差などから生じます。さらに、評価者と従業員との関係性の問題や評価基準が不明確なことも原因です。
また、人事評価業務では客観的で公正な評価が求められるものの、評価者が人間である以上、バイアスによる評価エラーは完全には防げません。人事評価における評価エラーについて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
評価結果の説明やフィードバックが不十分
今後の課題や改善点を説明することなく、評価結果だけを伝える企業が多いのではないでしょうか。評価結果に至った経緯や理由が明らかにされないことも不満の原因になります。さらに本人が思っていたより評価が低い場合には、より不満を抱きやすいでしょう。評価者によるフィードバックやフォローは的確に行うべきです。
評価結果が昇進や昇給に結びつかない
成果が評価結果へ反映されないことだけでなく、人事評価の結果はよかったのに昇進や昇給に結びつかない場合も不満の発生につながります。これでは従業員が仕事に対して頑張る価値を感じられなくなるでしょう。
なお成果に限らず一定の評価をしたり、評価結果が待遇に結びつかなかったりするケースは年功序列の企業に多く見られる傾向です。
人事評価を適切に行い、従業員の不満を減らすには人事評価システムの導入が効果的です。以下のボタンから、おすすめ製品の一括資料請求ができます。
\ 人事評価システム の製品を調べて比較 /
製品をまとめて資料請求!
資料請求フォームはこちら
人事評価の不満が高まることで起こる問題
人事評価の不満が高まるとどのような問題が起きるのでしょうか。
会社全体の生産性が低下する
従業員が人事評価に不満をもったまま業務を続けていると、モチベーションが下がり、生産性の低下を招く可能性があります。サービスの質も低下し、業績へ影響するかもしれません。
退職者が増え、離職率が高まる
正当に評価されていないと感じている従業員は、他社への転職を考えるでしょう。キャリアのある従業員を失えば、現場の士気の低下や退職者の穴埋めなど、周囲への影響も懸念されます。また離職率が高くなれば新たな人材を雇用するためのコストも必要です。
評価に対する不満を転職サイトや転職コミュニティに記載されることで、会社としての評判の低下や、採用への悪影響につながることもあります。
訴訟になるケースも存在する
人事評価は基本的に会社の裁量が認められています。しかし、過去には不当な人事評価を理由に訴訟となった事例もあるため注意が必要です。具体的な事例とあわせて解説します。
医薬品製造販売業A社に勤めるBは、勤務中に同僚の前で経営陣を批判したため上司や会長から注意されましたが、謝罪を拒否していました。その後の人事評価で勤務成績を理由に降格が決まり、賞与不支給事項に該当するとして賞与の査定が行われませんでした。以降の賞与査定も低い状態が続いたため、A社に対して降格処分の無効と賞与減額分の支払い、慰謝料を求めて提訴しました。
参考:労働基準判例検索-全情報|全基連
当時の判決では、人事評価は雇用者側の裁量権が広く認められると同時に、裁量の逸脱や乱用は違法になることが明らかになりました。
独立行政法人労働政策研究・研修機構によると、過去の判例において人事評価が違法とされたのは次のようなケースです。(以下引用)
「例外的に人事考課が違法とされるのは、①評価の前提となった事実に誤認がある場合、②不当な動機・目的がある場合、③評価要素の比重が著しくバランスを欠く場合等、評価が合理性を欠き、社会通念上著しく妥当を欠く場合である」
参考:(47)【人事制度】昇格・昇進|雇用関係紛争判例集|労働政策研究・研修機構(JILPT)
人事評価の不満に対する対処法
ここからは、人事評価に対する不満を減らすための改善方法を紹介します。
企業にあった評価制度か振り返る
評価制度自体への不満が多い場合、「業務に見合った評価方法ではない」「評価制度自体が古いままになっている」といった可能性があります。
また評価制度ではなく、運用面に問題があるのかもしれません。評価決定後のフローを確認し、評価に対するフィードバックがどの程度丁寧に実施されているか確認しましょう。
評価基準を明確化する
評価基準が不明確だと従業員の不満へつながりやすいです。人事評価制度の評価基準や評価項目について説明する機会を設けたり、誰もが閲覧できる場にデータを共有したりと、従業員に明示し理解を得られるようにしましょう。会社が求めている従業員像もはっきりとします。
評価者訓練を実施する
評価者の教育も重要な課題です。訓練を実施し、評価者が自身の評価基準や評価制度に対する知識を深めましょう。評価スキルの向上によりエラーを減らせば、従業員が不公平感を感じる機会は減ります。さらに、評価者への信頼や各従業員の納得感にもつながるでしょう。
低評価者へのフォローを怠らない
低評価を受けた従業員は不満をもったり、やる気を失ったりしやすいです。そのため上司が評価の理由や個々の課題点、改善点などを示し、丁寧にフォローを行うことが重要です。改善のための具体的なアドバイスや、評価結果について丁寧に説明し、評価に納得してもらいましょう。
普段から積極的にコミュニケーションを取る
評価者に不満をもつ従業員に対しては、評価者との関係性を構築していくことで解決できる場合が多いでしょう。自分の仕事への取り組み方や、普段の態度などをよく知っている人からの評価は受け入れられやすいためです。評価をする上司は、業務内容だけではなく何気ない会話などをして、積極的に部下とコミュニケーションをとるようにしましょう。
また、関わりが増えると日頃の業務で注意を促したりアドバイスができたりします。評価に対して納得してもらいやすくなるでしょう。
自社にあった人事評価制度で不満を解消しよう
従業員が人事評価に満足できると、離職率が低下するほか、業務へもより真剣に取り組むようになります。ノウハウを蓄積させた従業員が意欲的に業務に取り組むことで、会社の業績向上も期待できます。自社の人事評価制度の問題点を洗い出して従業員の不満を解消し、離職率の改善や無用なトラブルの回避に繋げましょう。
人事評価システムでは、業務形態や職種にあった適切な人事評価制度を取り入れながら、効率的に人事評価を行えます。人事評価が適切にできていないと感じている人事の方は、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
以下の記事では人気の人事評価システムや選び方を解説しています。ぜひ参考にしてください。