在宅勤務の課題
在宅勤務制度は、人材確保がしやすく、離職の抑制、企業イメージの向上、通勤手当の削減などのメリットがあります。以前から働き方改革によりテレワークが推奨されていますが、最近は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、在宅勤務制度を導入する企業が急増しました。その一方で、社内勤務のときにはなかった課題が生じていることでしょう。なかでも申請・承認のワークフローに関しては紙で運用しているケースが多く、せっかく在宅勤務にしても出社を余儀なくされる場面があるのです。
申請・承認業務は、あらかじめ決められたワークフローに従って行われます。ただし、そのワークフローは関係者が社内にいる前提で作られています。申請書が紙なので、社内にいないと提出や確認ができません。
ほかにも、承認者が外回りが多く不在がちで、承認が滞るケースがよく見られます。社内勤務であれば承認者と直接顔を合わせる機会があり、承認を促せます。しかし、在宅勤務ではそれが難しく、承認されるまでに時間がかかるでしょう。これでは業務が進まず、意思決定が遅くなれば先方との取引に影響が出るかもしれません。
したがって、在宅勤務制度の導入を進めるには、ワークフローの再構築が大切だといえるでしょう。

在宅勤務に活用!ワークフローシステムのメリット
ワークフローシステムとは、申請・承認業務を電子化・自動化するシステムです。これにより、ワークフローの最適化や業務のスピードアップが期待できます。
では、在宅勤務制度導入に際してワークフローシステムを活用すると、どんな効果が得られるのでしょうか。
いつでもどこでも業務ができ、決裁のスピードを向上
ワークフローシステムはスマホ対応であることが多く、社外からでも申請・承認が行えます。さらに、ワンクリックで承認ができたり、プッシュ通知機能により申請書の修正依頼などにすぐ対応できたりします。申請・承認の進捗状況もスマホから把握可能です。
在宅勤務に懸念されがちなタイムラグを解決し、業務スピードが上がるでしょう。実際、ある会社では、在宅勤務者・社内勤務者が居合わせないため、申請・承認のタイムラグが生じ、決裁までに時間がかかっていました。特に、社内勤務者が出張などで不在になる場合、在宅勤務者の問い合わせや申請にすぐ応じることはできません。そこでワークフローシステムを活用したところ、社内勤務者はスマホから問い合わせや申請内容を確認し、決裁までの時間を大幅に短縮できたのです。
また、ワークフローシステムと人事システムや会計ソフトを連携すれば、申請書や稟議書に必要なデータが自動反映されるので、転記の手間や入力ミスを減らせるでしょう。差戻しもシステム上で行えるので出社せずに、業務をスムーズに進められます。
稟議内容をシステム上でまとめ、検索性を向上
在宅勤務においては、メールやチャットをよく使います。稟議の際にもそれらを使うことがあるのですが、過去の稟議内容がメッセージに埋もれてしまいすぐに確認できない、という事態に陥りがちです。こういった場合にワークフローシステムは役立ちます。
ワークフローシステムでは、稟議内容や決裁までのプロセスを記録し、システム上に保存します。過去の稟議内容は、検索機能を活用すればすぐに見つけることが可能です。
具体的には、検索範囲を細かく指定したり、検索条件を保存してワンクリックで探せたりします。この機能により、必要な時に必要な情報を簡単に入手できるでしょう。これは内部統制の監査においても役立ちます。
業務フローや社内ルールを明確化し、内部統制を強化
在宅勤務制度を導入するにあたり、社内ルールを定めなければなりません。「高額な備品を購入するときは上司・管理部長からの承認が必要」「福利厚生の利用には届出が必要」など、細かく定めます。社内ルールがない状態で在宅勤務制度を導入すると、いつ誰が何をしたのか把握できず、内部不正が起きるおそれもあるのです。
ワークフローシステムも同じく、導入にあたって業務フローや社内ルールが必要になります。システム上で承認ルートや決裁権限を設定する必要があるからです。
ワークフローシステムの導入をきっかけに、業務フロー・社内ルールを明確化できます。それらをもとにシステムでワークフローを運用すれば、効率的かつ正確に申請・承認業務が行われ、決裁までのプロセスが記録されるため、内部統制の強化が可能です。
なお、以下の記事ではおすすめのワークフローシステムを紹介しています。操作が簡単なものや大企業向けの製品、ワークフロー機能を搭載したグループウェアなど、タイプはさまざまです。よく比較検討して適したものを導入しましょう。
在宅勤務におけるワークフローシステム活用の注意点
在宅勤務ではインターネットを利用してワークフローシステムへアクセスすることになり、不正アクセスのリスクが高まります。このリスクを軽減するにはセキュアな環境の構築が必要です。VPNやセキュアブラウザで通信を暗号化し、セキュリティを強化しましょう。
また、モバイルデバイスからの情報漏えいにも留意してください。在宅勤務者が外出先でスマホから重要書類を閲覧していた場合、他人にのぞき見されるおそれもあります。モバイルデバイス上での閲覧を許可する文書とそうでない文書に分け、在宅勤務者の業務に関係ない情報へのアクセスを制限しましょう。
ただし、すべての業務においてセキュリティを厳しくしてしまうと、利便性を損ないます。機密情報や個人情報を扱う業務だけは厳しくアクセス制限するなど、業務内容にあわせてセキュリティ対策をしましょう。
ワークフローシステムなら、在宅勤務でも手続きが円滑に!
在宅勤務制度の導入を進めるには、ワークフローの見直しが必要です。その際、ワークフローシステムの利用を検討しましょう。ワークフローシステムは、決裁スピードの向上や内部統制の強化といった、在宅勤務における課題を解決できます。しかし、ワークフローシステムを在宅勤務に活用するにはセキュリティ対策の強化に努めなければいけません。
以上を踏まえ、在宅勤務にワークフローシステムを導入し、業務効率化につなげましょう。
