ワークフローシステムで文書管理はできる?

ワークフローシステムでは決裁後の文書をシステム上に保存することから、文書管理も行えると思われがちですが、文書の電子保存に関する細かな要件に対応しきれるのでしょうか。まずは、それぞれのシステムの役割や機能を見ていきましょう。
ワークフローシステムでは機能が不十分という課題がある
稟議書や申請書などを電子化・ペーパーレス化して、申請・承認フローの効率化を目的とするのがワークフローシステムです。基本機能は、申請フォーマット作成・承認ルート設定・承認や差戻し・文書管理が挙げられます。
ワークフローシステムにも文書管理機能が搭載されているから、文書管理システムをあえて導入する必要はないのでは、という意見があるかもしれません。たしかに、簡易的な文書管理ならワークフローシステムでも可能です。しかし、アーカイブや検索といった機能しか使えない製品が多く、ワークフローシステムですべての社内文書を管理するのは難しいでしょう。例えば、ワークフローシステムの文書検索機能では、文書内の単語や作成日、申請日などで絞り込めますが、全文検索や細かな条件での検索はできないことがあります。
文書管理システムなら電子帳簿保存法や世代管理に対応
文書管理システムは、電子化された文書を一元管理し、文書の検索・更新・共有をしやすくすることを目的としています。基本機能は、文書登録、検索、世代管理(バージョン管理)、ライフサイクル管理、ワークフローなどです。電子帳簿保存法やe-文書法に対応するためにタイムスタンプ機能を搭載し、文書が更新されたら最新のものと古いものをわかりやすく管理できる、といった特徴があります。また、ISO9001/14001という品質管理の認証を取得するための文書管理ができたり、文書に透かし文字を挿入して改ざんを防止したりすることも可能です。本格的な文書管理をするなら文書管理システムが使いやすいでしょう。
一方で、文書管理システムのワークフロー機能は簡略的で、条件分岐がある複雑な承認ルートの設定には対応できない場合があります。代理承認やリアルタイムでの承認状況把握などを行えない製品もあるので、自社内の課題や実現したいことを明確にしたうえでシステムを使い分けるのがよいでしょう。

ワークフロー管理と文書管理を同時に行うには?
では、ワークフロー管理と文書管理を同時に行うにはどうすればよいのでしょうか。
ワークフローシステムと文書管理システムの連携
ワークフローと文書管理、両方の管理を適切に行うには、ワークフローシステムと文書管理システムを連携しましょう。具体的には、ワークフローシステムで決裁した稟議書や証憑書類を、文書管理システムで管理できる体制を整えなければなりません。
手動でデータを移動させることも可能ですが、大規模な組織では文書の量も多いので難しいでしょう。また、人為的ミスが発生する原因にもなります。そのため、人の手を介さず両システム間で自動的にデータをやり取りできる環境を構築しなければなりません。例えば、ワークフローシステム上の権限設定をそのまま文書管理システムに引き継げると、運用がスムーズになります。
ただし、これにはITシステムに関する高度な知識とスキルが必要になります。どのようなシステムを使っているかが企業によって異なる以上、システムの連携方法はケースバイケースだからです。ベンダー側で連携サポートを行っていて、連携実績が豊富な製品を導入すると安心でしょう。
以下の記事では、おすすめのワークフローシステムを複数紹介しており、システム連携がしやすい製品もあるのでぜひご覧ください。
文書管理機能を強化したワークフローシステムの活用
前述したように、一般的にはワークフローシステムだけで文書管理を行うのは困難です。しかし、近年は文書管理機能が優れたワークフローシステムも少なくありません。そのような製品を選べば、文書管理システムと連携させなくても十分な文書管理が実現します。
選定する際のポイントは、検索機能はもちろん、アクセス権限設定やバージョン管理機能など高度な文書管理機能を備えているかということです。また、導入後にカスタマイズで機能を追加できれば、柔軟に対応しやすいでしょう。
文書管理機能を強化したワークフローシステムなら1つのシステムで完結するため、2つのシステムを連携させる煩雑さはありません。複数のシステムの使い方を学ぶ必要もなく、一元管理できるため、書類の行方がわからなくなる心配も不要です。少ない負担で業務を効率化したい場合におすすめの方法です。
ワークフローと文書管理を両立させよう
一般的に、ワークフローシステムだけでは適切な文書管理を行えません。搭載されている文書管理機能があくまで付随的なものだからです。この課題を解決するには「ワークフローシステムと文書管理システムを連携する」か、「文書管理機能を強化したワークフローシステムを導入する」方法があります。
最適な製品を導入して、ワークフローと文書管理を効率よく行いましょう。
