クラウド勤怠管理システム『バイバイ タイムカード』や、グッドデザイン賞を受賞したiPadアプリ『タブレット タイムレコーダー』などを開発・提供している名古屋のITベンチャー、ネオレックス。提供しているサービスが「働き方改革」に貢献するものであると同時に、同社の社員の「働き方」も最先端をいっています。

たとえば年に3回、社長とCEOが一人ひとりのメンバーと個人面談を実施。毎月、配偶者手当3万円・未就学児1人あたり子ども手当2万5,000円を支給して結婚や子育てを支援するなど。また2017年3月、「人を大切にする経営学会」による「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」で審査委員特別賞を受賞。

そんなネオレックス社長の駒井さんに、働き方改革を推進するための考え方を聞いてみました。

株式会社ネオレックス 社長 駒井 拓央さん
(役職は取材当時)

使っていて気持ちがいいツールを

──ネオレックスが提供している勤怠管理のためのツールは、「エンドユーザーである一人ひとりのスタッフが楽しんで使える」ように配慮されています。経営側がスタッフを管理するためのものに、なぜそんな要素が必要なのでしょう。

駒井さん:人事部や総務部以外の現場で働く多くの人々にとって、勤怠管理に関する業務は、本来の仕事ではないけどやらなきゃいけない面倒なタスクなんです。多くの現場の皆さんにとっての本来の仕事は「お客さまに快適に過ごしてもらうこと」であったり「安全運行」であったりするわけです。これに対して勤怠管理業務は、「正直、やりたくない」けれど、「やらなければいけない」から、仕方なくやっている。そんな業務だからこそ、少しでも使う人の負担を軽減し、簡単で快適、さらには「使っていて気持ちがいい」というレベルまで追求したいと思っています。

勤怠管理システムを導入する担当の方は、「そもそも現場でちゃんと利用してもらえるのか」と心配されます。本来の仕事ではない面倒な作業だからこそ、簡単で快適に使えなければ現場の人たちのストレスになりますし、人事・総務へのクレームになることもあります。これが「使っていて気持ちがいい」レベルまでいけば、現場にも人事部・総務部の皆さんにも、喜んでいただけます。

たとえば、「操作方法が直感的にわからない」「ボタンを押したあとの反応がにぶい」といった不満がユーザーにあるとしましょう。はたからみれば、ささいな不満です。でも、それも積もり積もれば大きな不満へと成長し、勤怠管理システムを使わなくなってしまう原因にもなります。ですから、サーバーを強化して動作速度を早くするといったことも含めて、少しでも使う人のストレスを軽減するために、できることはすべてやるようにしています。

有休残日数を表示するだけで効果

──そんな工夫が盛り込まれた『バイバイ タイムカード』を導入したことで、最前線で働く人たちの現場によい変化をもたらした成功事例を教えてください。

駒井さん:とある小売業のお客さまの事例を紹介しましょう。働き方改革の一環として、有休取得率の向上に取り組むなかで、『バイバイ タイムカード』の現場で働く方が閲覧する画面に、前年度繰越分の有休残日数を表示するようにしたんです。「何日分の有休が残っていて、それらがいつ消えてしまうのか」を明示したのです。結果は大成功。ほかの施策との相乗効果で、有給取得率は飛躍的に上がりました。システム上でちょっとした情報を出すだけで、働く人の意識や動きを大きく変えることができたんです。

また、別のお客さまの例ですが、採用活動におけるアピールポイントとして『バイバイ タイムカード』導入を紹介してくださっています。「バイバイ タイムカードを使って1分単位で残業時間を把握し、それに対して残業代を支払っています。だから、当社にはサービス残業はまったくありません」という内容です。「ささやかだけど人手不足への対応に貢献できるんだ!」と、うれしくなりました。

──ちょっとした工夫でも、大きな成果が期待できるわけですね。では、ネオレックスの社内で実施した「働き方改革」推進の工夫はなにかありますか。

駒井さん:最近、早出・早上がりの制度を新たに導入しました。早出は午前6時スタートを可とし、早上がりは16時退社を可とするもの。これにより、たとえば毎日朝7時に来て、16時に帰ることもできるようになりました。これまでもノー残業デーの設置など、働く時間についての取り組みはやってきましたが、16時に帰れれば、保育園に子どもを迎えに行けますよね。そして、その子どもと一緒に公園で遊んでもいい。あるいは、プロ野球好きなら、スピードガン競争から観戦することも可能でしょう。

マニュアル的な「残業NG」は誤り

──なるほど。早く帰れるようにすることが重要なのですね。

駒井さん:いいえ。確かに取り組みの一つですが、早く帰ることだけを追求しているわけではありません。ネオレックスでは、働き方の自由度の高さがメンバーの幸福度向上につながると考え、少しずつ制度を進化させてきています。

──どうすれば、社員の働く時間を減らすことと会社の収益をあげることを両立できるのでしょう。

駒井さん:単純な勤務時間の短さではなく、メンバーが日々、イキイキと幸せに働けているかどうかこそが重要と考えています。

ネオレックスはけっして残業ゼロの会社にしたいとは思っていません。がんばらなきゃいけないときはがんばれる、ノッている時はガンガン仕事をしちゃう。ただこれがやらされ仕事ばかりだったり、慢性的な長時間労働だったりすると「幸せに働く」とは言えません。「がんばれる時、がんばりたい時はがんばる」でもメリハリをつけて、早く帰る時期もある。そして働き方、例えば時間帯などには自由度がある。将来的には働く場所も自由度を増していきたいと思っています。

さらに、多くの仕事を抱えて困っているメンバーがいれば、他のメンバーが積極的に声をかけて、その手助けをする。そんな風に仲間を思いやる気持ちのあるチームでいたいですね。

こんな環境で幸せに働くメンバーが一生懸命作るシステム、あるいは提供するサービスなら、必ずお客さまにも喜んでもらうことができ、結果として収益向上にも貢献するものと考えています。

ITがリアルな関係を強化する

──社員がイキイキと働く職場をつくるためのヒントを教えてください。

駒井さん:ITを活用することでしょうか。「働き方改革」にITを活用するというと、「データを収集して分析できるようになる」「顔をあわせずにコミュニケーションできるようになる」といったものをイメージすることが多いと思います。そうした面もありますが、一方でITは、「時間的・空間的に離れていても、仲間とリアルなコミュニケーションをとる」ことを可能にしてくれる側面もあります。仲間の表情をみて気持ちを察したり、気配を感じて声をかけたり。そんな仲間とのリアルなつながりが、ITを活用することで、より強化されていくと思っています。

たとえば、私たちが開発した『タブレット タイムレコーダー』。iPadを活用することで、出退勤時刻の打刻ができるだけでなく、ビデオメッセージを残せます。交代勤務のある職場であれば、あとを引き継ぐ仲間に引き継ぎ事項や申し送り事項を伝えられます。そうした実務に直結するケースでなくても、まだ残って仕事をしている仲間に「遅くまでお疲れさま。私はお先に失礼しますけど、ムリしないでくださいね」とビデオメッセージで残しておくだけでも、職場の雰囲気はまったく違ってくるでしょう。

この『タブレット タイムレコーダー』は、電話という分野で起きたイノベーションによってスマートフォンが登場したのと同じように、タイムレコーダーの領域でイノベーションを起こし「スマートタイムレコーダーを作ろう」、「働く人を笑顔にするタイムレコーダーを作ろう」というコンセプトで開発しました。

カメラで社員の顔を認識 その日の体調・気分も記録する

──近未来を感じさせてくれるツールですね。そんな画期的なプロダクトを開発した会社のトップである駒井さんは、今後、「働き方改革」はどのように進化していくと予想していますか。

駒井さん:「時間の自由」と「場所の自由」、この2つの自由が、もっと進化してくるようになると思います。「時間の自由」でいえば、フレックスタイム制がかなり浸透してきた印象を受けます。今後はその傾向がさらに強まり、朝型の人、夜型の人、それぞれがもっとも力を発揮できるような環境が、しだいに整っていくのではないでしょうか。

一方の「場所の自由」。当社には、自宅とオフィスをカメラでつなぎ、自宅勤務をしているメンバーがいます。また、テレビ会議システムを導入していて、私が東京のオフィスにいようが名古屋のオフィスにいようが、「会議ができない」「やりにくい」といったストレスはいっさい、ありません。

さらに、社内の各部屋に大型のモニターとカメラを設置しており、ここに接続したRaspberry Pi(ラズベリーパイ)に自社開発のアプリを乗せて、相互に誰がどの部屋にいるかが、ひとめでわかるようにしています。これも細かく部屋が分かれていたり、名古屋と東京に分かれていたりするロケーションを超えて、一体感を感じるための仕組みです。さらに今後はVR(バーチャルリアリティ)やAR(拡張現実)の活用などにより、離れた場所で働いていても、まるで隣にいるかのように会話をしながら仕事ができるようになっていくかもしれませんね。

東京からも名古屋オフィスの様子が分かる

人事・総務にとって大きなチャンス

──「働き方改革」プロジェクトのコアメンバーになることが多い人事・総務担当者にメッセージをお願いします。

駒井さん:いまのこの社会の状況は、人事・総務に携わる人にとっては大きなチャンスです。これまでは「会社の制度を変えて、働く人にとってよりよい環境をつくりたい」と思っても、経営陣に認めてもらえないケースが多かったと思います。直接利益に結びつく話ではありませんでしたからね。

しかし政府主導のもと、これだけ「働き方改革」がうたわれるようになったからには、経営陣も無視するわけにはいきません。人事・総務としてやりたいと思ってきたことに、やっと目を向けてもらえるようになってきているんです。

また一方で、日本はいま、慢性的な人材不足。正社員を採用することはもちろん、アルバイトさんを採用することすらも困難になってきています。採用ができなければ、業績を伸ばすことはもちろんですが、そもそもの会社存続すらも危ぶまれます。生き残りをかけて採用をしていくためには、働く人に選ばれる会社にならなければなりません。選ばれるためには、「働き方改革」も含めた、働きやすい環境の整備が必要不可欠です。

自社で働く人の幸せを望まない人事・総務の方はいらっしゃいません。「働き方改革」が推奨され、人材採用難になったこの時代は、働く人の幸せのために努力と工夫をすることが直接的に自社と社会にも貢献できる、そんな時代です。

人事・総務の皆さんにとっても、前向きで幸せな仕事をするビッグチャンスが来ている、そんな風に考えていただけたら、とてもうれしいです。

──なるほど。単純に勤務時間を制限して早く帰らせることだけが働き方改革ではない。その根本には、「働く人が幸せに働ける」環境を整える、そんな考え方があるのですね。 人事・総務担当者は、働く人の幸せのために努力と工夫をしていく、なんだかとってもハートフルなお仕事です。
駒井さん、素敵な考え方を聞くことができました。今日はありがとうございました!

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