企業の中で「働き方改革」推進のコアになっている人物に、「そのヒトなりの改革」を聞く「俺の働き方改革」シリーズ。今回は、サイバーエージェントでキャリア採用を務めている桑田さんを直撃してきました。「21世紀を代表する会社を創る」というビジョンを掲げる同社。働き方の面でも先進的というイメージがあります。インタビューしてみると、やはり「国が旗を振っているからではなく、以前から『働く人がベストな場所で働けるように』という考え方で取り組みを進めてきた」とのこと。そうした取り組みの内容をお伺いしました!

サイバーエージェント
採用育成本部 キャリア採用担当
桑田 友紀さん
(所属・役職は取材当時)

社員のコンディションの変化をチェック

──国が推進している「働き方改革」。サイバーエージェントさんは、どう対応していますか。

正直、私たちは、国の旗振りを受けて改革を進める、という意識はあまり持っておりません。もともと私たちには、「働く人がベストなところで働けるように」というシンプルな目標があります。その流れの中で、さまざまな取り組みを進めていくと、「働き方改革」と重なる施策もあります。

──なるほど。では、その施策の代表例を紹介してください。

たとえば、当社では5年前から、月に1度、社員全員のモチベーションを測るアンケートツール『Geppo(ゲッポウ)』の運用をスタート。それとほぼ同時期に、社内に「健康管理推進室」を設置しました。

『Geppo』では、毎月、全社員に対し33問のアンケートをとっています。聞くことは前月の成果、個人やチームのコンディション。これらを5段階の晴雨についての天気用語で回答してもらい、毎月フリーコメントで設問を変えています。これによって個人の成果やコンディションの変化をチェックし、ずっと晴れだったのに急に雨になった、といったモチベーションの急な変化にも対応することができます。
加えて、社員の興味分野を把握することで、いざ新規事業をやるときに興味のある人をアサインすることができます。『Geppo』は、社員一人ひとりのパフォーマンスを最大化させ、「適材適所」を実現するために非常に役立っています

2年前に新設された健康管理推進室では、業務の棚卸しの推進、予防接種といった社員のオーバーワーク防止、健康管理のための取り組みの推進などを行っています。社員の新しいチャレンジを促進するためには、一人ひとりの健康が欠かせませんから。

──健康管理推進室の取り組みも、「働く人がベストなところで働けるように」するための施策のひとつなのですね。

その通りです。「個々にやりたいことがあるから、ここで働いているんだ」っていう実感をみんなが持てている、そんな状態が理想です。「自分のやりたいことが、ここでなら叶いそうだ」「自分の夢に日々近づいている実感がある」などと思える状態が、働き方の「質」が高い状態です。
「働き方改革」はともすると、残業時間の削減といった量的、テレワークの導入といった制度的な側面にかたむきがちになる傾向があります。でも、本当に大事なのは、働き方の「質」を高める取り組みだと思います。

「人に向き合う」時間を増やすためのIT

──では、桑田さん自身の働き方の「質」を高める取り組みは、なにかありますか。

はい。私が担当するキャリア採用業務の質をより高めるために、ダイレクトリクルーティングとリファラル採用の2つを導入しています。どちらも、採用においていちばん大切な「人に向き合う」時間をより増やすための取り組みです。

ダイレクトリクルーティングサービスは、人材紹介会社を通さず、私たち自身が直接、求職者にアプローチするものです。人材紹介会社に任せていた業務を私たち自身が担うため、業務量が増える側面もあります。しかし、サイバーエージェントの人材採用についての考え方に沿って採用活動ができるため、ダイレクトリクルーティングなら、人材と仕事のマッチング精度がより高まる可能性があるのです。その証拠に、導入後、退職率が低下しました。

──すごいですね。なぜ退職率が低下するのか、具体的に教えてください。

人材紹介会社の担当者ではなく、私たち自身がいちばん最初に面談をするので、よりリアルな話ができていることが大きいです。当社の現場は、華やかなようで、泥臭いところがほとんど。それをリアルに語ることによって、入社してからのギャップをなくせているのだと感じています。

ダイレクトリクルーティングでは、応募者の希望に合わせて現在の勤務先の近くにまで出向いています。私自身、東西南北飛び回って面接しています(笑)。「人に向き合う」時間はいっさい減らさず、むしろ強化していっています。

──面談で、どんな話をするのでしょう。

「どんな夢を描いているのか」「どんな働く軸を持っているのか」を聞きます。それに対して、サイバーエージェントがどのように応援できるのかを、すり合わせるのです。
たとえば最近の例だと、「政治家になりたい」という20代後半男性の応募がありました。

──えっ。まったく見当違いの応募のような気がします…。

確かに一見、そう見えますよね。でも、面談で、なぜ政治家を目指すのに当社を志望するのか聞いてみると、「かつて新聞記者から政治家へというコースがあったことを考え、いまの時代だからこそ、最先端のITリテラシーを身につけたい」「多くの支持を得るためのマーケティング力や課題解決力のスキルを身につけたい」ということだったのです。「それならば私たちで応援できる」ということで、採用に至りました。彼はいま、現場でバリバリ活躍していますよ。

──カッコいいです(笑)。では、桑田さんの働き方の「質」を高めるための、もうひとつの取り組みである「リファラル採用」について、解説をお願いします。

『Refcome(リフカム)』というサービスを利用しています。社員紹介はもともと各部署でやっていたのですが、どうしても幅が狭まり、全部が縦割りになってしまっていました。せっかく大勢の社員がいるのに効果を最大化できてないなと感じていたので、『Refcome』の導入を決めたのです。

──社員のみなさんに活用されているのでしょうか。

ええ。全社員宛のメールで、「いま、◯◯ポジションで募集を開始しました」といった求人情報が通知されると、たとえば社員が友人と居酒屋で飲んでいる時、「そういえば、以前、『◯◯みたいな仕事をやりたいな』って言っていたよな? ウチの会社でこんな求人あるんだけど」という具合に、スマホ画面の公開求人情報を見せながら、声がけすることもできるんです。そんな流れで入社した社員がだいぶ増えてきましたよ。

“類は友を呼ぶ”と言います。当社の社員の友人は、当社にマッチした志向性やキャリアを持っているケースが多い。ですから、リファラル採用の導入により、退職率は低下しました。
私たち人事にしてみれば、「同じ業務時間で、より長く働いてくれる人を採用できるようになった」という意味で、業務の生産性をより高めることができています

いつか日本経済全体での「適材適所」を

──では最後に、桑田さんの将来の夢を聞かせてください。

サイバーエージェントでのミッションを果たすことがまず大前提の目標です。そのあとは、人材の情報を数多くの企業が共有できる「ネットワーク化したダイレクトリクルーティングサービス」を立ち上げられないかと考えています。今後日本の労働人口が減ってきて、なおかつグローバル化が進む中で、日本人の雇用を守り、グローバルの中で生き残るためには、そういうシステムが必要だと思うからです。

どんなスキルがあり、どんなプロジェクトを経験したか、また、どんな「夢」をもっているか、どんな「働く軸」を持っているか。そういった情報をビジネスパーソンが登録し、日本経済全体、グローバル経済全体で共有。そして、「この人ってこういう人だよ」という情報をもとに、そこにマッチする会社があればどんどん声をかける。そんな仕組みができれば最高だなと思っています。そうなると日本経済やグローバル経済全体での「適材適所」を実現でき、働き方の「質」も「量」も相当改善されると思います。

──なるほど。そんな仕組みを求めている人は、多いかもしれませんね。そういう人が集まって人の動きを変えていったら、日本経済に大きなインパクトがありそうです! 本日は、夢のある話をありがとうございました!

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