働き方改革のニュースが続々と出てきているなか、特に「テレワーク」というキーワードが注目を集めています。テレワークを導入しようかな?と考えている総務・人事担当者もいるかと思いますが、そもそも何のためにテレワークをやるのか、整理できていますか?今回は、テレワークの目的と実施する際の注意点、そしてその対策として事前に準備しておきたい項目を見ていきましょう。

何のためにやるの?5つのテレワークの目的

テレワークとは、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方をすることです。情報通信技術(ICT: Information and Communication Technology)を活用することで実現できます。テレワーク(telework)は、tele=離れる、work=働く、の造語で、オフィスを離れて仕事をおこなうという意味を表しています。

テレワークのような新しい働き方を、国は推奨しています。なぜなら、テレワークをおこなうことで、たとえば女性が育児と仕事を両立しやすくなる結果、少子化対策につながるなど、さまざまな効果が得られると考えているからです。

現在、テレワークは多くの会社で導入が進んでおり、その導入目的はさまざまです。なぜテレワークが多くの企業で検討されているのか、テレワーク導入の目的の一例を見てみましょう。

①通勤時間の削減

テレワークで働くことになると、テレワークで働く社員(テレワーカー)にとっては、職場までの通勤が必要ありません。自宅やサテライトオフィスなどの外部スペースで働くことで、いままでの通勤時間を仕事やプライベートに充てたり、毎朝ストレスを感じることなく仕事をすることができたりと、さまざまなメリットがあるのです。

②労働生産性の向上

テレワークを導入すると、生産性高く仕事ができるのではないかと考えられています。通勤時間が省かれることに加えて、自宅などで業務をおこなうことにより、周囲の雑音やデスク環境など、オフィスでのストレスから解放された状態で働くことができるようになります。そのため、より業務に集中できるようになると考えられます。集中力が高まり、一人あたりの生産性が向上する、そんなメリットを得るために、テレワークを導入する企業も増えています。

③非常時の事業継続

テレワークを導入していれば、災害などの非常事態においても、会社に出社せずに業務をおこなうことが可能になり、継続して事業を進めることができます。具体的には、東日本大震災や新型インフルエンザの蔓延などに代表されるような非常事態においても、事業を中断せずに済むため、事業継続対策上の戦略としてテレワークを利用することができます。

④育児・介護との両立

テレワークの手法の一つである「在宅勤務」であれば、育児や介護の合間に自宅で業務をおこなうことが可能です。育児や介護を理由に休職・退職する人もいますが、企業にとってはそれまでに働いて培ってきたスキルやノウハウを手放すことになってしまうため、在宅勤務を認めることで優秀な人材の流出を防ぐことにもつながるでしょう。

また、育児や介護をおこなう社員自身にとって、テレワークは強い味方になります。育児や介護を理由に長期間休職してしまうと、「職場復帰したときに業務についていけないかもしれない」「仕事やポジションがなくなってしまうかもしれない」などのさまざまな不安を抱えます。このような不安を和らげる方法の一つとして、テレワークが有効でしょう。つまり、育児・介護中にテレワークをおこなうことで、完全な職場復帰への準備ができるのです。

さらには、育児・介護しやすい環境を整備することで、優秀な人材を採用することにもつながるかもしれません。

⑤コスト削減

テレワークを社員に適用することで、会社は社員が働くために用意するスペースを狭めることができます。仮に全社員にテレワークを適用した際には、数名が入れるスペースのみを用意するだけでよいかもしれません。そうすることで、オフィスの家賃や電気代などの費用を削減できます。また、書類などはデータでやり取りすることになるため、紙資源の節約にもつながるでしょう。

テレワーク導入前に知っておきたい4つの注意点

これまでテレワークを導入する目的について見てきましたが、導入する際に注意しなくてはいけない点があります。テレワークを導入する際の注意点について見ていきましょう。

①勤務時間の把握・管理が難しい

テレワークで働く社員(テレワーカー)が仕事をしている状態を、直接上司が目視で確認できるわけではないので、何時から何時まで仕事をしているのかが分かりにくい可能性があります。それにより、テレワーカーの働きすぎなどが生じてしまう可能性があります。また、勤務時間と私生活の時間が混在する可能性もあり、はっきりと分けて勤務時間の把握・管理することが難しくなります。テレワークでは、テレワーカーを直接的に監督することが困難であるため、勤務時間だけではなく、実際に業務を遂行できているかを確認することも難しい場合があります。

②プロセスでの評価が難しい

基本的には、結果・成果でしかその人の功績をはかることができません。そのため、評価方法としては、定めた長期的な目標の達成度において評価する方法が求められます。営業部門では、売上高や目標商談件数など、明確に数値化できる目標を設定することが簡単なため、問題なく目標を設定できるかもしれません。しかし、企画や開発部門であれば、テレワークに適した目標設定を意識しなければ、正しく評価できない可能性があります。社員がテレワークをおこなう場合、その上司は、社内で業務をおこなっている社員とは違う評価方法をおこなう心構えをすることが重要です。

③コミュニケーション不足になる

実際にテレワークをおこなうと、部下と上司が直接会う機会がかなり減ります。それにより、ささいなコミュニケーションをとる機会でさえも減ってしまい、部下と上司との距離感が広がってしまいます。その結果、社員は孤独感を感じやすくなったり、チームで業務をおこなっている場合は一体感が出にくくなったりと、さまざまな懸念があります。

解決策として、テレビ電話やWeb会議などを使い、日常的にコミュニケーションをおこなうことが考えられます。また、ちょっとした用件であれば、メールではなく社内SNS・ビジネスチャットで簡単にメッセージをやりとりできるツールを使うのもよいかもしれません。しかし、このようなIT製品の導入を検討するには、社内でどのようにコミュニケーションをおこなっていくのかを検討し、ルールを設けた上で導入するのがよいでしょう。

④情報漏えいの可能性がある

テレワーカーは、会社外で機密情報を扱うことになるので、情報漏えいには注意が必要です。機密事項に関して業務をおこなう場合は、第三者から見られない工夫をしなければ、他人に見られて漏えいする可能性があります。機密情報の漏えいは会社の利益を損ない、損失をも生む可能性があります。また、外部のWi-Fiを使用したことで不正アクセスなどの被害が発生する場合があります。そのため、情報セキュリティ対策を万全にしておくことが大切です。

テレワーク導入前に準備・確認しておきたいリスト7選

前章で確認した注意点を踏まえて、テレワークを導入する前に準備・確認しておきたいことをご紹介します。前もって理解し、準備することで、テレワーク導入後にスムーズに業務をおこなうことが可能になります。特に、テレワークでの勤務形態についてルール作りをしなくてはなりません。

①テレワーク対象者の見極め

まず、テレワーク対象者が、テレワークをおこなうにあたり適した社員であるかを確認しましょう。大前提として、自己管理ができる社員でないとテレワークで働くことは難しいでしょう。また、情報管理に関して理解し、規約を十分に守ることができる社員でないといけません。さらに、おこなう業務がテレワークで可能かどうかを、しっかりと議論し吟味することが重要です。途中で無理だと判断されれば、その分の議論や体制づくりが無駄になってしまうので、その事態は避けたいところです。もし、テレワーク希望者を募るのであれば、業務だけでなく、その人がテレワークをおこなわなければならない理由や、おこないたい理由をしっかりと聞いて判断しましょう。

②勤務時間を把握・管理する仕組みの整備

テレワーカーがいつ業務をおこなっているのかを把握できるように、仕組みを整えましょう。正確に給料を支払うため、長時間労働の見落としを防ぐためにも、テレワーカーが何時から何時まで仕事をしているのかを可視化することが重要です。具体的には、勤怠管理システムやログ管理システムを活用し、勤務時間を打刻で管理したり、パソコンのログイン時間から割り出したりすることができます。

③人事評価制度の見直し

テレワークをおこなうと、会社に出社して勤務している社員とテレワーカーとの人事評価の項目が変わる可能性があります。単純に勤務時間で評価することは難しくなるでしょうし、プロセスが見えにくくなるために評価できないこともあるかもしれません。そのため、プロセスではなく成果ベースで評価をする、新しい評価方法を考えなければならない場合もあります。

④コミュニケーションの担保

テレワークを導入すると、テレワーカーとのコミュニケーションが取りづらくなり、業務に支障をきたしてしまう可能性があります。そのため、あらかじめこまめに報告する会議を設定したり、業務が終了したらその都度連絡を入れるようにするといったルールを設けたりすることが大切です。また、テレワーカーとのコミュニケーションをとる手段として、より気軽におこなえる社内SNS・ビジネスチャットツールや、Web会議などのシステムを活用するとよいでしょう。

⑤テレワーク導入に向けた教育研修の実施

テレワークを導入するにあたり、実際にテレワーカーとその上司に対して、教育研修をおこなうほうがよいでしょう。新しい働き方の導入になるので、導入してから戸惑わないように、テレワーク導入の背景から、実際に運用するにあたって必要になるシステムや情報セキュリティまで、すべてを網羅し説明しておくことが重要です。教育研修にあたっては、外部の集団研修やeラーニングシステムを活用することがおすすめです。

参照:国土交通省 『THE Telework GUIDEBOOK 企業の為のテレワーク導入・運用ガイドブック 8章 「テレワーク導入にあたっての教育研修」』
http://www.mlit.go.jp/crd/daisei/telework/docs/14_8.pdf

⑥通信量などの費用負担の取り決め

テレワークを実施する際には、インターネット環境を整えたり、その費用負担について取り決めましょう。会社のWi-Fiに接続せずに、個人のモバイルデータ通信端末や自宅のWi-Fiなどに接続することが多くなるため、別途通信料がかかってしまいます。その費用負担は会社か個人かどちらが負担するのか、また会社が負担する場合、どの程度負担するのかを決めなくてはなりません。また、パソコンや周辺機器について、私物の機器を使うのか、会社で用意した機器を使うのかについても決めなくてはなりません。

⑦セキュリティに関するルール整備

テレワークにおけるセキュリティに関して、事前に起こりうる問題を想定したうえで、セキュリティ対策をおこないましょう。考えられる危険性としては、外部ネットワークに接続したことで不正アクセスが発生したり、端末を盗難により紛失したり、とさまざまな可能性が考えられます。

起こりうる危険性を洗い出し、それぞれに対策を打つことが大事です。パソコンからUSBなどで外部に情報を持ち出せないようなシステムを導入したり、端末内に情報を保存せずに外部から社内ネットワークに接続して情報を閲覧・編集をおこなうシンクライアント型にしたりすることで、情報漏えいのリスクを減らすことができます。

また、ITシステムを活用せずとも、第三者から覗き見を防止するプライバシーフィルターをパソコンの画面に装着したり、怪しいメールやWebサイトにアクセスしないような研修をおこなったりと、対策できることはたくさんあります。

参照:総務省『テレワークセキュリティガイドライン』
http://www.soumu.go.jp/main_content/000215331.pdf

まとめ

これまでテレワークの目的や注意点、事前に準備しておくポイントについて見てきました。テレワークを導入することは、今後労働力不足が懸念されている社会において、人材確保という観点でよい影響があると考えられます。

特に、共働きの家庭が増加している現在の社会において、女性の働き方は課題となっており、テレワークはその解決策になり得る可能性があります。雇用する側としても、雇用される側としても、テレワークを導入する際の注意点に気を付ければ、お互いメリットがあるので、今後導入する会社は増えていくでしょう。

今後の情報技術が発展する社会において、このような働き方の改革は大きな役割を果たすと考えられています。政府も働き方改革の一環としてテレワークの導入を推進していますので、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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