コールセンター業務における課題
コールセンター業務には主に以下のような問題があります。経営を最適化するにはこれらの解決は避けられません。
- 【つながりにくい】
- オペレーターの人数が足りず、顧客からの問い合わせに対応しきれないことがあります。しかし、オペレーターを増やすと人件費が増大するのが難点です。
- 【離職率が高い】
- ストレスフルな業務であることや、努力が評価されづらいことなどを理由に離職するオペレーターが少なくありません。
- 【品質管理が難しい】
- 人間である以上、オペレーターによって対応品質に差が生じてしまいます。また、離職率が高いため優秀なオペレーターが育ちにくいのも問題です。
コールセンター業務の改善策
続いて、コールセンター業務の改善策を6つ見ていきましょう。
改善指標の明確化
まず、改善活動を行うための指標を明確化しましょう。これにより、改善の方向性や目標を具体的にスタッフに示すことができます。コールセンター業務における代表的な改善指標は以下のとおりです。
- 【品質・顧客満足】
- 応答率やASA(平均応答速度)は品質目標として重視される指標です。また、顧客へのアンケートなどから顧客満足度や顧客推奨度を数値化して指標に用います。
- 【効率性・生産性】
- どれほど適切に顧客対応をしても、それによって充分な利益が得られないのでは意味がありません。そこで、オペレーターの稼働率やCPC(1コールあたりのコスト)などが指標として用いられます。
これらすべてを一度に改善するのは困難です。そのため、どれを重視するのかを明らかにし、その改善を目指しましょう。
運営マニュアルやトークスクリプトの見直し
オペレーターの対応の仕方は、人によって異なりがちです。しかし、そのままではコールセンター内で顧客対応の質を統一するのが困難です。
そこで必要なのが、トークスクリプトの充実です。トークスクリプトを見ながら応答するだけで顧客対応がうまくいく状態を目指しましょう。
特に、新人のオペレーターがこれらを読んだ際に混乱する点がないようにすることが大切です。同じ理由で、自社の商品情報集やQ&A集、切り返しトーク集などもあるとよいでしょう。
また、業務の質を管理すべきなのはオペレーターに限りません。運営に携わる人の業務をまとめた運営マニュアルも用意しましょう。新たに配属された運営者でも業務の全容をすぐに把握できるようになり、業務に潜む問題点の発見・改善が円滑化します。
教育や研修内容の見直し
初期研修とOJTという2つの訓練を経ることで、オペレーターは一人で仕事ができるようになります。ところが、この2つの訓練が上手く機能していないことがあります。
よくあるのが、初期研修とOJTの内容がつながっていないというケースです。それぞれ別の指導者が教えるため指導内容に差が生じ、オペレーターは初期研修で学んだことをOJTで実践できません。
これを解決するには、初期研修とOJTの指導者が連携して指導内容を見直す必要があります。
また、一人で対応できるようになったオペレーターも、それ以降は教育の機会が不要なわけではありません。担当する対応内容が変われば、改めて教育が必要になるでしょう。
さらに、オペレーターだけでなくスーパーバイザーにも教育の機会を設けましょう。オペレーターを指導する立場のスーパーバイザーが正しい知識や技能を身につけていなければ、オペレーターは育ちません。
ケアやフォローの実施
コールセンターは離職率が高いことで知られています。これを放置しておくと、優秀なオペレーターが育ちません。したがって、オペレーターが離職する原因を取り除く必要があります。
特に力を入れるべきなのが、精神的なストレスの緩和です。人間を相手に行う仕事である以上、オペレーターは強いストレスにさらされます。顔が見えない顧客に対し言葉だけで慎重に情報を伝えなければならないうえ、それでもトラブルが発生することがあり精神的に疲弊します。
離職率を下げるには、この負担を和らげる対策が不可欠です。
具体的には、定期的に面談を行ったり、困ったことを相談できる窓口を設置したりするのが有効です。また、普段から周囲の人とコミュニケーションを取りやすい雰囲気づくりにも注力するとよいでしょう。
業務負荷の分散化
コールセンターではオペレーターだけでなく、スーパーバイザーの離職率も高いことが知られています。なぜなら、業務の負担がスーパーバイザーに集中しがちだからです。
もともと業務の範囲が明確になっていないため、何かあるとすぐにスーパーバイザーが対応することになりがちです。一方で、スーパーバイザーはオペレーターから昇格するのが通常で、管理業務についての教育は受けていません。
ただでさえ仕事量が多いうえに、分からないことを暗中模索しながら業務をこなすことになります。スーパーバイザーが仕事で手いっぱいになると、オペレーターへのフォローが不十分になります。
こうして、コールセンターにおける従業員の離職率が全体的に上がってしまうのです。
オペレーターの離職率を下げるためにも、マネジメント層はスーパーバイザーへのケアも欠かさないようにしましょう。具体的には、その業務を分散できる体制を整えることが大切です。
システムの整備
従業員の負担を軽減するためには、システムの整備も必要です。たとえば、現在では多くのコールセンターが以下のシステムを活用しています。
- 【CTI(Computer Telephony Integration)】
- コンピューターと電話を統合させるシステムです。顧客から着信があると、その顧客の情報が自動でパソコンの画面上に表示されるなどの機能を備えています。
- 【CRM(Customer Relationship Management)】
- 顧客対応を円滑化するシステムです。たとえば、顧客の購買履歴や問い合わせ履歴をシステム上で管理できます。CTIでそれらのデータを表示しながら通話すれば、対応品質が向上するでしょう。
コールセンター業務の改善事例
続いて、コールセンター業務の改善事例を2つ紹介します。
- 【KPIの設定を成功させた事例】
- ある証券会社のコールセンターは、つながりにくさに課題を感じていました。着信数の変動が激しく、時期によってはオペレーターが激しく不足することがあったのです。
- そこで、顧客の待ち時間をいくつかに分類し、それぞれにKPIを設定。KPIとは、目標の達成度を示す指標のことです。これにより、待ち時間の短縮を目指すうえで解決すべき問題点が浮き彫りになりました。
- 【システム導入を成功させた事例】
- ある企業はそれまで国産IPフォンを利用していました。しかし、応答率などのレポートや通話記録機能が不十分で、業務のモニタリングが難しかったといいます。
- そこで、拡張性や操作性の優れたシステムを導入。その結果、マルチタスクが効率化し、応答率も向上したといいます。
コールセンター業務を改善し、従業員や顧客の満足度を向上!
コールセンター業務には、以下のような問題があります。
- ■電話がつながりにくい
- ■離職率が高い
- ■対応品質の管理が難しい
これらを解決し、業務を改善する方法は以下のとおりです。
- ■改善指標の明確化
- ■運営マニュアルやトークスクリプトの見直し
- ■教育や研修内容の見直し
- ■オペレーターへのケアやフォローの実施
- ■スーパーバイザーへの業務負荷の分散化
- ■システムの整備
以上を踏まえ、顧客や従業員の満足度向上を目指しましょう。