コールセンターの平均的な離職率・計算方法
東京大学社会科学研究所の調査によると、コールセンターにおける離職率の平均は21.3%(パート・アルバイトの場合)です。
離職率の計算方法には以下の2種類があります。
- 【特定の期間内に離職した割合】
- 厚生労働省の雇用動向調査で離職率の定義は「常用労働者数に対する離職者の割合」です。計算式は以下のとおりです。
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- ■離職率=「離職者数」/「1月1日現在の常用労働者数」×100(%)
- 【特定の期間に入職した人の離職割合】
- 厚生労働省はもう1つの離職率の定義として「ある期間における就職者がその後離職する割合」も用いています。例えば1年以内の離職率の計算は以下のとおりです。
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- ・就職者→3月~6月における新規学卒としての雇用保険加入者
- ・離職者→上記のうち、3月~1年後の3月に離職した者
上記の計算式は、新卒の離職率を算出する方法として多くの企業で用いられています。自社コールセンターにおいて離職の多さが気になる場合は、一度離職率を算出し平均との比較をしてみましょう。離職率が30%を超える場合、教育体制や職場環境などに問題がないか調査する必要があります。
参照:類型別に見たコールセンターの離職率の分析|労働政策研究・研修機構
コールセンターで離職率が高い理由
ここでは、コールセンターで離職率が高い理由を見てみましょう。
1.クレーム対応で神経がすり減る
クレーム処理は精神的に負担のかかる業務です。特にコールセンターの場合、顔が見えない中でのコミュニケーションとなるため、細心の注意を払いながらの対応が求められます。また相手からの暴言や、不安やストレスを感じることで、離職する人も多いでしょう。
2.業務と給与が見合わない・人事評価が曖昧
コールセンターは努力が評価されにくい傾向にあります。なぜなら、未経験のアルバイトでもできるというイメージが強いためです。また、理不尽なクレームに対応したとしても、評価や給与に反映されないと不満を感じる人もいます。
原因は、コールセンターにおける成果を数値化して評価するのが難しいという点にあります。しかし評価される体制が整っていなければ、従業員のモチベーションは低下する一方です。給与や待遇がよくならず、疑問を感じて離職する従業員も少なくありません。
3.教育・サポート体制が不十分
離職率が高くなると慢性的な人員不足に陥りやすく、人材育成もうまくいきません。人が定着しないため、ベテラン社員による細やかな教育が難しくなるためです。教育が行き届かないまま業務にあたるため、不安や不信感がうまれ離職につながりやすいでしょう。
4.業務量が煩雑で膨大
コールセンターにおける業務は、電話対応だけに限りません。メールやSNS・Webなどに対応しなければならず、内容も煩雑です。
また、顧客からの問い合わせに応えるためには、自社の製品やサービスへの理解が求められます。現場に立つ前に習得しておくべき知識は多岐に渡ります。
一人ですべてに対応できない場合は、部署別に分業する方法もあるでしょう。しかし、顧客をどの部署の担当者に回すべきかを判断する業務が増えます。いずれにせよ、煩雑さに大きな違いはありません。
また離職者が増えるほど、残った人の業務負担は大きくなります。離職者に起因する業務量の増加が、新たな離職をもたらす原因になり、さらなる悪循環を生み出します。
コールセンターの離職率を改善するための対策
コールセンターの離職率を改善する4つの対策を紹介します。
1.メンタルケアの実施
SV(スーパーバイザー)や上司による面談を定期的に実施し、オペレーターが一人でストレスや不安を抱え込まないような体制を整えましょう。小さなことでもオペレーターが相談しやすいように普段から声掛けをして、風通しのよい職場環境の構築を心がけます。
また、ストレスチェックやストレスに対する意識調査などを実施して、顕在化していないストレス要因の早期発見・対応につなげましょう。
2.明確な人事評価制度を策定する
コールセンターの離職率を改善するには、従業員を正当に評価する人事評価制度の策定が必要です。
以下の3つの観点から従業員を評価する体制を構築しましょう。
- 【業績評価】
- 業績はもっとも重要視すべき項目です。受注数や受注率、利益額や売上額などの数値を基に評価しましょう。ただし、担当業務によっては、難しい割に利益が上がりにくい場合もあります。
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単に利益を比較するのではなく、難易度も考慮しましょう。
- 【能力評価】
- 結果ではなくプロセスに対する評価です。今後の成長を加味して評価します。職務に要する知識の習得などを評価しましょう。
- 【情意評価】
- 情意評価とは職務への姿勢に対する評価のことです。周囲のモチベーションアップや企業のイメージ向上に貢献する行動を評価しましょう。
コールセンターにおける人事評価について詳しく知りたい人は、以下の記事を参考ください。適切な人事評価で成功したコールセンターの事例なども紹介しています。
3.研修体制を整える
経験豊富な先輩オペレーターを教育係とした新人サポートチームの設立や、マンツーマン指導を取り入れるとよいでしょう。
コールセンター業務のすべてを座学だけで理解するのは難しいです。座学のみで現場に立たせるのではなく、ロールプレイングや教育係によるOJTなど、段階を踏んだ研修を行うようにしましょう。
4.コールセンターシステムで業務を効率化する
コールセンター業務が煩雑な点を改善するには、コールセンターシステムの導入が有効です。コールセンターの業務を効率化するためのITシステムで、従業員を支援する機能を備えています。以下、機能の一例です。
- ■ACD
- 問い合わせ内容に従って顧客を自動で担当部署に振り分ける機能
- →顧客の分配にかかる従業員の負担をほぼ排除できる
- ■トークスクリプト共有
- 顧客対応する際のシナリオをまとめたトークスクリプトを各オペレーターに共有できる機能
- →ベテラン従業員の対応ノウハウをすべての従業員間で共有可能。初心者でもスムーズに顧客対応できるため、入職初期の学習負担が少なくて済む
コールセンターシステムは受信・発信業務の効率化に加え、従業員の教育コスト削減にも有効です。ほかにも発信・通話録音・通話履歴管理などの機能も搭載しており、企業にとってもメリットが大きいシステムです。
コールセンターシステムの導入に興味がある方は、人気製品のチェックからはじめてみましょう。各製品の強みや導入メリットがひと目でわかります。気になった製品は無料で資料請求できるため、ぜひ比較検討にお役立てください。
コールセンターシステムで業務を効率化し離職率を下げよう!
コールセンターの平均的な離職率は約2割に上ります。平均と比較して自社の離職率が高い場合は原因を追求し、適切な改善策を実施しましょう。なお、業務効率化にはコールセンターシステムが有効です。研修体制の整備やオペレーターの業務支援を優先する企業は、ぜひ導入を検討してください。