働き方改革を各企業が進めている中、会社以外の場所で働くテレワーク(リモートワーク)が注目されています。テレワークとは一体何か、なぜ広まったのか。テレワークに向いている人や会社の特徴を見ながら、テレワークのメリットとデメリットを中心に解説していきます。

テレワークとは?

テレワークとは、パソコンや携帯電話などの情報通信技術を活用することによって、就業時間や場所にとらわれずに仕事をするという柔軟な働き方のことをいいます。一口に「テレワーク」といっても、さまざまなタイプがあるので、以下で整理しましょう。

在宅勤務
自宅で、パソコン、電話、FAXなどを用いることによって仕事を行う方法です。
モバイルワーク
出張先で社内のデータにアクセスしたり、移動中に商談を進めたり、Web会議に参加したりすることによって、場所を選ばずに仕事を行う方法です。スマートフォンやタブレット、ノートパソコンなど、持ち運びが簡単にできる情報機器端末を使います。
サテライトオフィス勤務
サテライトオフィスとは、本社から離れたところにあるオフィスのことを指します。通常の勤務地ではなく、レンタルオフィススペースなどで仕事を行う方法をサテライトオフィス勤務といいます。都市部にある会社が地方にサテライトオフィスを設置して、社員は地方に住んでいても仕事ができるようにするというような事例があります。

テレワークが注目されている背景

近年、高度な情報化社会へと突入しています。そのような状況でより重要性を増したのが、変化に対応する「スピード感」といえます。

従来の働き方では、決められた時間に決められた場所で仕事を行うため、オフィスに勤務していない時に発生した業務に素早く対応することが困難でした。しかし、テレワークは持ち出し可能なパソコンを使用するなどして、柔軟に仕事の時間や場所を変化させることができます。そのため、時間や場所の制約による業務への影響を小さくできると考えられており、テレワークは注目を浴びています。

また、総務省「平成27年通信利用動向調査」によると、日本ではテレワークの導入率が16.2%とされています。
▼出典:総務省「平成27年通信利用動向調査」
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/160722_1.pdf

一方で、平成23年度の非営利団体WorldatWorkの調査によると、アメリカでの部分的な業務においてテレワークを行う、アドホック(適時)テレワーク制度の導入率は80%を超えるという結果が出ています。
▼出典:WorldatWork「Survey on Workplace Flexibility」
https://www.worldatwork.org/docs/research-and-surveys/Survey-Brief-Survey-on-Workplace-Flexibility.pdf

このように、国際競争力の高い欧米諸国ではテレワークが広く普及している背景もあり、日本が世界と競争していくために、より生産性の高い働き方であるテレワークの導入を働き方改革の一環として政府が掲げていることも、テレワークが注目されている理由の1つでしょう。

テレワークのメリット

テレワークは多くのメリットを持つ働き方として期待されています。実際にどのようなメリットが期待されているのか、ご紹介します。

●企業側のメリット

  • 女性や高齢者、遠方に住む優秀な人材の確保
  • 日本では現在、年々、生産年齢人口が減少し、少子高齢化社会が深刻化しています。働き手になりうる生産年齢人口が少ない中、人手不足を補うためにテレワークを可能にすると、採用の裾野が広がり、柔軟な働き方を求める優秀な人材を比較的多く採用することができる可能性があります。

    また、テレワークなら社員の事情にフレキシブルに対応できるため、出産・育児のために離職しようとしている女性社員を在宅勤務で雇用し続けることや、通勤が困難な社員を在宅勤務やサテライトオフィス勤務で雇用することが可能です。

    このように、テレワークには社員の負担を軽減することによって離職率を減らし、優秀な人材の確保に繋げることができるという側面もあります。これらの施策は生産性向上に大きく貢献することが期待されています。

  • 非常時の事業継続
  • 災害の発生や、新型インフルエンザをはじめとする感染症の流行など、緊急事態が起こった場合、一箇所にしかオフィスがないと、やむを得ず業務を停止せざるを得ないことがあります。2011年3月の東日本大震災発生時にも、計画停電や首都圏での交通網の麻痺などにより通勤困難となり、業務を中断しなければいけないこともありました。このような場合には、多額の損失をこうむることになるため、1つのオフィスに依存している形態はリスクが高いといえるでしょう。一方で、テレワークなら、仕事場を分散させて働くことが可能なので、非常時であっても在宅勤務やサテライトオフィス勤務などにより事業を継続させることができるメリットがあります。事業継続計画(BCP)という観点からも効果があると考えられているのです。

  • 地域活性化と地域との連携強化
  • 地方にサテライトオフィスを設立したり、在宅勤務を認めたりすることで、地方や都心から離れた自宅に住んでいながらも仕事が可能です。その結果として、地方における雇用の安定化が進み、地方への人口回帰が望めます。これによって、地方で顕著な人口流出に歯止めがかかり、労働人口の増加によって地域が活性化していくことが考えられます。また、地域活性化を会社と自治体が町ぐるみで行うことは、会社のイメージアップにも貢献するでしょう。

  • 顧客満足度の向上
  • モバイルワークなどを積極的に行うことによって、お客様先への訪問後わざわざ勤務先の会社に戻る必要がないので、訪問回数を増やしたり、打合せ先への移動時間にメール対応をしたりと、効率的に仕事をすることが可能です。効率よく仕事が進めば、顧客の要望に対して素早く対応できたり、顧客との意思疎通の強化にもつながったりするので、結果的に顧客満足度が向上することも考えられます。

●社員にとってのメリット

  • ワーク・ライフ・バランスの実現
  • ワーク・ライフ・バランスとは、「生活と仕事の調和」を指しています。テレワークなら、会社に出勤せずに働くことができ、通勤時間を短縮できます。すると、その通勤時間を仕事以外に割くことができるようになります。さらに、テレワークと併せて、勤務時間を選べる「フレックスタイム制」や「時短勤務」を導入すれば、仕事以外の時間をまとめて確保することも可能です。この時間を子育てや自己啓発に充てることで、ワーク・ライフ・バランスの確保につながります。

  • コスト削減
  • テレワークの導入によってオフィスで働く人が少なくなるため、オフィスにかかる費用を削減できる場合もあります。具体的には、オフィス面積の縮小に伴う賃料や、印刷用紙代・インク代、電気代などのコストを減らすことができます。加えて、社員が通勤交通費を減らすことも可能です。テレワークにより削減できたコスト分を、福利厚生や給料に充てることも可能となり、社員にも大きなメリットがあるといえるでしょう。

●テレワークに向いている人

以上のメリットなどを鑑みて、テレワークに向いているといえる人をご紹介していきます。

  • 通勤が困難な社員
  • 妊娠・育児・介護のために極力自宅にいたい人や、勤務先から家までの距離が遠く通勤に多くの費用や時間がかかってしまう人は、テレワークを利用すると良いでしょう。

  • 研究開発・技術部門、クリエイティブ・デザイナー部門
  • 開発業務をおこなうプログラマー、ソフトウェア開発担当者は、自宅で他人に邪魔されない環境で仕事をすると作業がはかどる場合もあるため、テレワークに適しているといえます。また、企画構想を行う人など思考や想像力が必要な業務に関わる人は、在宅勤務を行えば新たな仕事の依頼などで他人に邪魔されることが少なくなります。まとまった思考の時間が得られるのでテレワークに適していると考えられています。

  • 営業部門
  • 営業をする人は、先ほどメリットでも触れたように、モバイルワークを用いることで訪問回数を増やしたり、時間を有効活用したりすることができるので、テレワークに適しています。

●テレワークに向いている会社

また、どのような会社がテレワークに向いているのかを挙げていきます。

  • インターネット環境が整っている会社
  • テレワークを行うにあたり、基本的な連絡はインターネットを通じて行われるため、インターネットの環境が整っていることが重要です。また、情報通信機器に対するリテラシーを社員が一定以上持っていることも重要です。

  • 専門性の高い仕事を行う会社
  • デザインやWeb制作などの専門性が高い仕事は、ある一定までは、決められたディレクション・スケジュール通りに制作することが求められることが多いため、在宅勤務など仕事に集中できる環境を作ることで生産性高く進めることが可能です。

  • 営業部門が大きい会社
  • 平成27年の総務省の調査によると、テレワークが導入された職種でもっとも高い比率を示したのが営業部門でした。これは、営業とテレワークの親和性の高さを表しているといえるでしょう。特に営業の人数が多いような会社では、まず営業部門からテレワークを試験的に導入するなどすると良いでしょう。

    ▼出典:総務省「平成27年度版 情報通信白書 第2部 ICTが拓く未来社会」
    http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h27/html/nc243330.html

テレワークのデメリットと対策

一方で、テレワークにもデメリットがあることも認識しておきましょう。

・進捗管理、労働時間管理が難しい

テレワークを導入すると、労働時間や業務内容の進捗管理が自己申告制になるため、徹底して管理することが難しいでしょう。正確に管理しようとして、成果のみで社員を評価する「完全成果主義」を導入すると、従来と同程度のクオリティを出していたとしても、プロセスが評価されないため、社員の評価が下がってしまう可能性があります。このような場合、社員はよりクオリティの高いアウトプットを出そうとして、プライベートの時間を削って仕事をするようになる可能性もあり、結果として社員の負担が大きくなってしまうことも考えられます。これでは、テレワークを導入したメリットを享受することができません。

  • 対策
  • 例えば、勤務時間を正確に管理するなら、システムの起動時間やアクセスログを記録できる「ログ管理システム」と「勤怠管理システム」のデータを照らし合わせて管理することが重要になります。
    また、人事評価の点でも、完全成果主義を導入する場合は、単純に制度を変えるだけではなく、柔軟なサポート体制と上司のテレワークに対する正しい理解が必要です。

・情報漏えいのリスクが高まる

テレワークを実施すると、会社の情報を持ち出せる機会が増えるため、管理が不十分になり、第三者による不正侵入や、パソコンの紛失、セキュリティの脆弱なネット環境の利用等によって、情報漏えいのリスクが大きく高まります。そのため、テレワークを行う際にはセキュリティ管理が重要です。

  • 対策
  • 会社側が用意したセキュリティ対策がされているパソコンしか社外に持ち出せないようにしたり、仮想デスクトップなど遠隔からデスクトップ環境をパソコンで確認できる環境を整えたりと、さまざまな対策で情報漏えいを防ぐ対策をすることが必要です。

・社員同士のコミュニケーションが不足する

テレワークを行うと、対面でのコミュニケーションが減少するため、社員同士がコミュニケーション不足を感じてしまう可能性があります。対面でコミュニケーションが減少すると、チームワークが悪くなってしまったり、メールでのやりとりに時間がかかってしまったりと、結果として生産性が低下してしまうことが考えられます。

  • 対策
  • これを防ぐためには、定期的にWeb会議などでチームでの会議を行ったり、社内SNS・ビジネスチャットのような気軽にやりとりができるツールを活用したりするなどして、対策が必要でしょう。また、テレワークの日数に制限を加えるといったような根本的な対策も必要です。

まとめ

今回はテレワークのメリット・デメリットを中心に紹介してきました。
テレワークにはさまざまなメリットがあり、デメリットも対策することによって解決できると考えられているため、導入を検討する企業も増えています。メリットとデメリットは会社の制度や体制によって大きく変わってくるため、自社の状況と照らし合わせた上でテレワークの導入を検討してみてください。

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