コールセンター業務の効率が悪い理由
従来のコールセンター業務は、電話対応が主流でした。近年は、電話はもちろん、Web、メール、チャットなど、あらゆるチャネルからの問い合わせに対応しなければなりません。
業務が複雑化するうえ、業務量が増えます。これが業務効率を悪化させる根本的な原因です。効率化のためには大量の業務をスムーズにこなす必要があります。
多くのコールセンターでは規模を拡大し、問い合わせ内容別に部署を設けています。しかし、規模が大きくなるほど、問題が生じやすくなります。
たとえば、問い合わせ内容が自分の担当領域でない場合、他部署に回さなければなりません。最初に対応したオペレータが転送先に要件を正確に伝えないと、顧客が再度同じ説明をしなければならず、クレームに発展する可能性もあるでしょう。
コールセンター業務を効率化する方法
コールセンター業務を効率化するにはどうすれば良いのでしょうか。効果的な4つの方法を紹介します。
ワークフォースマネジメントの実施
ワークフォースマネジメントとは、サービス品質を下げることなく適材適所に人員を配置し、人件費を抑えながらサービス品質を維持しようという考え方です。
コールセンターは時間や曜日によって入電数に変動があり、入電数がオペレーター数を上回らないようにしなければなりません。しかし、単に人員を増やすと、入電数が少ないときに手を余すオペレータが出てきてしまい、無駄な人件費が生じます。
そこで、ワークフォースマネジメントの実施をおすすめします。
オペレーターの対応スキルやシフトを把握し、入電数が増加する時間帯や曜日に高スキルのオペレーターを配置しましょう。人員配置には時間帯だけでなく、新商品・サービスの展開や季節変動などを考慮することが大切です。
KPIの管理
コールセンター業務の効率化に関するKPI(重要業績指標)には稼働率、AHT(平均処理時間)、ATT(平均通話時間)、ACW(平均後処理時間)があります。
稼働率は給与時間内で顧客対応にかかる時間の割合を指し、適切な数値設定が大切です。稼働内容をAHTなどで把握し、稼働率をコントロールします。
AHTは顧客対応にかかる時間、ATTは1通話にかかる平均時間、ACWは通話後の入力処理にかかる時間です。ATTとACWを足したものがAHTで、AHTが短いと対応可能な着信数が増えるので電話が繋がりやすくなります。
しかしAHTの短縮に努めると、早口になったり顧客の返事を待たずに話を進めたりと対応品質が低下しがちです。まずはACWから短縮しましょう。
オペレーターのパソコンスキルや業務フローを見直してください。音声認識や入力補助をするツールがあれば、やり取り履歴のテキスト化が効率的になり、ACW短縮が可能です。
チャットボットツールの活用
チャットボットツールとは、応答処理を自動で行うツールです。
たとえば、料金案内といった、オペレーターとの通話が必要ない簡単な質問や案内であれば、チャットでスムーズに解決できます。また、チャットとのやり取りはテキストで残るので、顧客はいつでもその履歴を見返すことが可能です。
簡単な業務をツールに任せることで、人を必要とする業務に人員を充てることができ、コールセンター業務の効率化につながります。
コールセンターシステムの活用
コールセンターシステムは、CTI機能(コンピュータと電話を統合させるシステム)とPBX機能(企業内の電話回線をコントロールするシステム)で構成されるシステムです。これらを活用することで、コールセンター業務の効率化が実現します。
自動着信分配機能が搭載され、稼働状況などを確認して適したオペレーターに着信を振り分けます。
自動音声応答機能では、プッシュ信号や音声を認識して、自動受付や自動応答を行い、通話を必要とするコールのみをオペレーターにつなげます。オペレーターでは対応が難しい案件はSV(スーパーバイザー)にワンタッチで転送可能です。
後処理入力をスムーズに行える機能も搭載し、オペレーターの作業負担を軽減します。さらに、CRMを搭載したコールセンターシステムであれば、着信時に通話相手の情報を画面表示することができます。
コールセンター業務の効率化に成功した事例
コールセンターシステムの導入で業務効率化に成功した事例を紹介します。
商業施設の設備トラブルや修理手配の代行を行うコールセンターの事例です。自社のPBXを経由し、アナログ回線で固定電話機を利用していました。
入電で固定電話機が一斉に鳴り出すため、一部のオペレーターに業務が偏ってしまいます。また、顧客によってトークや処理方法が異なるため、問い合わせのたびにその顧客の情報が書かれたメモを探し出す作業も課題の1つでした。
コールセンターシステムの導入により、着信をオペレーターへ均等に振り分けることができ、業務の偏りがなくなったのです。さらに、着信時に顧客情報がパソコン画面に表示されるため、対応がスムーズになりました。
コールセンター業務を効率化する際のポイント
コールセンター業務の効率化にはPDCAサイクルを回すことが重要です。Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)を継続することで業務品質が向上します。
たとえば、Planで目標を「AHTの短縮」にした場合、目標達成までのプロセスを明確にするため、「ACWの短縮」といったような具体的なKPIを決めましょう。
Doでは「AHWの短縮」を達成すべく、コールセンターシステムを活用しながら計画に沿って業務を遂行します。この際、次のCheckに活かすためにもACW分析に活用できそうなデータを抽出しておきましょう。
Checkでは「ACWの短縮」観点から業務の評価・検証を行います。
この評価内容をもとに、トークスクリプト(台本)やよくある質問の内容をブラッシュアップする、といったActionを打ち出しましょう。Actionは次のPDCAサイクルの基盤となるので、内容を吟味し精査する必要があります。
コールセンター業務を効率化し、迅速な応対を実現!
コールセンター業務の効率が悪いのは、複数チャネルでの問い合わせで業務が複雑化したうえ、業務量が増えているのが根本的な原因です。業務効率化には以下の方法が有効です。
- ■ワークフォースマネジメントの実施
- ■KPIの管理
- ■チャットボットツールの活用
- ■コールセンターシステムの活用
以上の対策を実践したうえでPDCAサイクルを回し、コールセンター業務を効率化しましょう。