なぜ勤怠管理が必要なの?
勤怠管理とは、従業員の出退勤時刻や休暇の取得状況を正確に把握し、労働基準法や会社の就業規則を守った労働ができているかどうかを管理することです。労務管理のベースとなる勤怠管理情報は、給与計算や人事評価に反映されます。
勤怠管理が必要とされるようになった背景の一つに、労働基準法への対応が挙げられます。会社側は従業員の出退勤状況を正確に把握し、適切な給与計算をしていなければ、労働基準法に違反し、労務コンプライアンス上で問題が発生することになります。詳しくは以下の記事をご覧ください。
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それに加えて、「働き方改革」という言葉に代表されるように、少子高齢化社会になるにつれ、個々人の労働生産性向上が求められるようになりました。サービス残業をなくし、適切な勤務時間内で労働することが大事とされているのです。
「働き方改革」については、以下の記事が参考になります。
参照:「国内の働き方改革ICT市場規模 2021年は2兆6622億円に IDCが予測」|ITトレンドスタイル
どうやって勤怠管理する?―勤怠管理の方法
勤怠管理の必要性が分かったところで、具体的にどのように勤怠管理を行うのか、その方法を一つずつ見ていきましょう。大きく分けて4つの方法があります。
管理方法 |
費用 |
従業員工数 |
管理工数 |
メリット |
注意点 |
紙の出勤簿 |
〇 紙と筆記具のみ |
× 社外での管理に不向き。 人によっては書くことに手間を感じる人も。 |
× リアルタイムでの把握ができない 集計業務に手間が発生 |
・とにかく安く導入できる |
・自己申告に依存するため
客観性に乏しい |
エクセル |
〇 PCのみ |
× 社外での管理に不向き。 人によっては記入に手間を感じる人も。 |
× リアルタイムでの把握ができない 集計業務に手間が発生 |
・紙に比べて、集計業務がやや楽になる |
・自己申告に依存する
・数式が壊れた場合など、手間がかかる |
タイムカード |
× 使い続けると費用がかさむケースが多い |
△ 社外での管理に不向き。 打刻ミスが起きやすいとの声も。 |
× リアルタイムでの把握ができない 集計業務に手間が発生 |
・どんな年代の方でも覚えやすい |
・他人が簡単に打刻できてしまう
・打刻したら変更ができない |
勤怠管理システム |
△ 1人200名~利用可能 |
〇 ワンクリックで打刻できるため、負担軽減 |
〇 ワンクリックで打刻できるため、負担軽減 |
・リアルタイムで勤怠状況が把握できる
・集計工数がほぼ発生しない
・自社の勤務形態に合わせた設定ができる |
・システムによっては
高額になってしまうことも |
① 紙の出勤簿への手書き
一つ目の方法が、出退勤のタイミングで、所定の紙の出勤簿に、従業員が出退勤の時間を手書きをする方法です。月に一度、人事・労務担当者が従業員全員分の出退勤簿を回収し、総労働時間を集計したり給与計算システムへ反映したりするために、エクセルなどにデータとして転記します。
- ■メリット
- 紙の出勤簿であれば、紙と筆記用具があれば導入を始められるため、導入時のコストはほとんどかからないのがメリットです。勤怠管理用のテンプレートが印字されたシートが販売されているため、それを従業員分購入すればすぐに勤怠管理を開始できます。
- ■デメリット
- 毎月の集計を手作業で行わないといけないところがデメリットです。集計に時間がかかったり、転記ミスが発生したりと、正確な打刻の把握ができなくなります。いくら導入コストがほぼかからないとはいえ、集計する人件費はかかりますし、3年間保管しないといけない出勤簿を確実に保管しておくするコストも発生します。
- また、従業員が偽の時間を記入したり、代理人に記入してもらったりと、不正申告が頻発する可能性があり、非常に大きなデメリットになりかねません。
② エクセルでの管理
二つ目の方法は、エクセルでの管理です。従業員が出退勤時刻や休暇取得などの情報を、エクセル上で打ち込みます。人事・労務担当者など管理する側は、そこまで難しい関数を使うわけでもなく、減数、SUM関数、IF関数を使用すれば、簡単な勤怠管理表を作成できます。
- ■メリット
- いきなり大掛かりなシステムなどを導入せずとも勤怠管理を始められるところがメリットの一つです。一度エクセルのテンプレートを作成したり外部からダウンロードしたりすれば、従業員が対応する箇所に記入するだけなので、手軽に、かつ、コストをかけずにできます。また、このデータをCSVファイルとして、給与計算システムにインポートすることも可能です。
- エクセルでの勤怠管理に必要な関数や気をつけるポイントなどは、以下の記事で解説しています。
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- ■デメリット
- コスト削減として外部のテンプレートをダウンロードしても、自社の就業形態にマッチしていないこともあることがデメリットです。勤怠管理を始める前に、自社の勤務形態に合っているかどうか、深夜残業や休日出勤の計算が正しくできるようになっているか、などを必ず確認し、必要であれば関数を組み直す必要があります。
- また、紙での管理ではなくなったとはいえ、従業員の不正申告を減らすことは難しいでしょう。誰でも簡単に入力できるからこそ、その記録された出退勤時刻は正確でない可能性があります。
- エクセルでの勤怠管理の課題は、以下の記事でも詳しく紹介しています。
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③ タイムカードでの打刻
三つ目の方法は、タイムカードでの打刻です。従業員が出社・退社するタイミングで、タイムレコーダーにタイムカードを差し込み打刻をします。打刻されたデータは、再度手入力でエクセルへと転記する場合がほとんどです。製品によっては、勤怠管理ソフトが付いていて、USBケーブルやSDカードでパソコンに取り込むこともできます。
- ■メリット
- タイムカードでの打刻の場合、タイムレコーダーを比較的安価に導入できるのがメリットの一つでしょう。昔から存在するタイムカードですが、近年のタイムレコーダーは進化を遂げており、データの出力機能や社員証と連携させた認証機能がついているものもあります。
- ■デメリット
- タイムカードでの打刻では、打刻方法が限られてしまうことがデメリットです。出退勤時にタイムレコーダーの前に行列ができることが想像できるでしょう。自分のタイムカードを探すのに時間がかかったり、外出が多い営業は直行・直帰ができなかったりと、不便に感じるシーンも多いでしょう。
- また、タイムカードは他人に渡せば不正打刻もできてしまいます。印字がうまくいかなかったり、間違えて他人のタイムカードに打刻をしてしまったり、さまざまなミスも想定されます。
タイムカードで勤怠管理をする課題については、以下の記事で整理しています。参考までにご覧ください。
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④ 勤怠管理システムの活用
四つ目の方法は、勤怠管理システムを使った打刻です。勤怠管理システムにはさまざまな場所・デバイスで出退勤時間を記録できるようになっています。
タイムレコーダーが誕生してから、現在の勤怠管理システムが普及するまでの歴史は以下の記事で詳しく解説しています。
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- ■メリット
- 勤怠管理システムで打刻をするメリットは、数多くあります。従業員にとっては、さまざまな打刻方法が可能になったり、承認申請などがワンクリックでできるようになることがメリットと感じられるでしょう。また、管理者にとっては、従業員の出退勤情報をリアルタイムで確認でき、必要なときにはCSV出力することもできます。さらには給与計算システムと連携できる給与計算システムもあり、総じてスムーズに勤怠管理を行うことができます。
- 勤怠管理システムのメリットは、以下の記事でも紹介しています。
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- ■デメリット
- 非常に便利な勤怠管理システムですが、デメリットもあります。もし自社に合う勤怠管理システムを導入できなければ、逆にコスト増になってしまったり、従業員がうまく活用できず定着しなかったりと、かえって人事・労務担当者の負担を増大させることになります。
勤怠管理システム導入によるデメリットについては、以下の記事をご覧ください。
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いかがでしたでしょうか?勤怠管理の方法を4つご紹介しました。それぞれのメリット・デメリットを踏まえ、自社に合う勤怠管理の方法はどれか、考えてみてください。さまざまな種類の勤怠管理システムが登場していますので、導入する際には、じっくりと比較検討することが大切です。迷ったら、ぜひ他の記事も参考にしながら、失敗しない勤怠管理を実現しましょう。